表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

運命じゃなかった二人は

作者: 枕返し
掲載日:2026/07/12

あ、佐々木さん。」

「ん、何?」

「急なんだけど、今日の放課後に委員会の集まりやるらしいんだ。大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。何処?」


彼は同じ委員会の横井君。

今年初めて同じクラスになって、同じ委員会になって。

今まではあんまり印象のない人だったけど、一緒に仕事をしてみると彼は凄くいい人だった。

あまり社交的とは言えない、友達のいない私にも気さくに話しかけてくれて。今ではその縁で何人か友達ができた。私の学校生活を明るくしてくれた人。

気づけば私は自然と彼に惹かれ始めていた。


「横井君は休みの日とか何してるの?」

「そうだなあ、最近だと釣りにハマってるんだ。興味なかったんだけど親父に無理やり連れていかれて、やってみたら結構面白くてさ。」


「佐々木さんって字キレイだよね。」

「え?そう?あんまり言われたことないよ。」

「そうなの?なんか凄く読みやすいんだよね。」


他愛ない会話。もう一歩進んでみたいような気もするけど、私には今くらいの関係が心地いい。

このままの関係が続けばいいのに。そしていつかもう少し進んだ関係になれたらな。

私が誰かのことをここまで想うことは初めてだった。だからこれはきっと運命なんだ。

そんなことを思っていた私は、今思えば呑気だった。

確かに横井君は目立つタイプではない。恋愛という意味で競争の激しい人ではないと思う。

でも、私ですら彼の良さに気づいたんだ。


「佐々木さん、横井君の話、聞いた?」

「横井君がどうかしたの?」

「横井君、菅井さんと付き合い始めたらしいよ。」

「え?」


菅井さんはクラスの中心にいるようなタイプの女子。明るくて、社交的で。勉強はあまりできないみたいだけど、先生とも仲が良くてよく喋ってる。

成績がいいだけの私なんかよりずっと先生にも気に入られている。

可愛くて、友達も多くて。

私にとって雲の上のような人。

そっか・・・、横井君、菅井さんと付き合ったんだ。

嫉妬、なんて感情はわいてこない。だって菅井さんはとても素敵な人なんだもん。私なんかが嫉妬するなんて滑稽だ。


それから数日後、横井君と菅井さんが一緒に下校するところを見かけてしまった。

私はそれを見て、諦めを通り越した感情に襲われた。

だって二人はとってもお似合いで、まるで運命で結ばれたみたいに見えて。私なんかが入ることなんてできないって、わかっちゃったから。


私の初恋は、こうして終わりを告げた。自分自身で終わりを認めたんだ。




それから数カ月

横井君と菅井さんは色々あって別れたらしい。

横井君は私の好きだった横井君とは少し変わってしまった。

女の子の扱いが上手くなったって友達はみんな褒めてる。「扱い」か・・・。

優しくて気さくなのに、どこか女の子に遠慮があったあの横井君はもういない。

菅井さんを知って、横井君は変わってしまった。


今、菅井さんはサッカー部の谷崎君と付き合っている。

谷崎君はよく喋る積極的な人でクラスの中心的なグループの一人。

二人はまるで運命に祝福されているようにお似合いに見える。


ねぇ、どうして?


どうしてあなたは運命に愛されているの?


どうしてあなたは、彼を殺して、私を絶望させて


そんなに笑顔でいられるの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ