32諦める? いいえ、諦めません!
「みんな……ごめんなさい……」
「スズねーねー、泣かないで……」
「そうですわ。一生懸命やった結果ですもの。誰も貴方を責めませんわ」
「まあ、スズにしては頑張ったんじゃない?」
と、勝負が終わって。
泣きじゃくる美鈴を慰める、ましろ、和姫、レイラの3人だった。
すると、ニッコリ笑った恋華が、
「じゃあ、最後は私とましろちゃんの勝負だね」
「ふえ? で、でも……」
「もし私が負けたら、ましろちゃんに2勝分プレゼントしちゃうよ?」
「にしょー?」
きょとんとするましろに向かって、恋華は微笑を浮かべながら、
「そう、2勝。ましろちゃんはまだ7歳だし、これぐらいのハンデはあって当然だよ。その代わり、私が勝ったらそのまま俊介君との交際は認めてもらうけどね」
「ましろがかったら、かち?」
「まあ勝ちというか、最初の状態に戻るんだね。互角、引き分け、イーブン。どう? やってみる価値はあるでしょう?」
「????」
なおも首を傾げるましろの目の前までかがみながら、恋華は穏やかながらも、少し真剣な表情で、
「ましろちゃんがもし私に勝てたら、もう一度みんなにもチャンスが生まれるってことだよ。でも、ここでましろちゃんが逃げちゃったら、みんなは大好きな俊介お兄ちゃんを諦めないといけない。それでもいいの?」
「いや! 絶対いや!」
「でしょ? 勿論、ましろちゃんの1番得意な勝負でいいよ。頭を使うのが苦手なら、じゃんけんだっていい。でもね? 何もしなければ、何も得るものはないんだよ?」
「わかった! ましろ、恋華おねーちゃんとたたかう!」
「その意気だよましろちゃん! でもね、恋華おねーちゃんだって負けないからね? ましろちゃんだって、立派なライバルなんだから。だから、全力を尽くして戦おうね!」
ましろの熱意に、恋華は満面の笑みで答えるのだった。
「やりなさいな、ましろ! 貴方には、わたくし達がついてますわ!」
「そうよ、ましろ。あなたにも、わたしと同じ終極神の血が流れているんだから」
「頑張ってましろちゃん! ましろちゃんなら勝てるからね!」
そのましろにエールを送る、和姫、レイラ、美鈴の3人。
しかし、敵である妹軍団にチャンスをあげるとは、相変わらず恋華は何を考えているのか。依然として分からないままだったが、俊介にはそれでもよかった。
俊介が望むのは無理のない兄離れであって、妹達の悲しむ顔ではない。妹達も恋華も、そして俊介自身も納得できなければ、偽装恋人など何の意味もない。
俊介がそんなことを考えていると、恋華はましろに向かって、
「それじゃあ、やろうか。ましろちゃんは、どんな勝負がしたい?」
そう尋ねると、ましろはニッコリと笑って、
「えーっとね。ましろ、しりとりがやりたい!」




