第3話
「え? 俺? まじ?」
と僕が答えると彼女は
「そう、君」
とだけ返した。
少しだけ僕は考えたあとこう言った。
「わかった……。それで具体的に何をしてほしいの」
そう僕が言うと彼女は驚いた顔をしてこう言った。
「へぇ、あなた意外とお人好しなんだね」
「どうせ、長くない命だから、騙されたと思って誰かの話に付き合うのもありかなって」
「長くない命って、何の話?」
「さぁ、何の話だろうね?」
僕は、食い気味で言って話をはぐらかした後こう続けた。
「で、僕は何をすればいいんだい?」
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「それでこれが本当に僕がお手伝いしないといけないことなのかい?」
翌日、出かけたのは学校ではなく某遊園地だった。何とかパークとか、ハリーなんちゃらとかのアトラクションがある、あの遊園地だ。
「私は、ここで『素の私』で思いっきり楽しむの。君はその私が楽しむためのお手伝いをするの」
「そんなの、一人でいいじゃん」
「やだよ、一人で遊園地なんか」
即答だ。驚くぐらい食い気味で彼女は返答した。
「でも、根暗な俺と“マドンナ”が一緒にいるとこ目撃されたら、居場所失うんじゃないの」
「だから、平日、学校さぼって行ってるのよ。それぐらいわかってよ」
はぁ、面倒くさい女だ。というより学校をさぼって行っている時点でもうイメージを失っているのでは?と内心思いながら僕は、その遊園地へと足を踏み入れた。
「あ~~~~~~、楽しかった!!!!」
今だ興奮が冷めやらぬという感じの彼女の隣で僕は、げんなりとしていた。
「あれ~~~~?? 阪上く~ん、元気ないね~~。どうしたの???」
「どうしたも、こうしたもないよ!!俺はジェットコースター苦手なのに、なんであんだけ乗らせたんだよ!!!!」
「え~~? だって、楽しかったやもん。フライング〇〇とか……」
「名前を言わないでくれ。思い出して吐き気がする!!!」
「あははは!!!! 面白いね!!!!」
「面白いね、じゃねぇーーーーーー!!!!!!」
こんな感じで、ひとしきり彼女と帰りの途中で言い合っていると、乗り換え駅に着いた。ここで、彼女とはお別れだ。
「じゃぁ、またね~~!! 『次』もよろしね」
と言って彼女は去っていった。ほんとめんどくさい女だ。
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その週末。僕は女子の間では超大人気なパンケーキ屋につれていかれた。
その日は、このパンケーキ屋にとって特別な日らしく割引になっていた。それを、待ってましたかのように長蛇の列ができていた。
「は?これに並ぶの??」
と、僕が呆れたように言うと彼女はこう言った。
「そうだよ。ここのパンケーキすっごくおいしんだ~~」
「でも、この列なんだけど?」
と、僕が見えている長蛇の列を指して言うと
「この長蛇の列に並んでも食う価値はある!!!」
と、彼女は興奮したように言う。
「はぁ、二郎のラーメンじゃないんだから……」
とぼそっと呟くと、彼女はかぶせるように気持ちでかい声でこう脅した。
「あ?? お前、私の分奢らせるぞ」
「そ、それだけは勘弁~~」
非常に彼女は怖い。結局この後1時間以上並んで、パンケーキを食べた。彼女が、とても幸せそうに食べるのを横目に見ながら、金欠の僕はコーヒーしか頼めなかった。嗚呼、人生。
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それから2週間ほど、僕は彼女の言われるがまま振り回されていた。ショッピングモールに連れていかれて服を選んだり、いきなりドンキに行って花火を買ってきたと思ったら河川敷で花火をし始めたり、はたまた公園で2時間いただけのときもあった。
この日も、彼女の行きたいカフェに連れていかれた。このころには彼女と他愛のない話もできるようになった。そんなとき僕はこう呟いた。
「こういうカフェ、君のクラスメートとか友達と行くともっと楽しそうだね」
その言葉を言った瞬間、空気が凍り付いた気がした。明らかに今までとは違う空気。しかし、その空気は一瞬で溶けて彼女は「そうだねー」と軽く返していた。
次の日から、彼女は屋上から忽然と姿を消してしまった。




