19予感的中? いいえ、悪い意味でです!
――7年前。10歳の頃の俊介は複雑な気持ちで、その家の前に立っていた。
築13年にして、中古の一軒家で2階建て。
敷地は広々としているし、日当たりも良好。思う存分遊べそうな大きな庭では、ゼラニウムの花が咲いている――これだけの好条件で、何が不満なのか。
答えは単純。
今日から慣れ親しんだ孤児院を出て、新しい家で暮らすことになったからだ。
理由は3つある。
1つは、今日から高宮俊介という苗字を捨てなければならないことだ――しかしこれは別に、高宮の性にこだわりを持っていたからではない。親を亡くし、他に何もない俊介が持っている唯一のアイデンティティ――それが、高宮という苗字だったからだ。
2つめは、孤児院で仲良くなった友達と離れ離れになってしまったこと。特に、今まで兄妹のように自分と仲良く遊んでくれた女の子の「レンちゃん」。親身になって色々と相談に乗ってくれた「望月先生」。そうした施設の中で知り合った人達と、もう会えなくなってしまったことに、俊介は寂しさを覚えているのだ。
最後の3つめは、今から暮らす家族と、仲良く出来るかということ。
義理の両親とは、孤児院で何度か会っているので、おおよその人柄は分かっている。しかし、その両親には4人もの妹がいるという。親が良い人なのだから、子供も良い人とは限らない――それは俊介が、1番よく分かっていることだった。
この時の俊介の悪い予感は、別の意味で当たることになるのだが。
別の意味とは。
結論から言えば妹達との仲は、まるで険悪なものにはならなかった。それどころか、1人の異性として深く愛されてしまうハメになってしまったからだ。
が、そんなことになるとは露知らず。俊介は今日から暮らす我が家――井川家の外観を眺めていたのだった。




