かわいいこっくさん
目の前には線があった。
それは回転しながら、視界一杯に伸びてやって来る。
ぶつかってしまうのではないかと思ったときには、万華鏡のように葉っぱが踊り出し、それが全てカエルになって緑に埋め尽くされ、視界が白くなってアヒルだらけになった。
梅雨の季節のように雨が降りだせば、アヒルの口が三角定規になってヒビが入る。
そこから豆がこぼれて地面に埋まり、そしてあんパンの花が咲く。
そしてあんパンは熟れて、血のような赤い液体が溢れだし、中から中華包丁を手にした料理人が出て来てかわいいこっくさんが出来上がった。