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第3話 脱、万年研究生!

ちまちま書き上げては投稿し、、書き溜めて行くつもりが即投稿パターンになりつつある。。

巻き添えでヨウラン亭から吹き飛ばされてから翌日。あてがわれた部屋を出て、痛む身体をに鞭を打ち今日も法学院へ向かう。



「よく生きてたよ。。オレ。」


ああ、見上げた空が青く美しい。。



空はいつでも青空の浮遊都市パラネラ。



約直径10キロの円形の島が丸ごと浮いていて、地上からどのくらい上なのかは分からないけど、雲が下を流れているのを見た事があるから相当高い。


ざっくりと高度1万メートルぐらいか?全体を魔法的な、結界的な、そんなみたいなモンで覆ってるらしく全く苦にならない。生活しやすい環境魔法ってとこかな。。


浮いていられるのは、島の中心に巨大な飛行石、、もとい、島の大地全体に魔法がかけられているらしい。だから大規模な畑とか、もの凄く深い穴を掘るとかは固く禁じられている。




大通りに出たところで、昨日の現場の周辺に人だかりがあり、ヨウラン亭の向かいにある倉庫の、石組みの壁に突き刺さったままの木製の扉が引き抜かれる作業が見えた。。。


事件現場のヨウラン亭を通り過ぎて歩いた先に、大理石と思われる石造りに、赤銅色の金属で蔦の装飾が施された門があり、その向こうの正面に大聖堂、向かって右にパラネラ法学院がある。他の正規の学生に交じってオレも門をくぐり、法学院2階の講義室へ入る。


割と広い講義室で、後ろまでたっぷり10mはあろうかという部屋で人影は1名。いつもの事なので、講義台に一番近い席に着くと、持ってきた荷物(ノートと鉛筆、その他諸々)を横の席に投げ出す。


「体調は大丈夫かね?」笑いを堪えるのを隠そうともせず、オスタのおっさんが話しかける。


グレーに金色の刺繍がほどこされた上質のローブに身を包み、その下には白いシャツとグレーのパンツ。ロマンスグレーと言った表現がほどよくハマる壮年の男性。


転移理学者という肩書は世界でも数人しかいない為、会う事すら稀らしい存在と言う話しだが、こちとらもう8日間会いっぱなしだ。



「あの騒ぎならおっさんが知ってて当然か、、。ホントにひどい目にあった。。」


「いや、ワシどころか学内の全員がすでに知ってると思うがな。」


「うむむ、どうりでここまでの道すがら学生の目線を感じる訳だ。右腕が痛い。。」


「ん?痛むか」


「いや、まあ言うほどでもないけどさ。ヨウラン亭と倉庫の損傷具合を見たら、これくらいかすり傷程度に思えるな。ルミナさんが発動後に人だけ威力を調節した・・?」


「だろうな。突発的な発動はともかく、その後に風に干渉して調整をかけたらしい。昨日の件は都市計画部、公共管理部、パラネラ商工議会等から苦情・陳情が相次いだそうだ。


ルミナとここの学長が出て謝罪に追われたそうだが、まあ何とかなった。しかし、ルミナがなぜ風術を発動などという事をしたのかの部分に関しては曖昧じゃったが。。」


「ははは。。。」と、乾いた笑いしか出ない。



そりゃそうだよな、カスリのおっちゃんにおっぱい触られたから発動しました。何て口が裂けても言えないだろう。



ちなみにルミナさんの事を「ルミナ」と呼び捨てにしているのは、ルミナさんとオスタのおっさんが親戚関係だからだ。恋人などでは無いから安心してくれ。数年前におっさんがパラネラに来る際に一緒に連れてきて、料理が好きなルミナさんはヨウラン亭で働き出したらしい。



「それはそうと、今日は以前行った先天性魔法検査の結果について、レンガに確認したい事があってな。」



転移の2日目に例の状況確認時に同じく行われた、転移者が必ず持っているとされている七大属性魔法の保持スキル確認検査の事だ。


実はその結果については検査の翌日に聞いている。。。どういう訳か、オレは七大属性のいずれの保持スキルも無し。加えて、その成長幅も一般人とほぼ同等であるらしい。


一応パラネラ法学院に在籍している事になっているオレは、最下級である「研究生」というポジションであるのだが、先の宣告で一般人と同等のスキルしかない「万年研究生」と言う衝撃の結果は、知人関係だけに留まらず、学院全生徒・関係者に認識されている。


そういえばヨウラン亭のおっぱい暴風事件の引き金はコレだったか?



「先天性魔法についての資質についての検査に特化したものだったので、それ以外の要素について検証を進めてみたんだが、ちょっと面白い結果が出てきてな。」



術式が彫り込まれた赤色の宝石を取り出してきた。これは一度見たな。。


案の定赤い光を発したかと思うと、目の前にグラフと数値が浮かび上がった。そのグラフの中から一つを指で触れるとその項目が拡大される。〇イノリティリポートだな。



「通常では人からは検出されないモノだが、、、いや、一定の条件下の人間からは短期間なら検出もされるが、恒常的に検出される事はまず無いモノがレンガの身体に属性スキルとして存在する。」


「えっっ属性魔法持ち!?よっしゃーーーーーーーぁ!万年とは言わせねえぇぇぇぇ!」


「いや、よく聞け。属性魔法ではない。正確にはな。」



「え?」



「この世界においては、属性魔法として確立してはおらんのだ。」



「ん?」



「おぬしから検出されているのは転移粒子。わしら転移理学者がネオンと呼んでいるものだ。」


転移粒子ネオン、、、、?」



講義台から話していたおっさんが隣りの席に座り直し、手元の宝石を操作しながら説明を続ける。



「状況確認の際に話しを聞かせて貰った時には驚いたよ。まさか掴めて、成型できるほどに濃密な転移粒子ネオンを操れるとは。」


「ああ、〇トリの沈むソファー事件か。密度を調節して絶妙なクッションも作ったのね。。」


「その扱い方ゆえか、転移終盤に至るまでのあの術式の安定ぶりには、その場の全員が唖然としたものだ。」



そうそう、転移終盤には転移粒子ネオンに包み込まれて、身体の中に、、、、



「そうだっ!あの転移の最後で、紫色の光がオレの身体に吸い込まれていくのを見たぞっ!?」


「やはりそうか。。恒常的にレンガの身体からはネオンの反応が検出されておる。しかも、属性検査の際の術式解放試験の際に数値に大幅な動きが見られる事から、意識的に操作する事が可能と思われる。」


「そ、操作?」


「ああ、そうだ。転移粒子ネオンを属性魔法の様に行使する事も可能かもしれん。」



珍しく少し興奮気味に話すオスタのおっさんの言葉に驚きを覚えながら、ようやく転移してからやるべき事を得た様な気がする。少しでも可能性があるなら、そこに賭けたい。男のロマン、魔法使いに。




それと、、、やるべき事と言えば、まだ「アノ」事について何もわかっていない。。



「そういえば、もう一つレンガに確認したい事があるんじゃが。」


「お、おおっ?なんだよ?」



集中していた所へ唐突に話しかけられ、思わずどもる。



「今までの転移者からの聞き取りでは、付与された魔法に関する情報が頭の中に浮かぶらしい。レンガの場合は一応属性魔法に関するスキル保持については認めらなんだが、頭の中にはそういった属性魔法の付与に関する情報は何もなかったのか??」



--- !? ---



内心心臓が飛び出すほどに驚いたが、努めて冷静を保つ事に成功した。



「無いな、、まあスキルが無いんだからそれも納得だけどよ。」


「そうか、、転移粒子ネオンの件もあったから、もしやとは思ったんじゃが。すまんな。」





オレは今、嘘を付いた。


実は一つだけ、転移直後から頭の中にある付与魔法情報があった。



【付与魔法:大魔法・運命継承】


【詠唱記符:グランナーダ・フォルネティア】


【魔法情報:対象とする人物の持つ運命の流れ、その因果を継承する。】



もう、大魔法って書いてある時点でヤバイのだが、その内容も意味が分からない。


その対象人物の運命と因果を継承ってのが、どういう事なのか考えたくもないが、それでもこのまま放置している訳にもいかない為、何とかしなきゃいけないと思いつつ、やるべき事リストの最下部に押し込めている。


「大魔法ってなに?」なんて簡単にも聞ける機会もそうそう無いしな、、、、。




「そういえば、属性魔法以外についての説明をしていなかったな、かなり稀な例だが大魔法グランナーダというものもある。」



「機会キタ--------ッ!!!!」ガタッ!



「なんだ!?どうしたっレンガ!!?」



「いや、ご先祖様の声が聞こえてな。」



「おいおい、大丈夫か・・・?ひとまず大魔法グランナーダというのは、属性魔法の様に物理現象を引き起こす為の魔法とは根本的に違う作用を持ち、現在の魔法理論とは別系統の未解明な部分の多い魔法じゃ。

現在効果まで確認されているのは3種のみ。過去に効果までは不明だが書物から存在が確認できるものを合わせてもわずか6種しかない。」



「え、、、。じゃあこの世界の歴史上6人しか持ってないって事?」



「いや、現在確認出来ているのは3種の3人、いずれも法術国家ザミアスの教皇、アダリア正教国の聖王、小国サツマの頭目と大物ばかりじゃ。」



「すげえな、、、、。」



「それだけ希少かつ効果の大きな魔法だって事だな。」


この世界の覇者たちの名前が並び、大魔法グランナーダを持つ事の意味の大きさに、今さらながら気付いた。オレがその4人目って事か、運命継承フォルネティアという名の魔法を。

冷たい汗が背中を伝い、いずれ来るその発動の時を予感させた。



「しかし、どんな凄い魔法を持ったとしても、それを行使する人間が結局は一番大事なんじゃがな。」


深い溜息をつき、おもむろに窓の外を遠い目で見るオスタのおっさん。目線の先には大聖堂が。



「オレの前任者の事か?」



------------------------



オレの転移する約5年前にもパラネラで転移が発現した。


その転移者の先天性魔法は「火」だったと思われ、転移発生直後から極大解放状態で出現。対属性魔法の多重結界を形成しているはずの大聖堂内部にあっても爆発的な熱量を放ち、転移完了と同時に最大出力の火球を炸裂させてホール内全体を焼き尽くした。


その際、オスタのおっさんなど学者陣を警護3名が結界強度の不足により命を落とした。


当初は転移の混乱から無意識からの発動によるものと思われていたが、、、



「あーーーーっはっはっは!すげぇ!コレすげぇじゃん。全力でいったら燃やせたかもな、全員!」



心無い発言から、意図的な発動が見て取れたらしい。


推定年齢20歳前後、金髪、細身で目の上に特徴的な傷跡を持った好青年風の人物は魔法スキルは高いものの、その後多重結界の強化と戦闘経験豊富なパラネラの警護兵の追撃を受け、大聖堂内であっさり拘束。


一時は更生プログラムの適用も検討されたが、その残虐な思考と3名死亡の事態への反省もなし、また火の属性持ちの火術士としての資質が非常に高い点も逆に危険視された事もあり、死罪が確定。


封術の腕輪にて拘束したのち、パラネラの大地から自由落下という、浮遊都市ならではの方法だった。


実はオスタのおっさんは最後まで更生を訴えた一人で、執行の際にも立ち会った様だ。



------------------------


「ああ、、、。ああいった事は2度と無くなって欲しいもんじゃな。」


「、、、、、、。」



大魔法の事で焦っていた気持ちも、いつの間にか落ち着いていた。



「さて!気を取り直して続きをして行くかねセンカ!」



「センカじゃねえな、レンガだ。また間違えてるぞ。」



「ふはっスマンな、歳じゃよ!」



まあいつもの調子に戻ってくれればいいさ。悩んで、後悔しても先には進めないしな。おっさんが元気無いとルミナさんまで元気なくしちゃうし!



世界背景についての説明は近々に盛り込みますね。

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