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17話

17話


この世界に来てから1週間が経った。

1週間経っても人に会うことは出来ていない。ここは相当な秘境らしい。


人間こそ見つからなかったが、周辺の探索はそれなりに出来たと思う。

地図はかなり広範囲に渡って表示されるようになった。

レベルも30まで上がった。


少しこの世界に慣れてきたので、今日はノワールとは別行動だ。

ノワールは朝から散歩に出かけている。

俺はと言えば、朝からずっと書き物をしている。

元の世界の記憶や知識を文章にして残しておいた方がいいということに気づいたからだ。


普通に考えて、時間がたてば記憶は劣化していく。

すぐに元の世界に帰れれば問題ないだろうが、5年10年とたてば元の世界の記憶はだんだんと薄れていっているだろう。


もし元の世界に帰る方法があったとしても、元の世界のことを忘れていたら意味がない。

そんなに長い間こっちの世界にいて、元の世界に帰りたいと思うかはわからないけどね。


知識にしても、この世界がゲームなんかでよくあるような中世ヨーロッパな世界なら役に立つこともあるだろう。

もしもスタ-ゲー〇のアス〇ードみたいな超科学を持った人類がいたら、現代知識程度では役にはたたないだろうけどね。


自分の名前や住所のような基本的な情報から勉強のことなど記録した方がいいことはたくさんある。

必要そうなことを思いつくかぎり書いていく。



しばらく書き続けて、メモ帳1冊を使い切ったところで休憩することにした。

情報量が多すぎてメモ帳2冊では全然足りない。道具作成でノート等も作れるはずだから、必要な分を作らないといけないな。


休憩していると出かけていたノワールが帰って来た。

ずいぶん急いで帰って来たようで、めずらしく息が乱れている。どうかしたんだろうか?


「御主人、助けて下さい」


口にくわえてた物を地面に置いたノワールがそんなことを言った。


「助けるって?」


ノワールでも勝てないようなモンスターが出たんだろうか?もしそうだとしてノワールより戦闘能力の低い俺に出来ることがあるんだろうか?


「この子達を助けて下さい」


「この子達?」


ノワールに近づいて、先ほどノワールが地面に置いた物をよく見てみる。

子犬か?

いや違う。子犬のようなモンスターだ。


ノワールが地面に置いたのは、ガリガリに痩せ細り、今にも死んでしまいそうなくらいに衰弱した、子犬のようなモンスター2頭だった。


「この子等を助けろと?」


「はい!」


「でもモンスターだよ?」


「それでもです。お願いします」


モンスターでも助けろってことのようだ。というか、そもそもこんなに衰弱した生き物を助けられるんだろうか?


「助けられるように努力はするけど、どうなるかは分かんないよ?それでもいい?」


「お願いします」


仕方ないな。助けられるかは分からないが、出来る限りのことをしてみよう。

鑑定をしてみたが、シャドードッグの幼体だということとランクがFだということしか分からない。


見た感じは栄養失調のような感じだ。

栄養失調だとしたら何か食べさせればいいのか?


とにかく何か食べさせようとミンチにした肉を用意したが、自力で食べるどころか動くことさえできないようだ。無理やりにでも食べさせようかと思ったが、医療器具もないし喉に詰まらせたら余計に危険なのでやめた。


ポーションで回復できないだろうか?

さすがに栄養状態までは改善されないだろうが良い効果が出るんじゃないだろうか?

正直言って、今出来るのはポーションを使うことくらいだと思う。

使っても害はないだろうから、使うだけ使ってみよう。


力なく横たわる2頭にポーションを振りかけた。

すると動くことすら出来なかった2頭が起き上がった。

そして置いてあった肉のミンチのにおいを嗅いで、安全だと確認した後に食べ始めた。


やっぱりポーションはすごいな。体は痩せたままだが見るからに元気になっている。


2頭ともがつがつと肉を貪っている。あっという間にミンチ肉が無くなってしまった。

肉がなくなると物欲しげな顔でこちらを見るので、肉を追加してあげた。


それにしてもどれだけ食べるんだ?

もうすでにボア1頭分位の肉を食べている。


それにしても何か様子がおかしい。2頭とも見る見るうちに太っていく。

それに毛艶まで良くなっている。どんな体の構造してるんだ?


「なんか大丈夫そうだね」


「はい!ありがとうございます」


しばらく様子を見ていると、どうやら満足したようで2頭とも肉を食べるのをやめた。

さっきまでガリガリに痩せていたとは思えないほど肉付きが良くなっている。


見た目は普通の子犬だ。ベルジアングローネンダールに似ている。かわいいな。


「御主人、この子達に水をお願いします」


「了解」


ノワールに頼まれた通りにタライに水を入れる。

タライに水を入れると、子犬達はタライに顔を突っこんで水を飲み始めた。


やっぱりカワイイ。

それにしても、この子達を助けたもののどうしよう?

考えていると水を飲み終えた子犬達が言う。


「ごしゅじんさま、ありがとなの」

「あるじー、ありがとー」


ご主人様に主か。

どういうことだ?

知らない間にテイムしてしまったのか?


[テイミングモンスター]

ノワール

シャドードッグ

シャドードッグ


ステータス欄に追加されているな。

いつの時点でテイムしてたんだ?


「ノワールよ。これはどういうことだね?こうなるって分かってたのか?」


「いえ。御主人の配下になるということまではわかりませんでした。ただ助けたほうがいいという直感にしたがっただけです」


直感か。直感はかなり使えるな。俺も直感が欲しいよ。


「わかった。理解したよ。ありがとう」


「はい!」


意図してのことではないが、テイムしてしまったとなると追い出すわけにもいかない。

テイムしていなければ、元いた場所に戻すという手段もあったんだけどな。

面倒みるしかないか。大人になれば強くなって役に立つかもしれないしな。


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