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伝説の一族〜キャンピングカーで転移した先は母の故郷のようです〜  作者: 梅丸みかん


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28, 再び異世界へ

 一通り買い物が終わると私達は自宅に戻ってきた。家に戻る前に山田のおばあちゃんにお米と野菜のお礼として豆大福を買って行った。昔、おばあちゃんが好きでよく食べていたことを思い出したのだ。おばあちゃんはすこぶる喜んで、また私に何かくれようとしていたけど、丁寧に断ってやっと家に戻ってくることができた。


 家の中に入り、居間の時計を見ると既に一時を回っていた。遅めのお昼ご飯を食べることにする。


 スーパーのお惣菜コーナーで色んな種類のおにぎりとインスタント味噌汁を買ってきたのだ。何とこれらはレイトのリクエストである。


 レイトがクラメイル帝国に連れて行かれる前、レーナの郷ではよく食べていたんだとか。

 私は驚きを隠せなかった。だっておにぎりに味噌汁って日本の伝統食ではないか。もしかして遥か昔に女神レーナが召喚したレーナ一族の始祖は元は日本人だったのではないかと思った。


 レイトが米が好きなら山田のおばあちゃんから沢山玄米を貰えたのは幸運だった。


 もしかしたら梅干を嫌がっていたのも食べたことがあるからだろう。幼い頃に食べて……今も十分幼いけど……その酸っぱさを思い出したのかも知れない。


「ねぇ、レイト、この梅干しのおにぎり食べる?」

 試しにもう一度聞いてみたら、以前と同じ様に思いっきり頭を横に振って

「食べない。だって、酸っぱいもん」

 とレイトが言った。やっぱり以前食べたことがあるのだろう。


 そう言えば母の料理もやたらと和食ばかりだった。和食は好きだけどたまには洋食も食べたいと言ったら料理本と奮闘していたっけ。きっと母も地球に来る前からレーナの郷で当たり前の様に和食を食べてたのだろう。


 海苔にワカメに味噌に醤油……日持ちするものをと思って色々買ってきた。鰹節に昆布の佃煮まで買ってきたから、おにぎりと味噌汁を作って食べれば当分は持つに違いない。


 パンも買ったけど、日が経つとカビてしまうので少しだけにした。


 さて、再び異世界に転移しよう。


 私は多めに自分の服と下着をカバンに詰め、キャンピングカーに乗せた。レイトの服と下着はタグと値札を外して収納ボックスのまま車に運ぶ。さっき買った絵本をずっと持ち歩いているレイトを見ると可愛くて頬が緩んでくる。よっぽど気に入ったらしい。


 レイトが選んだ絵本が「桃太郎」だったのはちょっと不思議に思ったけど、どうやら母が同じ様な本を作ってあげていたらしい。やっぱり母は無意識に前世の記憶を引き出してその絵本をレイトに作ってあげたのかも知れない。


 キャンピングカーの運転席に座ると、さっき使った霊元石は白くなってマナが貯まるまで使えないので地球に戻ってくる時にやった通り、別の霊元石と入れ替える。


 白くなった霊元石は簡単に取り外すことができ、取り外すと不思議と霊元石の埋まっていた場所は穴が空いているわけでもなく平らになっていた。さっきまで埋まっていた霊元石と同じ大きさの深緑の霊元石二つを同じ場所に置くと霊元石はゆっくりと半分まで埋まっていく。


 何度見ても不思議だ。その不思議さにじっと見入ってしまう。


 どういう仕組みなのかしら? 全く分からないわね。


『アマネ、ずっと霊元石を見つめてどうした? 転移しないのか?』

 ベガの声が私の頭の中に届いた。


「あっ、そうね。じゃあ、皆さーん、行きますよー」

 私は我に返ると、号令と共にマナに力を放出した。


 光が収まると、目の前に見慣れた壮大な黒山が現れた。


 元いた場所にちゃんと戻れたことに安堵する。


「さてと、これからどこに向かってキャンピングカーを走らせればいいのかしら?」

『そうじゃな、クラメイル帝国の帝都に向かうのがよかろう。クレハを召喚できるほどの魔術を使える者だとしたら、クラメイルの貴族か皇族に違いないだろうからな。平民は魔力が少ないし、他国の者は魔術自体あまり浸透していない』

「皇族……」

 私はシルマの言葉に躊躇する。


『心配するな、アマネ。レイトが眠りについてからこの世界では百年近く経っているのだ。レイトを知る者は既に皇族の中にも貴族の中にもおらぬだろう』

 ベガの言葉に納得するものの何故か嫌な予感が拭えない。それでも他にどこに行けばいいのか検討もつかない。


 通常ならベガは主人である母と意思疎通が出来る筈なのだが、護りの結界が発動しているせいでそれは叶わないと言う。だから、母の居場所が分からない。


 やはり、シルマの言う通り母を召喚した者がいる確率が高いクラメイル帝国の帝都へ行くしかないだろう。


『アマネ、カーナビが使えるぞ。クラメイル帝国の帝都の都市名はパーセルだ』

 私はベガの言葉を受けて、カーナビに目的地として「パーセル」と打ち込んだ。ナビがちゃんとその名を受け取ったとこを見ると今でも「パーセル」と言う名の都市がちゃんと存在する様だ。


 ソファーを見るとレイトが眠そうに座ったまま首をコックリコックリと揺らしていた。私はレイトを横に寝かせてブランケットをかけると、運転席に腰掛けエンジンをかけた。


 これからクラメイル帝国の帝都パーセルに向かって出発だ。初めての異世界の街。不安は大きいが、その中には少しだけワクワク感が隠れていた。


 私はゆっくりとアクセルを踏みキャンピングカーをスタートさせた後、自動運転に切り替えた。

 これから出会うこの世界の人達が良い人でありますように……と祈りながら……

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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