18.王太子殿下とゆかいな仲間たち
「ある、いっしょいくの?」
「うん、最近大変だったんだ。遊びに行ってもいいだろ?おみやげもあるぞ。リコの分も」
「すごい!りこしってるの?なんで?どして?あるてんさい!」
なんだこれ。本当に仲良しか。
「でもいいのか?新婚のくせに」
「ああ。残念ながらクラウディアは王妃教育が満足に成されていなかったんだ。困るよね、嘘つきは。
だからしばらくは早朝から深夜まで勉強漬けだよ。帰った頃には少しは賢くなってるといいけどね」
「……それは勉強嫌いには拷問だな」
ハハ、本当にそこまでのお馬鹿さんだったんだ。
「それにあんな事件があったんだ。行くに決まってるだろう。
クラウディアは慰問なんてするわけ無いし、陛下に任せてたら3年後くらいだ。なぜあんなに落ち着いていられるのか分からんよ」
「まあな。お前だけでも来てくれて嬉しいよ」
「いや、役に立たなかったからな」
意外。本当に辺境の為に動いてたんだ。腹黒って言ってごめんなさい。
「本当は結婚を延期したかったんだけどなぁ」
「それは……恩恵だけ受けて破棄するつもりだったのか?さすがにウルタード王が許さないだろう」
「そうかな。ウルタード王も老いたよね。そろそろ退位を考えた方がいい。娘可愛さであんな状態のを寄越すなんてな。うちならあの程度でいいと言うのか?」
すみません。私は悪くないけど、なんとなく申し訳ない。マグダレナ王女の方が賢いわ。
でも、性格がちょっと……高慢?
以前喧嘩を売られた気がする。私が試験に受かるはずがないとか失礼な事を言われたのだ。
なんでよ。こう見えて勉強は得意なのに。
「どうした。静かだな、ルシア」
「いえ、第二王女の方が賢かったけど性格が微妙だったので、どちらもおすすめできないなと思いまして」
「ふふっ、お前は正直過ぎるだろう。まあ仕方がない。あれは阿呆だが、ルシアを貰えたからな。それで良しとしよう」
「いや、あげてません。1年で帰りますよ」
「なぜ?よりを戻すのか?」
「私は元々ウルタードの人間です。恋人と別れたくらいで国を変えたりしませんよ」
「別れた!?」
あれ?リカルド様知らなかったの?てっきり殿下から聞いてると思ってました。
「そうなんですよ。人が大変な時に浮気してたらしいので別れました」
「……すまない。俺達があんな事件に巻き込んだから」
「違います。上手く利用されちゃったんです。彼の心の弱さを。ですよね?」
殿下の方に振ると、にっこりと笑っている。良い笑顔過ぎて腹が立つ。いつか殴れるかな。
「……まさか結婚延期できないから離婚への布石に利用したのか?ルシアの恋人を?」
あ、本気で怒ってるのよ。ラファが固まった。気持ちは嬉しいけどストーップ!
「ラファ!お腹空いた?お菓子食べよう!」
「ラファ、すまん。少しだけ我慢してくれ。ルシアがアルにいじめられたんだ。叱らないといけないだろう?」
「ある、めよ!いじめたらめなの!」
おう、ラファまで参戦したわ。
「そうだね。でも、その道を選んだのは彼等だ。どれだけお膳立てされようとも揺るがない人間はちゃんといる。たった数日で事が起きたのなら、私が手を出さなくてもいつかは起きてた。
そういう人間だと早めに分かってよかったと思うけど?
だからルシアも私の眉毛を抜いていない」
「は?」
「るーちゃん、まげげとったの?いったいよ?えんえんよ?」
「そう、るーちゃんはまげげ取っちゃったんだよ怖いよね。ついでにまつ毛もだって!」
こ〜れ〜は〜ご自分にも掛けて欲しいという催促かしら。
「大丈夫よ、ラファ。私の魔法は痛くないの。殿下が見本になって下さるみたい。見る?見たいよね?」
「ルシア、大変申し訳なかった。反省しているから今回だけ許してくれないだろうか」
謝るの早いな!でもそうなのよね。殿下の言う通りだ。あれは二人とウルタードの陣営が悪い。殿下も少しは悪いけどね。
「仕方がないので今回だけ許します。眉無しで慰問に行くわけにはいきませんから」
「いいのか?アルのこと殴ってもいいぞ。あとで治癒魔法を掛ければいい」
ラファの前で何て事を言うの!
「本当にいいです。そんなに怒ってないので。
おかげで辺境に来られたし、私は満足してますよ」
「うん、ルシアは絶対に辺境が合ってると思ったんだ。私を褒めろ、リカルド」
「るーちゃん、ずっといっしょ?やった!」
あー、ラファが喜んでしまった。なんだろう、この馬車。すっごく疲れる。殿下が増えただけですっごく疲れる!!
でも、おかけでセシリオのことを考える暇もない。よかった。のかな。




