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よろしくお願いします。
柔らかな光を感じて身動いだ。
優しい何かに包まれているような感覚に目をゆっくりと開くと、眠っているオーウェンの顔が目の前にある。一瞬硬直し、そっと息を吐いた。
そうだわ。私、昨日。
昨日のことを思い出してぶわわと身体中が熱を持った。
思わず顔を背けてしまったが、すぐにまた眠る顔を覗く。
私を想ってくれていたと。
愛していると、言ってくれた。
そっと指先で頬を撫でると喜びとも愛しさともいえる感情で全身が満たされた。
「私も、あなたを愛しているわ」
そっと囁くと両の瞳がうっすらと開き、いつもとは違う眠たげな瞳が私を見て愛しげに細められた。
緩慢な動きで顔が近づいて来て目を閉じると額に柔らかい温もりを感じた。
次は瞼へ。目尻、鼻、頬。
「ひ、ぁ……っ」
耳に来た温もりはカリという音を響かせて、思わず声が漏れる。
パッと顔が離れ、見上げると半分だった瞳はまん丸になり「うわっ!」と声を上げて飛び退った。
「ちょっと!」
間一髪、逃げるその腕を取る。もう少しでベッドから落ちるところだった。ほっと息をついたが、腕の主は口をパクパクと動かし「ゆ、夢じゃない……」と呟いた。
「……普段どんな夢を見てるのよ」
人を見て『うわっ』はいくらなんでも酷いし、妙な夢を見られていると思うと居心地が悪い。
夢の中の私の方が絶対に可愛いだろうし……。
「夢の方がいいなら、夢にしてしまう?」
「えっ、だ、駄目です!!」
拗ねて言ってみるとオーウェンは慌てて戻ってきて、絶対に離さないと言わんばかりに抱きしめられた。
「すみません、朝日を浴びるあなたがあまりにも綺麗で、その……」
「夢の中の私だと思ったのね?」
「すみません……」
綺麗なんて言葉で誤魔化されてやるものか。
「いつもああいう夢を見てると」
「い、いつもでは……」
「夢の中の私はあなたに何をしてくれた?」
無言で目をそらされた。
「言えないようなことなの……!?」
「そんなことありません! ですけど、ゆ、夢の内容を話すのは気恥ずかしく……」
「恥ずかしいことをされたわけね」
「もう勘弁してください……俺だって男なんです! 好きな人の夢くらい見ますよ……」
嘆くように言われて胸が高鳴る。好きな人の夢、だって。
「ねぇ、何してくれたのか、教えて?」
「もう機嫌をなおしてください。言えませんよ、そんなこと」
「だって……私もしたいわ。現実の私がしたら駄目なの?」
そっと伺うように目線を合わせると、眉の下がった困り顔がゆっくりと愛おしげに変わっていく。
「あなたが俺にして駄目なことなど何一つありませんよ」
音を立ててオーウェンの唇が私の額に触れる。
頬にも触れて、そっと耳に触れたらざらりとした感覚があった。
体がびくりと震え、息が漏れた。
ゆっくりと体が横たえられて、背中にベッドの柔らかさを感じる。
首、鎖骨と唇が降りてきて、突然顔を上げたオーウェンと目が合った。
「エルザ」
「……なぁに?」
「…………今、何時です?」
二人してベッドから飛び起きて、朝食を抜く羽目になった。
なんと締まらない交際初日だろう。
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