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第4話 ネオンの発動

週2ぐらいで投稿出来るといいな・・・。


ーーー力も、持つ人間次第か。ーーー



日々膨らむばかりのオレの悩みの種に気づく事も無く、オスタのおっさんは今日の講義資料を手渡してきた。



「さて、今日は昨日講義したこっちの世界情勢の続きを話していくから、地図から見てくれ。」


「へーい。」



------------------------


講義の内容としては、この浮遊都市パラネラと、大陸にある三大国家を取り巻く状況について。


ひとまず三大国家は次の通り。



【アダリア正教国】

ロマーナ大陸中央部に大きな領土を持つ、世界最大の連合勢力「正教徒騎士団連合」の本部のある国。国の名前にもなっている「アダリア正教」を中心とした荘厳で厳粛な国だそうだ。


ただ、騎士団連合は各地の支部によってその様相を変え、白で統一された装備が印象的な勢力で騎士団とは銘打ってあるものの、規律であるとか博愛の精神とはほど遠い、「白い正義と暴力の集団」なんて揶揄される事もしばしば。



【法術国家ザミアス】

法術の王族と言われる一族が治める法術国家。魔法とは違う理論体系で行使されるという法術の祖と言われる一族が代々統治している大陸北部の小国。


一国の勢力としては最大規模の「ザミアス法術院 百位階」という独自の機関をもっていて、化け物みたいな法術士が文字通り百人もいるらしい。


【ルークランド共和国】

いわゆる自由貿易協定を結んだ大陸南部の都市が集まってできた商業国家。各種産業が盛んで主に製鉄業、繊維業が産業の中心。


国の名前の由来も、製鉄王と呼ばれた「ルークランド家」から取られており、現在はその子孫が首相。議会制民主主義で、より現代の世界に近い国家体制。近年、鉄鋼技術に魔法を取り入れた魔導機構マキナの発明等で技術革新の真っただ中。



その他、アダリア正教国から先に進むと、東の小国【サツマ】。ヨウラン亭の生みの親ヒムカさんは、ここを目指して旅立ったそうだ。それと、南の果てにある小島【ユーリカ】。



【中立都市パラネラ】

ロマーナ大陸から西へ50キロ(ぐらい)。浮遊都市パラネラとの通称だが、正式名称は中立都市。


あらゆる他国間の戦争等に対して介入する事なく、中立の立場を取る。自衛の為以外は戦争をする権利を持たないらしい。自衛出来る戦力があるのかと思ったら、転移の初日に見た一個小隊を思い出した。「パラネラ神殿師団」という魔法戦闘に特化した防衛部隊らしいが、直径10キロの国とも言えない都市レベルだしね。


上記のサツマ以外の4つの都市・国家にそれぞれ1つづつ転移魔法陣があり、各法学院で転移者の対応・教育等を行っている。



------------------------


んーーーーオレも優秀な説明キャラになったもんだ。





「アダリアからサツマが独立する時の内乱が約50年程前、それから各国とも争いらしい争いもなく平和にやってきたんだが、、最近、どうも各国がキナ臭くなってきてな。」


「キナ臭い?」



「妙な動きをし始めているって事だ。」大げさな溜息をつきながら、オスタは立ち上がる。


そして腰のポケットに手を入れて金色の懐中時計を取り出し、時間を確認すると愛用の革のトランクに荷物をまとめ始めた。



「よし、レンガ。座学に関しては今日のこの講義で全て終了だ。この後は魔法術、および戦闘の実践訓練となる。気を引き締めて掛からないとルミナの時と違って怪我する事になるからな。」



「ルミナさんの事件は巻き添えだっての、、。って、あれ?おっさんどこいくの?」



「実践訓練は別の者にお願いしておってな。ワシは少しの間パラネラを離れるつもりだ。」



ガタンッ!!「おいおいっ!そんな突然どうしたっ?」思わず身を乗り出し机が倒れる。



「まあ、旧友に久々に呼ばれて遊びに来いといったところだ。」



「さっきのキナ臭い話しだな。」



「流石にこの話しの流れだと気付くか。ははっ!」





「・・・それをオレに気づかせたのは、、、、オレに少なからず関わりがあるからか?」





「・・・そこまで自意識過剰に取っちゃいかん。」




そんな事言われたら、カッコつけた分カッコ悪いじゃないか。バカオスタ。



「旧友にたまには顔を見せろと呼ばれたのは確かでな。一緒に飲み明かそうとは言ってきてはおるが、おおよそキナ臭い話しだろうて。まあこちらも一度確認したい所もあったからちょうど良かった。」



「あーそー。」ガタガタ。せっかくの前振りを台無しにされたオレは、倒れた机を戻しながら答える。



「・・・やる気ないのう。もうすぐ実践訓練の臨時講師が来る頃じゃぞ。」



「臨時講師?なんで?」



「法学院の正規の講師では無いが、たまたまパラネラに滞在しておったので臨時で講師をお願いしてな。それにレンガの転移粒子ネオンの特性は既存の講師では不向きじゃて。」



「えー。知らない人とは仲良くできません。」



「1週間で馴染んだ転移者はお前が初めてだ、バカモン。」



「そうよ、馴染み過ぎよレンガくん。」



「うっさいハゲ。・・・ん?」



違和感無く会話に入ってきたのは、褐色の肌と官能的な衣装の女性。肌の露出の多いヒラヒラとしたその独特なデザインは、ベリーダンスの踊り子をイメージさせる。



「ちょっとー・・・」


腰から下は装飾のベルトと、鮮やかな紫の長めのゆったりとしたスカートだが、そのしなやかな肢体は隠せない。



「おーいレンガく・・・」



露出度も高いし扇情的な衣装なのに、不思議エロスはそれほど感じないのはなぜだ。褐色で引き締まった身体が衣装にしっかりマッチしているからこそ、このクオリティ。これが真っ白い肌にモチモチだったら・・・「悪かったわね。褐色で。」



ドガッっ!!「ウブォッッ!!!!!?」



ガタガタンッ!!



「お会いできて嬉しいわ。レンガくん。」



「・・・口に出ておったよ、レンガ・・・。」



「・・・・・はっ!?オレは一体何を?」



踊り子風の女性を茫然と見上げると、苦笑いのオスタが手を差し延ばす。その手につかまりながら立つと、その女性の身長が思ったほど高くない事に気付いた。


艶のある綺麗な黒いロングストレートの髪と程よい褐色の肌、整えられた眉と薄緑の瞳が凛としたイメージを持たせる。



「紹介しよう。彼女の名前はオフェリア、割と名の通った、、そうじゃの、傭兵といったところかの。」



「よろしくお願いします、オフェリアさん。」


もちろん視線は胸に。そして一礼。




「んーーよしよし。欲望に正直な子ね。」



頭をヨシヨシされながらも、視線はブレる事なく一点を見つめるレンガであった。



------------------------



そんな訳で引き継ぎは無事終了し、オスタのおっさんは旅立っていった。


早速実践訓練という事で、法学院地下の訓練場に移動するのだが、目の前のオフェリアさんの恰好が周りの視線を集めまくっていて非常に居心地が悪い。。本人いわく「今日は初日だから張り切ってきたのよん。」との事。


「どの方向に張り切ってんだよ・・・。」



「ぶつくさ言わないの、レンガくん。ほら、着いたわよ。」



「ん・・。おおっっ!!!広い!!」



広がっていたのは地下とは思えない大空間。天井高はゆうに10mは超えており、奥行きたるやサッカーコートが7から8面は入りそうな勢いだ。そんな広さの訓練場に、いくつかのグループに分かれて魔法の発動訓練や、実践形式で演習を行っている姿が見える。


そんないわゆる一般研究生レベルの実践訓練の真っ最中に、派手な踊り子とウワサの転移者【万年研究生】が訓練場のど真ん中まで歩いて行く。場違い感がハンパない・・。



「じゃあ早速だけど、例の転移粒子ネオンを見せて貰える?」



「え?ああ、どうだっけな・・。確か両手を突き出して、、、んんっっ!!」


儚げな紫の蛍サイズの光が手からフワッと一粒舞う。


・・・ププッ!!クスクスッ!!・・・笑っちゃ悪いよ・・・ククッ!周りから失笑が聞こえる。


いや結局笑ってんじゃん、最後のヤツ。まあ笑うよな。


「それで全力なの?レンガくん。」妖艶なしぐさで腕組みをして首をかしげる。生唾を飲む音が・・。



「ああ、、、。」



突然、近寄ってきたオフェリアさんがオレのお腹の前に手をかざしたと思ったら、目つきが変わった!



炎よ猛り狂え!(バーンウェイド!)」 「おいっ!!!?」



一瞬目の前が赤く光ったと思ったら、次の瞬間には至近距離で大爆発。激しい衝撃が身体の中心を貫いて、その勢いはエビの様にくの字に曲がった身体を吹き飛ばした。「いやぁぁっっ!」辺りの生徒たちから悲鳴があがる。



「うぐっっ!!!」数秒滞空ののち地面に激突、ゴロゴロと数メートル転がってようやく止まる。




「どう、生きてるぅ?レンガくん。」


これ以上無いくらい満面の笑みで聞いてくるオフェリアさんに、あまりに理不尽な行動との矛盾を感じて怒りがこみ上げる。


「何してくれてんだっ!あの爆発で死んでたらどうすんだよっ!!!」・・・ん?



・・・んん?



「そうだね。レンガくん、生きてるね。」相変わらず満面の笑みだ。



「どういう、、こと、、だ?」



「レンガくんね、魔法が発動する瞬間にネオンを発生させて防いだのよ。」



「オレが?ネオンを?」



「正確には、瞬間的にネオンを発生させて爆発の炎や熱量を少しだけ転移して方向を変えた・・・弾いたっていう方が正しいかもね。まだネオンの量が少なくて衝撃のベクトルはコントロールできなかったみたい。」



そういわれて左を見るとへたり込んでいる生徒の横を真っ黒な焦げ跡が数メートルに渡って残っていた。良かった、、人的被害が出てない事が救いだ。



「なんちゅう荒療治を・・・。」



「まあ、結果オーライ。臨時講師なんてこんなもんよ、レンガくん。」


「本人がソレを言うか。」



「でもさっきので何となく原因が分かったわ。ネオンを生み出す?時ってどんなイメージでやってるの?」



「どんなイメージって、、、蛇口を全力で開くイメージ?固くて錆びついてるけど。」



「なるほどね。じゃあ今度はこんなイメージでしてみて・・・・・・」






・・・・・さっきの爆発とか、いったい何やってんのあの二人?・・・・・


・・・・・しかもあれ直撃したら即死クラスの魔法だったろ?いや、マジだって・・・・



もう他の一般研究生も、その講師陣も気が気ではない。あわやレンガの弾いた炎を食らいかけた研究生のチームはすでに訓練場から姿を消していた。講師陣の中には、臨時講師としてある日突然登録されたオフィリアに対して、良くない感情を持つものもおり、訓練場に一触即発の空気が漂い始める中、、、



ヴォォン!という低い振動音とともに、レンガの身体全体から紫色の転移粒子、ネオンが放たれる。さながら紫色の炎を纏った様な姿に見え、一時のあと消えた。



・・・・・・「「「おおおおおおお!」」」訓練場がざわつく。・・・・・・



「出たっ!!このイメージか!」



「そうね、あとはこのイメージを持続・拡大する様にトレーニングする事ね。」



ニコっと笑ったオフィリアさんの右人差し指がこっちに向いてる。なんかヤバイ。



「スーキーありっ!」指先から拳大こぶしだいの火球が放たれる、もちろんオレに向かって。



「隙は無いっ!!!」解放したネオンを右手前に集中!火球をいなす様に、、、弾くっ!


パァンと軽い破裂音と共に火球が上に弾かれ、そのまま中空で消滅した。



「やぁーーーーやるじゃない!!!レンガくん!」



オフィリアさんは走ってきてオレをぺシぺシと叩きながら賞賛する。どうせ賞賛するならその無駄に大きな安らぎの双丘で包み込んでほしい。



「・・・ホントに容赦無いスパルタ教育だな。初日からこんなに飛ばすの・・?」



「やだわ。ようやくネオンを自由に出せる様になった今が訓練開始よ?ここからネオンを組み込みながらの実践訓練、そのあとは基礎剣術、基礎体術、までが初日のメニューよ。」



・・・・・オレ、傭兵にでもなるんですかね?








魔法の発動は小さい火球程度のものだと詠唱破棄で即発動できちゃいます。

割と今回出た炎の魔法は上級な部類のもので、オフェリアさんも、、、後々語られる事になると思います。

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