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第8話

 ぅあああぁぁあぁ……。

 わたし何やってんの?!


 おじさんの前で大泣きして、しかもあんな抱、抱きしめたりして……!

 ううん、ちがう! あれはわたしから抱きついたんじゃなくて、おじさんが抱きしめてきたの! だからノーカン!


 っていうかその後わたしの寝顔も見られてたってことだよね?

 ぅああぁぁ……。恥ずかしすぎて死ぬ……。


「………………はぁ」


 あんなおじさんのどこがいいんだろう?

 顔は全然かっこよくないし、なんか頼りない雰囲気だし。ああ、でも、ぎゅうって抱きしめられたときは暖かくて安心して優しく包み込まれてるみたいで……。そういう意味では頼りがいがあるのかな?

 えっと……包容力、だっけ? 大人の男の人って感じで、そこはまあ、うん、悪くないかも……。


「~~ッ」


 ああ、もうっ。

 なんでおじさんのこと考えただけでこんなドキドキするの?!

 体中が熱くなって、胸の奥がキュってなって、こんなの……おじさんが好きだって認めるしかないじゃん……。


「………………スキ」


 ~~~~~~ッ!!

 ヤバイ! なにこれ恥ずかしすぎる?! 今すぐ死にたい……!


「ちょっとー、なにバタバタやってるの~」

「ご、ごめん、なんでもない!」


 ベッドの上でジタバタしてたらお母さんに叱られてしまった。

 その時ベッドに紙切れが落ちているのに気がついた。暴れたときに服から落ちたのかもしれないけど、こんな紙切れ持ってたかな?

 見てみるとそれはあの女の人がわたしに向けて書いたものだった。

 わたしが何をされているか、大体の事情を理解している。解決の相談にのることができる。

 そんな事が書いてあり、最後にあの人の連絡先と思われるものも。


「……」


 正直に言って、どうするのが正解なんてさっぱりわからない。

 このまま耐え続けていればそのうち……おそらく卒業すれば全部終わるんじゃないか。そういう気持ちもある。けど、本当にそれで終わるかなんてわからない。

 でも、それで終わるなら、お父さんにもお母さんにも心配をかけなくて済む。わたし一人が我慢して、それで全部何もなかったみたいになるならそれが一番いいんじゃないか?

 そう、思っていたけど……。


「……おじさん」


 そういえばわたし、おじさんの名前も知らないや。

 はぁ、こういう場面でつぶやくのって相手の名前じゃないの? おじさんって、なんか色々台無し。


「ふ、あはは」


 相談してみよう。

 子供のわたしがあれこれ考えるより、大人の人に相談したほうがきっとうまくいくよね?

 お父さんとお母さんには辛い思いさせちゃうかもしれないけど、このまま我慢し続けるなんて嫌だ。


 そうだよ。そもそもなんでわたしが我慢しないといけないの?

 悪いのは全部あいつじゃん。

 わたしだけ嫌な思いをして、あいつがのうのうと教師を続けるなんて許せない。


 もう一度あの女の人の連絡先を確認しようとしたところで、まだ続きがあることに気付いた。


 『P.S. 恋の相談にも乗るよ』

「~~ッ?!」


 うぅ、なんでそんなことまでお見通しなの?

 直接話してもいないのにわたしの事情まで理解してて、正直ちょっと怖いんだけど。

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