第二話 <異世界>
〜前回までのあらすじ〜
佐藤涼は、大学卒業後、平凡な日常を送っていたが、ある夜、車を運転中に事故に遭い意識を失った。目を覚ますと、見知らぬ豪華な部屋に横たわっており、自分の体が幼児のように小さくなっていることに気づく。周囲の状況はまるで別世界で、彼は「カール様」と呼ばれる人物になっていることを知る。彼を見守る使用人や、心配そうに現れる新たな人物から、何か重大な出来事があったことを察するが、涼は自分が転生したのか、夢を見ているのか、状況を把握できずに戸惑っていた。
涼 「・・・」
--あ、あれ…?
声が出なかった。いや、出せなかった。
その使用人は、驚くほど丁寧に言葉を選びながら、自分に話しかけてくる。
使用人「カール様、お目覚めになられましたか?」
その言葉の意味が、涼の脳に深く食い込む。「カール様」という呼び名に、涼はふと頭を抱えたくなった。
その瞬間、恐怖が一気にこみ上げる。だが、混乱しているのは俺だけではない。周囲の環境や出来事が次々と繋がり、確信が持てないまま、だんだんとその真実が浮かび上がってくる。
――ここは、異世界。俺は転生した。そして、俺は今、どうやら貴族の家に生まれたらしい。
だが、それでもおかしい。なぜ自分が、このような身体になっているのか。目の前の使用人の顔を見ながら、涼は心の中で絶叫した。
涼 「……あれ、俺、確か、佐藤涼って名前だったよな?」
その名前を呟くと、耳に届いたのは、自分の声の幼さだ。今の自分の身体は、間違いなく三歳の子どものものだ。
――どうして自分の意識は20歳のままで、まったく変わらないのだろう?
その事実に、涼は頭をフル回転させた。どうして、自分はこの子どもの姿になっているのか? この屋敷のどこかに、何か重要な理由があるのではないか?
使用人「カール様? ご気分は大丈夫ですか?」
使用人が心配そうに声をかけてきたが、そのままどこかへ行ってしまった。涼は無視して、再び自分の体をじっと見つめる。
--小さな手、足、そしてこの顔。
どこかで見たことがあるような、ないような。自分の知っている顔ではない。まるで、別人のようだ。
涼は再び、深呼吸をした。
--…いや、まずは落ち着かないとな
手探りで状況を把握しようとするが、これがどうやら、自分にとって初めての試練となりそうだということは、すぐに理解できた。
だが、それだけでは済まない。
--まずは状況を把握しよう
そう思った矢先、さっきの使用人が帰ってきた。なにやら後ろにも人を連れている。
使用人「エリザ様!カール様が目覚めました!」
--どうやらこの人が俺の母親のようだ。
この世界での母親。そう、このカールという少年の実母ということだ。そういえばこの家は貴族のようだがこの世界ではどのくらいの立ち位置なのだろうか。
エリザ「カール!よかった。お母さん心配したのよ、いきなり倒れるから。」
--そうかだから寝てたのか。
起きる前までにどんなことがあったのか、この世界はどんな世界なのか。これから調べなくてはいけないことはたくさんある。が、この世界で生きていくためにもそれを調べなくてはいけない。
--うぅむ。何かいい方法はないか
そう考えていたら、誰かが部屋に飛び入ってきた。
???「カール!大丈夫?お兄ちゃん心配したぞ?」
--どうやらこの人は俺の兄のようだ。これで俺が次男以降ということが確定したわけだ。
その事実について考えると、少し心が軽くなった。兄がいるということは兄に色々聞けるということだ。しかも何も不思議がられずに。
〜〜それから俺はカールとしての日々を過ごすことになった〜〜
こんにちは、もしくは初めまして。Charlieです。この度は私の小説を読んでいただき、ありがとうございました。小説を書いた経験は豊富ではありませんが、これからも書き続けられるように頑張りますので、よろしくお願いします。