第1話 少女の願い
私は今、牢屋のようなところにいる。
そして、手錠と足かせがついている。
産まれて生後1ヶ月で手錠と足かせをつけたので、アザができている。痛いけどもう慣れてしまった。
どうしてこんなことになったのだろう。私が罪を犯したのだろうか。
もし犯したといえば、奴隷と奴隷の間に産まれたことだろうか。
こんなことを考えても無駄だ。そんなことは分かっている。
そろそろ兵士が来る頃だろうか。兵士がきたら勉強の時間だ。
小さい頃から育てられるので完璧な奴隷にして、高く売れるようにしようとしているらしい。
「おい、そこの化け物。勉強と訓練の時間だ。頑張ったら餌をやる」
・・・・・・兵士が来たようだ。
餌をやるなんかいってるが、ここ一週間何も貰っていない。
だが、よくあることだ。
お腹が空くのも慣れている。というか、一ヶ月は食べなくても大丈夫だ。
だから兵士からは化け物と言われている。
まぁ、化け物と言われる理由はまだある。
それは、一度教えたことは必ず覚えているし、他の奴隷と比べかなり力がある。
たったそれだけで化け物と言われるのはさすがに嫌だ。
もうこんな人生、生きている意味はあるのだろうか。
といっても、まだ5歳だが。
「おい、化け物以外ここから出ろ」
・・・・・また売られていくのか。
みんな絶望的な顔をしている。
・・・・・私もそんな顔をしているのだろうか。
まぁ、こんなところで笑顔になれと言うほうが無理な話か。
私ももう少しで売られていくのかな?
こんな狭いところにいても、夢ややりたいことぐらいある。
例えば、友達が欲しい。草原をおもいっきり走ってみたい。お腹いっぱい食べてみたい。
――――――――自由に、生きてみたい。
だが、私は奴隷だ。こんな夢かなわないのは分かっている。
神よ、本当にいるなら、この願いをかなえて欲しい。
私は、鉄格子から僅かに見える月に向かってお願いをした。