ジュリアンの逆襲
ジュリアン嬢、君に出逢えて良かった。
娘の気持ちに向き合えたし、本当に感謝してる。」
「そんな、ランディー様には私の方こそお世話になりました。
これから計画を実行する為にもお力をお借りしますので、感謝するのは私の方ですわ!」
そう、私はランディー様とある計画を準備している。
今まではやられっぱなしだったけれど、これからはギャフンと言わせてやる!
◇ ◇ ◇
ある日、母親に小さな情報を探るように仕向ける。
「お母様、実は先日お父様を市井で見かけたのですが、綺麗な女性と一緒にいましたけど、どなたかご存知ですか?」
明らかに動揺しているけれど……愛人の存在は母も知っているのに、隠しているつもりなのね。
父には母と結婚する以前から愛人がいて、母との結婚は政略。愛など存在しないのだ。
母は父を愛しているようだけど、それも一種の自己満足。
この事実は母のプライドのために隠されているが、私はバレバレだと知っている。
二重生活の綻びがどこかで見えるのだろう。
今まではアンナというクッションがあったけれど、私はその隙間に火種を落とす。
「ジュリアン、貴方はお父様を見てはいけない!いい?分かったかしら?」
「は、はい、分かりました。」
母は安心した様子でホッとした顔を浮かべる。
だが、私は故意に母の心に火種を落としたのだ。
うまく機能するといいけれど……
◇ ◇ ◇
そして数日後、これまで平穏だった両親の仲に決定的な亀裂が入る。
最初から小さな亀裂が入っていたが、放置されていたため綻びが広がったのだ。
そんな中、私の婚約の裏で動いていた計画が、思わぬ形で露見する。
リビングでくつろいでいたところ、怒り心頭の母が発狂しながら現れた。
「貴方、どういう事ですの!? 確かジュリアンが嫁いだらポーツ家の家督は貴方の親戚筋から養子を迎えると了承していましたよね!?」
父は顔面蒼白。
「な、何を言っているんだ……」
「私が知らないとでも? あの女の子供を養子に迎え入れるつもりなんでしょう?」
「だ、駄目だ! ジュリアンはランディー伯爵に嫁ぐんだ! そうすれば支援金が手に入る!」
母は父の本音を聞き、含み笑いを漏らす。
「前から思ってましたけど、貴方のアンナとジュリアンの態度が違いすぎますわね。
もしかして本気で貴方の子じゃないと疑ってますの?」
「ふん、お前の不貞などどうでもいいわ」
母は意味ありげに父を見つめ、笑い出す。
「馬鹿な人よね……」




