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カナと優人のホスト恋愛帳

ちゅーい

今回の小説に出るホストクラブは、昔の設定です。10年前の出来事という設定にしました、←今の状況に合わせて書くのが難しいほど印象の偏りが激しいため。特に営業時間。今はあり得ません。油断すると間違えそうなので1時~8時という古い態勢をとってます。ヒロインは昼客です。OLなどのお昼仕事のことですね。

いつ寝るんだろーね?元お客様がいたら知りたいなー。




私…名前は、そう。今日から源氏名を使うことにし、カナとつけた。その理由は、ついに今夜、ホストクラブにいくのです!明日は休みだし、じっくり居座ってゆっくり楽しもう♪

服も普段のコンサバ系とは違い、 B系のチラ見せ王道コーデ。少しでもホストの目が行きやすい感じにしつつ、いかにもパーティーな感じでよそ行き感を出す。これならハズレは無いかな。


と、気合いを入れて行くといっても単身乗り込むか、友人と行くかかなり迷った…なにかあって迷惑かけたら困るほどお値段が気になるので、1人で行くことにした。


お店は新宿歌舞伎町のホストクラブ、アプリコット。お店といっても、建物の一室なので分かるかな…と、不安に思ってた。いざビルの中に入ると、扉の横にホストらしき人の写真を引き伸ばした看板が3枚、No.1からNo.3まで張ってあるから間違えようがなかった。


よし、カナ。システムに関しては、ネットで調べた。大丈夫。お店だもの。変なトラブルは無いよ、勇気を出して、いざ!


扉を開けると、入り口近くに背をむけて立っていた二人のホストが、振り向いて笑顔で出迎えてくれた。

「しょ、初回です…」

軽く噛んだ…身分証を見せて、入店すると赤いじゅうたんにシンプルだけどきっちりした内装。奥に入ると、突き当たりに豪華なボトルキープらしきものがずらり。

思った通り、イケメンだけだ!この敷地面積にこのイケメン揃いは、他ではまず拝めない。いやがおうにもテンションが上がる。


初回は色々、無理しなくていいらしいし一定プランに収めておけば、法外な値段に跳ね上がらない。おなかがすいても、フードサービスさえ求めなければ大丈夫。

そう自分に言い聞かせて、勧められるままにソファーに座る。

囲い形の席だけど部屋の角じゃない。部屋の真ん中にうまく内装やキッチンをいれているのか、いかにも周りが見える一見さん用の席にすわる。隣をみると、またしてもうまくソファーで囲った一席があり、全体で6組までは入れるようだ。18~20人の客と数名のホストが座れる形。入り口近くに立っていたホストは、あちこちに飛び回って雑務をやっている。新人だろう。


客層を見てみると、あまりお水の人は居ないような気がする。経営者とか、やり手のキャリアウーマンとか…そんな感じだろうか…

ちょっと意外だったので、コースメニューを告げたあとにこそっと聞いてみると、オーナーがお客を引っ張ってきたため、昼客が多いらしい。ネットであった情報で推理すると、オーナーはナンパ師で、昼客になりそうな人を片っぱしからキャッチして入店させたのだろう。むしろ馴染みやすくて、結果的には良かった。

ホストファイルを見せてもらって、指名してもいいと言われたのだけど、余計な出費を防ぐため、特に指名しなかった。すると、優人というリラックスした感じのホストが正面に座ってくれ、お酒をついでくれた。なぜリラックスした感じだと思ったのか自分でもわからず、回りを見渡すと、この人だけ足に手を置いてぶら下げ、猫背だったのだ。ちょびっと一口、焼酎を口に含んで上目遣いで見てみると、微笑みかけてくれる。優しそうで良かった。おかげで緊張もほぐれやすかった。

「今日は来てくれてありがとう。忘れられない夜にしてあげる」

普通に聞くと臭いセリフなのに、恥ずかしげもなく微笑を浮かべてささやく優人は、歯が白く煌めく王子様といった感じでドキッとした。我ながら子供っぽいかな…と多分しっかり笑えてない笑みで返す。

私は、まさに異世界に連れてきてもらえたんだと思い、来て良かったと思った。彼も普段は鉄板のオンパレードではなく、世界観を大事にしてるんだろう。纏ってるオーラが真面目な感じだった。


そんな私を見て悟ったのか、優人は首に手をやって苦笑した。

「実は、普段はメガネなんだけどここではコンタクトなんだ。ホストっぽく見えなくなっちゃってね」

鋭い…プロはみんな恋愛能力高いんだろう。回りの男達と比べて格段に鋭く的確だ。多分、女性だけでなく男性でも、一目見たら出没地など言い当てられるんだろうな…


そして、優人の作る世界はお城の王子様。他の席のホストを見ると、ソファーの上に腕を乗せたり、しっかり座ったり、個人差をだしてる。


会話をしながら周りを見ていると、3時頃になって騒がしくなった。入り口を振り替えると、数名の女性が1人のホストを囲って入店してきた。

「あの人がこの店No.1ホストのアキトさん。売れてる人ほど同伴なら、遅く来ていいんだ。何時に入店するかも、ホストのステータスを測る道具ってワケ」

そんなホスト界の仕組みを教えてくれた彼に、いたずらっぽく聞いてみた。

「じゃ、私が同伴したら優人さんも遅れて来れるの?」

「ははは…開店とほとんど変わらない時間に、ね」

どうやらすごい売れてるわけではないらしい。個人的にはメルヘンチックな店に来たんだからと思えば当たりだけど、実際に指名したらどんな感じになるのか…確かに彼氏には求められない特別な思い出が作れそうだけど、もっといいホストも居るかもしれないって思うと欲が出る。

他の人はどんな感じなのかなって思ったら、もう1人私の席に来た。

「ここは席を回って歩くヘルプって仕事があるんだ。僕はアレン。よろしくね」

たしかホストファイルで見たけど、大分印象が違う。

目を白黒させていると、アレンは頬をかきながら苦笑した。

「ああ、ホストファイルの写真ね。なんだか先輩たちにオモチャにされちゃって、どこぞの悪魔王みたいにされちゃったんだよね。付け爪の長さはもはや武器だよね。それをノリノリでクロスさせてどや顔した僕も僕だけど」

やっぱりあの人なんだ、と思ったら、ぷぷっと笑ってしまった。本当に変わってて面白いところだ。

すると、優人はフォローするように言う。

「この人は俺の先輩でね、ちょうどアレンさんの後に俺が入ったから、幹部の人より世話してくれるんだ。今日も一緒に買い出しに行ったんだ。とても優しい先輩だよ」

ふーん、と、私がアレンさんを上から下までみると、ふと最初に見た疑問が浮かんだ。

「買い出しって、この透明なグラスに詰まってるアルファベットチョコとかですか?これ、なんで置いてあるんです?」

アレンは、ああ、これね。とチョコを一口で食べると、簡単に説明してくれた。

「酔いざまし用なんだ。アルコールの分解をチョコがしてくれるってわけ。お客様だけでなく、僕たちも食べていい無料サービス。おひとつどうぞ」

手のひらを差し出され、1つつまむ。

「買い出しって、どこで買うんですか?お店ありそうも無いけど…」

「ドンキ◯ーテだよ」

ハモった。めっちゃ一般的な店で意外…。

こんな感じで終始、歓談した。


もうじき閉店というところまで居て、すっかりお姫様気分を味わう私。

しかし、もう帰ろうかと思った瞬間、隣の席で「お誕生日おめでとうございます!」という声が響くと、掛け声やらバタバタ動くスタッフ。

あっという間にシャンパンタワーができ、ホスト総出でボトルをラッパ飲み。ちょっと馴染めたかと思った瞬間、一気に世界の違いを見せつけられ、めまいを起こしそうになる。

とはいえ、生のシャンパンタワーを拝めるのだからと結局最後まで居て、店を出た。


すると、先程のシャンパンタワーの女性が声をかけてきた。

なんでも、Reyというブランドに身を包んだ私をみて、自社のブランドの服をコーデしていたから意見を聞きたくなり、声をかけたらしい。

世界的に有名で、当然パリコレでも観られるReyのオーナーが同じ店に居るとは思わず、緊張しつつもお近づきになれた。

図々しいかとは思ったけど、もはやホストクラブの騒動で価値観がガタガタになっていたので、行動もガタガタになっていた。

こうして、人生初の体験だらけの夜が明けた。


店がはけた8時から、寝て夕方に起き、

LINEのメンバー一覧に有名人の名前が出ていて、夢ではないことがわかり、一気に目が覚めた。

コースメニューの都合上、一定しかアルコールは出ないし、酔って何かしたらと思うとシラフでしかいられずに二日酔いを間接的に防げた。

昨晩のガタガタなテンションで接することも防げたわけで、もう会うことは無いかな…と、思ったのだけど気になっていたことがあった。

それは、大金持ちが誕生日にホスト遊びというのはもはやスクープではないか、ということ。

もはやゴシップネタだよ!こっそり事情を聞けるチャンスだし、オススメ商品のコーデを相談するフリして、さりげなく聞いてみよう。人に話さなければいいよね。アタックよ、カナ!


こうして、カナの人生は大きく変わることになる。その落差を、カナはまだ知らない。

これは、男性用恋愛短編連続小説との連動企画で、そこでの秋人は、ここでのアキトという部分以外はリンクしておらず、男性用小説を読んでも全く異なる内容から、なんだこの男の欲望をさらけ出した作品は…と思うだけなので男性用をお読みになる場合は、作風の違いにお気をつけ下さいませ

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