貴方はなにも知らない。
……シリアスとかホラーとかあんまり向いてないような気がしてならない。
かといって、ギャグが面白いのかどうかも定かではない。
【結論】頑張りますっ!!
『綾瀬さんってカッコイイですよね。私、綾瀬さんの彼女に立候補しようかな~~♪』
俺、綾瀬真実
まったく関係ないが名前は、初対面だとしんじつ?と必ず聞かれる。
顔は普通より少しいいらしい。
前々から狙っていた女の子の一人、左藤由香里にアプローチをされている。
まあ、こちらとしても好都合だ。
「いやいや、左藤ちゃんの方が可愛いじゃん。あんましおじさんをからかわないで欲しいな~~!」
実際この子は26歳、俺は37歳であり、歳の差は11歳。
だが、俺としては彼女を逃がすつもりはない。
「あっ。」
「……ごめん、そうだった。忘れてた。俺もう帰らなきゃ。やることあるし。」
そうだった、今日はやることがあったんだった。
帰って準備しなくちゃなーー。
面倒だけど、やらなくちゃいけない。
「じゃあ……ごめんな、急に思い出して。」
ーーガシッ
「えっ……どうしたの?左藤ちゃん。」
『私、本気なんです……。綾瀬さんの事、本気で好きなんです……。私と付き合ってもらえませんか?』
ビックリした……。
肉食系女子~~!
それにしても、まさか向こうから来てくれるとは思わなかったな……。
「……こちらこそよろしくお願いします。」
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左藤ちゃんと付き合いだして、もう二週間がたった。
家でパソコンを見てると、彼女がパソコンを覗き込んできた。
今日は彼女が家に来ている。
『なに、見てるの~~?真実さん!』
「あっ! ……ちょっと勝手に覗くなよ。」
『……怪しい、なんかあるんじゃないの。ちょっと見せて!』
「ちょっと、なにやって……」
『スノードロップ……?綺麗な花だね~~、初めて見た。』
「……君みたいに、綺麗な花だからプレゼントしようと思って見てた。」
『えっ!! それ本当!? ……ごめんなさい、私疑っちゃって。』
「大丈夫だよ、疑われるようなことしてた俺も悪かったし。」
『あ……じゃ、じゃあ』
そう言い、彼女はなにか話題を探しているようだった。
ふと、パソコンを見ると……
『あっ! この子は誰かな……妹さん?』
……。
「ああ、可愛いだろう? うちの妹が小さかった頃の写真だよ。」
本当に可愛い子だった。
『へー。可愛いですねっ! 妹さんは今どこに居るの?』
「ああ、今遠くにいってて会えないんだ。……会おうと思えば会えるけどそれは、ちょっとね。」
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ーーーーー
ロープを買いに行ったある日、
偶然左藤ちゃんを見かけた。
見知らぬ男と一緒にいた。
ここからは、よく話が聞こえない。
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『ーーー目が怖くないか? あの人、顔はいいんだけどよ。濁ってるっていうか。』
『なに言ってるのよ、どこも濁ってなんかないわよ。真実さんは。』
『本当に好きなのか?その人の事。』
『なっ……なにいってんのよっ!! そんな訳ないに決まってるじゃないっ!!顔がカッコイイから付き合ってるだけよっ!』
『顔、真っ赤じゃねえか。バレバレ。』
ーーーーー
『ーーー顔がカッコイイから付き合ってるだけよっ!』
顔はよく見えなかったが、彼女がこう言った事だけは伝わった。
……。
俺は彼女に近づき、こう言った。
「顔目当てだったのか……?左藤ちゃん。」
『あ……真実さん。い、今の聞いて……。』
「……もういい。別れるか。」
『ちっ、違うのあれは恥ずかしくてああ言っただけでっ!本当に綾瀬さんの事大好きでッ!』
店に置いてあったテレビからイジメの話題がでる。
「……呼び方戻ってるぞ。涙も出てるし……それに、彼は?」
『う…ひっく、彼は私の友達で……。』
『……どーも。桜井彼方です……。こいつの大学時代からの友人やらせてもらってます。』
「へー。本当に友人? 嘘じゃないか?」
あっ、また泣き出した。言いすぎたか。
失言、失言……っと。
『本当ですって、なんなら俺の携帯見せましょうか?』
「本当?じゃあ見せてもらおうか。」
『そこは普通いいですって言うとこでしょう……。』
若干、なにかブツブツ言ってるようだが見せてくれるようだ。
……。
「……大丈夫っぽいな。悪かった、俺の勘違いだったみたいだ。」
メールの送信履歴も普通に見せてくれた。
どうやら彼方君にはちゃんと彼女がいるようだ。
だが、しかし……
「恋人がいるのに二人っきりで会うのは少し軽率じゃないか?一緒にいるとこ見られたら浮気と勘違いされるぞ。」
ていうか、なんで二人で会ってるんだ?
素直に疑問。
『……ぐす、買い物に来てて、それで真実さんの誕生日プレゼントを買うの手伝ってもらってました。』
……。
「女友達とかと買いに行けなかったのか?……まあ、男に選んでもらった方がプレゼント選びには適してるが、ちょっと複雑な気持ちだな。」
『……いないんです。』
「ん?なんか言ったか……
『私!!桜井君以外、友達いないんですっ!!』
だろうな。
どうやら、左藤ちゃんの傷をえぐってしまったようだ。
すまん。ざまぁみろ。
「……うん、なんかごめんな。」
左藤ちゃんが可哀相な子を見る目で見ないでっ!!……みたいな事を言っているが無視しとこう。
「疑っちゃった事も謝る。」
『あっ、あの!! じゃあ改めてこれっ、どうぞ!』
「おーー!! ネクタイか!いいな、ありがとう。」
綺麗な紺色のネクタイだった。
これは……買うひまが省けたな。
「なあ、明日一緒にご飯食べに行かないか?もちろん俺が払うからさっ!今日、疑っちゃった事のお詫びに。」
『えーーっ!本当にいいんですか!……あ、でも真実さん誕生日明日ですし申し訳ないです。』
心配してるのか。
心配なんかしなくても大丈夫なのに。
「大丈夫、大丈夫っ! 俺が払わなきゃ気が済まないんだよ。主に俺の精神的に。」
そこで彼女は少し悩み、言葉を発した。
『じゃ、じゃあお言葉に甘えて。ありがとうございます。』
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ーーー
ーーー
「……。」
彼は呟いた。
「やっと……やっとここまできた。頑張ったな、俺。ついに明日だ。」
「楽しみだなぁーー♪」
そういい、鼻歌交じりにスキップをしながら彼は闇に消えて行った。
普通に読んでたらやっとここまで来れたーって喜んでる男にしか見えない。
ように、自分では書いてるつもりですっ!!
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因みに、スノードロップの花言葉は贈るときのみ不吉な言葉に変わります。