お嬢様と今後の方針について話し合います
「もちろんですわ!」
世界を救えるくらい強くなりたいのか、という私の問いかけに対して即答しましたね。
さすがリゼお嬢様です。
それでは、そのまま進めましょう。
「わかりました。では、リゼお嬢様の戦闘スタイルを提案させていただきます。ズバリ、拳です」
「……勇者といえば剣ではなくて?」
「リゼお嬢様は勇者ではありませんので。それに、戦場では武器にとらわれない方が良いのですよ」
実際、彼は剣を使って戦うより、指揮することが多かったですし。
不満そうな表情をしていますね。ムスッとした顔も素敵です。
見惚れている場合では無いですね。
「拳を勧める理由ですが、お嬢様のスキルを考慮した結果です」
「わたくしの『属性付与』が?」
「そうです。リゼお嬢様は4色まで付与できますね?」
「ええ。赤、青、黄、黒の4色ですわ」
そう言うとリゼお嬢様は、エッヘンと胸を張る。可愛いですね。
4色は胸を張っていいぐらいの才能です。
ゴールドでも3色がほとんどですからね。使いこなせればプラチナまで行けるでしょう。
「他にも理由はあります。自分の体を使いこなすことに注力できること、身軽になること、武器の性能に影響されないこと等です」
「確かにメリットが多い気がしますわね」
納得してきました。ちょろくて心配になってしまいます。
「一番の理由は、私がリゼお嬢様に教えることができるというところです」
「……そういえば、シャノンのスキルも『属性付与』でしたわね」
「よく覚えていましたね。最初にお会いした時に言っただけだったと思いますが」
「わたくしの専属侍女のことですもの。覚えていて当然ですわ!」
「ありがとうございます。なので、リゼお嬢様の戦闘スタイルには、拳を提案させて頂きます」
「わかりましたわ。シャノンが教えてくれるなら、こんなに心強いことはありませんわね!」
先程からうれしい言葉を投げかけすぎです。
人たらしになってしまわないか、将来が心配になります。
「今から特訓しますの?」
「そうですね……、今のリゼお嬢様が属性付与をどの程度できるか、見てみましょう」
今の時間ですと、第一訓練場は騎士団が訓練で使用しているので、第二訓練場へ向かいます。
「お着替えはどうしますか?」
「付与の確認だけでしたら、大丈夫でしょう」
訓練着のリゼお嬢様を見られるのはまた今度ですね。残念。
第二訓練場に着き、真ん中まで移動します。
「それでは、どの程度できるのか確認します」
「わかりましたわ!」
「単色はすべてできますか?」
「もちろんできますわ!」
リゼお嬢様の拳に、赤、青、黄、黒の順で付与されていきます。
……切り替えの時間も問題ないですね。
「ありがとうございます。次に二色はできますか?」
「黒の混色以外はできますわ!」
そう言うと、紫、朱、緑を次々と付与していきます。
この年齢でここまでできるとは……。才能に溢れてすぎではないでしょうか。
……まさか、三色もできるのでしょうか。
「素晴らしいです。今の段階で、シルバーまでならすぐに上がれるでしょう。……三色はどうでしょうか」
ランクの話で嬉しそうにしていたリゼお嬢様の表情が、しょぼんとなりました。
「三色はまだ出来ませんの……」
できないのが当たり前なので、そんなにうなだれることはないのですが。
「いえいえいえ。二色が3つもできるのはすごいことですよ。ゴールド帯でも、一種類の三色混合でやっている方がいると聞いたこともありますし。リゼお嬢様の年齢なら、まだまだ強くなりますよ」
褒めたいのに変にフォローになってしまっているような気がします。おかしい。
「ホントに強くなれます?」
「もちろんです!リゼお嬢様のためなら、私も一肌脱ぎましょう!」
「シャノン!」
しまった。勢いですごいことを口走ったような気がします。
でも、リゼお嬢様の笑顔を見ていると、間違っていない気がしてきました。
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