表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/33

ジュリアンの逆襲④

セイラ(母)side


 目の前の主人……

あの間抜け面の男を、どうして私は一途に想っていたのかしら…

あー、初恋を拗らせてしまった私って本当にバカみたい。100年の恋も覚めちゃったわね。


   *****


――15歳の頃。


「お父様、エイディラン家の三男・ナオト様と結婚できるなんて、嬉しくて舞い上がっちゃいますわ!もうすぐナオト様は私のものですもの!」


「セイラ、良かったな。ポーツ家から支援金も渡したし、結婚も安心だ」


 三日後の結婚式が待ちきれず、胸が高鳴る毎日。けれど、ある日見てしまったの…

ナオト様が他の女性と抱き合っているところを。


「お父様、ナオト様が……」


泣きながら訴えると、父は衝撃の事実を告げた。


「セイラ、ナオト殿には昔から両思いの相手がいるらしい。しかし身分が違うので結婚はできない」


 結婚しても、ナオト様はあの女と繋がっていた――私の心は闇に沈む。

でも、その闇を逆手に取ることに決めたの。


 そして、私とナオト様の赤ん坊――ジュリアンが誕生。

だけど、彼女の瞳や髪の色はナオト様と違う。ナオト様の冷たい視線に胸が痛む。


「セイラ、この子は本当に私の娘なのか?」


 愛する人に疑われるなんて……

こんなに愛しているのに、それと同じくらい憎い。


 さらに、愛人の子が生まれたと聞き、私は涙が止まらなかった。

髪も瞳も旦那様そっくり

プライドをズタズタにされ、悔しさと悲しさが混ざる。


 その悔しさを小さな復讐に変えることにした。

旅芸人を使い、旦那様の溺愛を独占。情事を装ってアンナを授かる計画――。

成功するかは分からないけど、私の精神を守るためには必要だったの。


  *****

 ――時は流れ、


 ジュリアンが成長した頃。

ランディー伯爵から夫の不正に関する書類が届く。

夫は裏で愛人の息子を家督に迎え入れようと画策していたのだ


 ――馬鹿な人。

書類を見て私は決意する。


「ジュリアン嬢との婚約は白紙に戻します」


――その言葉を受け、私は娘に向き合う覚悟を固めた。


 久しぶりに目の前のジュリアンを見た時、息を飲む。曾祖母の肖像画と瓜二つ――やっと気づいた、私は娘に酷い仕打ちをしていたと。


「久しぶりね、ジュリアン。見ない間に綺麗になったわね」


「……」


「婚約は破談になったわ。ジュリアン、貴方、ポーツ家の家督を継ぐ気はないかしら?」


 一瞬の驚きの後、力強く頷くジュリアン。


「お母様、私が家督を継いでもよろしいのですか?」


「もちろん。貴方はポーツ家の正統な血筋ですもの」


 彼女の笑顔に、私も心の底から微笑む。

これから、娘には軽蔑の眼差しを向けられるかもしれない。

でも、私が犯した罪は、この身で償う――その覚悟だけは、できているのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ