序
見つけてしまいましたね?
吉井和彦36歳。流通系の一般企業に勤めていたが、何の因果か戦国時代?の神社に転生してしまった・・・
今の俺、幸丸5歳。この世に生まれ出でてしばらくは必死に状況把握に努めていたがなんでこんなことになったんだ?
ともかく言葉が話せるようになって後は、母上や父上をはじめ神社職員や参詣客にまでいろいろと話を聞き、最近はようやく読み書きもできるようになってきた。いやこの時代の字ってめちゃくちゃ難しいんよ…なんせ全国共通の教科書があるわけでなし楷書もないせいでクセ字がひどい!算術なんかは余裕なんだけどなぁ…
そんなこんなで頭の成長が異常に早く(←当たり前)、多少やらかしたせいで神童とか天照大神(荒魂)の生まれ変わりとか言われて今では近辺でちょっとした有名人である。笑
・・・ちゃうねん…ただ自分の置かれた状況を知るのに必死やってん・・・
だが努力の甲斐あってある程度周辺の状況もわかってきた。まずここは摂津の国『廣田神社』。時は管領の細川様や将軍の足利様が跡目争いをしていると聞くから所謂戦国時代なのだろうと思われる。
それも、近所にあったはずの越水城がまだないから比較的初期の頃なんじゃないかな?
さて、とりあえずの目標としてはうちの神社領(神郷)の拡充と、仮想敵としてすぐ近くに居を構える国人の瓦林氏だな。史実ではこいつが細川高国旗下として越水城を築城してるから多分ここいらで一番力のある国人なんだろう。となると細川高国とも敵対することになるが、どのみち摂津守護は細川京兆家だった気がするし仕方ないか?
問題はいま中国から大内様が入京してることだな…大内入京ということは大内義興か…通商を考えると大内とは敵対したくないなぁ・・・
どうも話を聞く限りすでに瓦林殿は高国と誼を通じてるようであるし、できればうまく取り込んで高国と折衝でうちの神郷を確立したいところだが難しいかな?
捕らぬ狸の皮算用、まずは神郷に存在する惣村と国人衆の掌握だな。特に直近の西宮商人衆の掌握は欠かせん。
父上やお爺様に聞いてビックリしたんだが、かつての神郷は『向か津峰』と呼ばれている六甲山全山と神戸市東部から尼崎市西部にまで及んだらしい。時代の流れとともに国人や時の武家政権などによって押領されてるらしいので、できればそれを回復したい。
しかし、自称歴オタだった俺ではあるが専門的なことはおろか一般知識に毛の生えた程度の知識しかないんだよな…生まれ育ちが兵庫県西宮だったので廣田神社と聞いて土地にはすぐにピンときたわけだが、こんなとき使える現代人チートの知識がほとんどないぞ?せいぜい現世の祖父母が農家だったことでその当時の現代農業のやり方をちょっと知ってるくらい・・・この時代じゃほとんど使えねえぇぇ;
モノづくりで何か使える知識あったかな?
権威と実益か…なんとかして金を稼ぐ方法を探さないとな・・
広田神社は実在の神社です。また、作品中ほかにも実在の神社等が登場いたしますが、もしその関係者の方がおられましても『フィクション』としてお読みくだされば幸いです・・・