3話
3話
ほぼ完全にここが異世界だと理解した。
とにかくステータスを詳しく調べなくてはいけない。
しばらく時間がかかるだろうから、ノワールは自由に遊んでいてもらおう。
「ステータスを詳しく調べるから、しばらく近くで遊んでていいよ」
「了解」
と言い、おすわりから伏せの体勢になるノワール。
遊んでて良いんだけどな?
まあいいか。好きにさせておこう。
正面50センチ位の所に24インチのテレビモニター位の大きさのステータス欄が見える。
まず内容をしっかり見てみよう。
[名前] マキト=アズマ
[種族] ヒューマン
[レベル] 1
[取得経験値] 0
[次のレベル] 経験値10でレベルアップ
[状態異常] なし
[ジョブ]
[装備ジョブ] テイマー 製作士 ライダー 魔法師【トリプル】 ニンジャ
[入手ジョブ] 下位 狩人☆3 シーフ☆3 サーチャー☆3 錬金師☆3 武器職人☆3 防具職人☆3 装飾職人☆3 薬調合師☆3 魔具職人☆3 モンスターテイマー☆3 火魔法師☆3 水魔法師☆3 光魔法師☆3 鑑定師☆3
上位 なし
ユニーク テイマー 製作士 ライダー 魔法師【トリプル】 ニンジャ
[能力値] HP120/120 MP120/120 STR30(30) INT30(30) VIT30(30) MEN30(30) DEX30(30) AGI30(30)
[ステータスポイント] 25ポイント
[スキル] 生活魔法 共通言語 マスターテイム 魔物語翻訳 念話 武器作成 防具作成 装飾作成 魔道具作成 練金 道具作成 薬調合 鑑定 解体 火魔法 水魔法 光魔法 ライドマスター 探索 気配感知 気配隠蔽 暗視 罠解除 地図 毒耐性 沈着冷静
[作成リスト] 下位武器 下位防具 下位装飾 下位薬品 下位魔道具 下位金属 道具
[テイミングモンスター]
ノワール
うん。ゲームっぽいな。
俺はヒューマンになっていて、ノワールはテイミングモンスターになっている。
モンスターか。やっぱりいるのかモンスター。
そしてノワールはモンスター枠?
犬は異世界ではモンスターなのか?
ステータスはもっと詳細に表示されないんだろうか?
特にジョブとかスキルについて知りたい。なんかたくさんあるんだけど使用方法と効果が全然わからない。
ステータス画面の右上にカーソルみたいな矢印がある。
どうやって動かすんだろう?
もしかしてタッチパネルじゃないか?
それしか思いつかない。とりあえずタップしてみよう。
カーソルらしきものをタップしてみた。
カーソル カーソルでステータス内を『選択』することができる
このカーソルでステータス内の詳しく知りたい所を『選択』し
『詳細オープン』と念じると詳細説明が見られる。
ステータスポイントの割り振りやジョブ装備時にも使用でき
る。カーソルは使用者の考えた通りに動く。
詳細が出た。
思考制御だったのか。ハイテクだな。
思考制御とタッチパネルのどちらかで選べばいいのか?
人前では思考制御で動かすのかもしれない。
何もない所を触ってたら不審者にしか見えないよな。
本当に思いどおりに動くのか確かめてみるか。
上の5つは読んだ通りだろうからジョブからいこう。
ジョブに移動。へー本当に移動した。
次はジョブを選択して、詳細オープン。
おっ、詳細欄が開いた。
●ジョブ
◆下位ジョブ
装備することでステータスポイントを得られるようになる。スキルを1~2つ得る。
◆現在入手している下位ジョブ
狩人……スキル『気配感知』『暗視』を入手
シーフ……スキル『気配隠蔽』『罠解除』を入手
サーチャー……スキル『探索』『地図』を入手
錬金師……スキル『錬金』『道具作成』 を入手
武器職人……スキル『武器作成』 DEX+1% を入手
防具職人……スキル『防具作成』 DEX+1% を入手
装飾職人……スキル『装飾作成』 DEX+1% を入手
薬調合師……スキル『薬調合』 DEX+1% を入手
魔具職人……スキル『魔道具作成』 INT+1% を入手
モンスターテイマー……スキル『モンスターテイム』 INT+1% を入手
火魔法師……スキル『火魔法』 INT+1% を入手
水魔法師……スキル『水魔法』 INT+1% を入手
光魔法師……スキル『光魔法』 INT+1% を入手
鑑定師……スキル『鑑定』『解体』 を入手
◆上位ジョブ
レベル150で入手できる。複数入手できる場合もある。
下位ジョブより多くのステータスポイントを得られる。スキルを3つ得る。
◆ユニークジョブ
ごく少数しか所持者のいないジョブ。
スキル数はジョブにより違うが最低3~。
能力値アップ効果は上位ジョブより低いものもあれば高いものもあり様々である。
レベル150で上位ユニークジョブになるものもある。
◆現在入手しているユニークジョブ
テイマー…… モンスターテイマー モンスターマスターの特殊ジョブ
製作士……錬金師 武器職人 防具職人 装飾職人 薬調合師 魔具職人 鑑定師 の複合ジョブ
ライダー …… モンスターライダー ハイモンスターライダー の特殊ジョブ
魔法師【トリプル】……火魔法師 水魔法師 光魔法師 の複合ジョブ
ニンジャ……狩人 シーフ サーチャー の複合ジョブ
●ジョブについて
ジョブとは人族のステータスアップを補助するもので、ステータスの入手ジョブ欄から1~3個選んで装備することができる。装備できるジョブの数には個人差がある。例外あり
1度装備するとレベル150まで外せなくなる。
レベル150になると上位ジョブが入手でき、1度のみジョブの変更が可能。
ジョブはいつ手に入るかわからない。いつのまにか入手ジョブ欄が増えている。
下位ジョブ上位ジョブには適正値といわれるものがある。
最低☆1で最高☆3の3段階。
適正が1つ上がるごとにレベルアップ時のステータスポイントが増える。
適正値は変動しない。
ユニークジョブに適正値はない。
ジョブは1人につき2~3個装備できるようだ。
なぜか俺は5つ装備してるな。
あまり所有者がいないというユニークジョブが5つもある。
勝手にジョブが装備されてるのは問題だよね。
選ぶ楽しみを返せ。
その辺りの詳細……は出ないみたいだな。
さすがに何でも教えてくれる分けじゃないよな。
装備ジョブが5つか。説明を読むと有利な気がする。
ただ、比べる人がいないから何とも言えない。
考えるのは後にして、とりあえず次の能力値を見てみよう。
能力値を選択。詳細オープン。
●能力値
HP 体力 攻撃を受けたり、毒などにより減少する。疲労などによっても減ることがある。0になると死ぬ。休息やアイテムや魔法により回復。
MP 魔力 スキルを使うことで減る。0になってもペナルティはない。休息やアイテムにより回復。
STR 腕力 攻撃力に関係する。数値が高ければ高いほど重い物を持てるようになる。
INT 知力 頭の良さには関係ない。魔法攻撃力や魔法防御力などに関係する。
VIT 頑強さ 数値が高ければ相手からの攻撃によるダメージが減り、疲労しづらくなる。
MEN 精神力 精神に作用する魔法、アイテム、精神状態に関係する。動揺しづらくなる。
DEX 器用さ 武器の扱いや細かい動作を正確にできるようになる。
AGI 素早さ 動作や思考が素早くなる。
●ステータスポイント
ステータスポイントを消費して能力値を上げることができる。HP、MPは1ポイントで5上がり、他は1ポイントで1上がる。
1度でも能力値に反映させたステータスポイントは、ステータスポイント欄に戻すことが出来なくなる。
能力値の8つの項目の内の1つを選択して、1ステータスポイント消費と念じることでポイントの割り振りをすることができる。
一気に複数のステータスポイントを消費した場合は、消費した分の能力値が上がる。
能力値が高ければそれだけ戦闘等には有利だが、同等の能力値の場合は、武器やスキルの技術の高い方が有利になる。
あれ?ステータスポイントの詳細も出たぞ?
関連してると一緒に表示されるのか。
武器やスキルの技術の高い方が有利になるって数値に表れない要素があるのか?
能力値について考えていると、突然ノワールが起き上がり体勢を低くした。
次の瞬間にはノワールは大地を蹴った。大量の砂が舞う。
ノワールは一瞬で俺を跳び越えて湖の方に向かった。
それを見て慌てて湖の方を向く。
そして目にしたのは、右の前脚を湖に叩きつけるノワールの姿だった。
響く衝撃音、そして水飛沫が飛び散る。
どんなパンチだよ。
鉄球を叩きつけたみたいだったぞ。
俺にじゃれる時は、かなり手加減してほしい。
パンチもそうだが移動速度が異常に速かったよな?
振り向くまで1秒か2秒位だった。
砂浜まで50メートル位だから……秒速25~50メートルか?
スタート直後に時速90キロ以上ってこと?
生物のスピードじゃないだろ。
なんて世界だ。
まさかあれがこの世界の標準とか?
俺はあんな動きができるようになってない。さっき少し移動した時は普段より体が重いように感じたくらいだったんだが?
ヒューマンとモンスターだと何か違うのか?
能力値が高ければあんなことができるのか?
わからん。情報が少な過ぎるんだよな。
やっぱりまずステータスだけは理解しよう。
それにしても突然何をやってるんだ?
なんか獲物を狙ってるようにも見えたんだが?
ノワールは湖に顔をつけて何かをしている。
湖から顔を出すと口に何かをくわえていた。
ノワールはその何かをくわえたままこちらに戻ってこようとしている。
普通に歩いているが、くわえている物の先端が地面に届いていることから、かなり大きな物をくわえているんだなということがわかる。
なんだ?ザリガニか?
近づいて来てようやく口にくわえた物の正体がみえた。
地上2メートルからぶら下げられて、砂浜にハサミが届く巨大なザリガニ。
北海道の都市伝説以上の大きさだ。
でもノワールを見た後だと、そこまでの驚きはないな。
近くまで来てノワールは、ザリガニを砂浜に降ろした。
「御主人、食糧です」
近くで見るとザリガニの頭が半分くらい砕けていた。
ミソがこぼれてるね。
正直うまそうには見えない。
これ食えるのかな?
普通だったら「そんな物食べちゃダメ」って言う所だけど、そんなことも言ってられないし。
ノワールを見ると全力で尻尾を振っている。
すっごくうれしそう。たぶん褒められると思ってるんだろうな。
仕方ないのでノワールの顔を両手で挟んで、これでもかってくらい撫でてやった。
「すごいぞノワール。よーしよしよし」
褒めたものの、このザリガニどうしよう?
せっかくとってきてくれたんだから、食べないわけにもいかんだろうな。
さすがに毒の有る物はとってこないだろうし。
毒がなければライターで炙れば食べれるだろう。腹を壊さないという保証はないけど。
まあ食べるにしてもステータスをしっかりとチェックして、一段落してからの方がいいだろう。
先にノワールに食べてもらって残った分を俺がもらえばいいや。
「まだやることあるから、先に食べちゃっていいよ。だけど、少しだけ残して置いてね」
「了解しました。ではお先にいただきます」
テイムモンスターだからなのかノワールが主君に仕える侍みたいな感じになっている気がする。
個人的にはもうちょっとフレンドリーに接してほしい。
それにしてもノワールは、もうこの世界に順応しているんだね。
一度も狩りなんてしたことないはずなのに最初から獲物を捕まえるなんてすごいよな。
俺は狩りなんて自信ない。人間と犬との違いは大きいよな。