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プロローグ 始まりは落下中

初めて投稿します。


何話か書き溜めてから投稿していきたいと思いますので、次話投稿はしばらく先かも。。。


名前は、六苑寺(ロクオンジ) 煉河(レンガ)



風変りな小説みたいな名前は、由緒ある実家の証拠だ。


実家?本家?は京都のお寺。


名前以外は至って普通を自負している18歳だ。


黒髪の短髪。体格は、、、上の世界で鍛えた甲斐もあって細身の筋肉質って言ってもいいかな?



上の世界?まあ、すぐに説明するよ。



顔立ちは良く幼顔って言われる、目はぱっちり二重でこれは母さんからの頂きものだ。


兄弟は無し。友達は多い方かな?好きな食べ物は、バナナとヨーグルトにきな粉混ぜたヤツ。


趣味は学校の帰り道の妄想と、テレビ、読書、、、、、もういいか。




そんな俺は、今。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





両手に握られていた≪(チカラ)≫が霧散していく感覚。


「・・・やっぱ一発でしばらくは使えなくなるか。」





「おいーー聞ーるか!聞こえーの!ーーガ!?」


おっさんの声が聞こえる、頭の中に。


だが悲しいかな、おっさんの声にかまっていられる状況ではない。




落下してんだ。それも物凄いスピードで。




「ぁぁああああああっっ!!」




風圧で息がし辛い。向こうの世界を含めても初スカイダイビングが、よもやこんな形で経験する事になろうとは。



バサッッ!!



「うわっっぷぅはっ!」



下から舞い上がって来た白い誰かのローブかマントが顔に纏わりつくが、なんとか右手で振り払う。

その拍子に身体が半回転して、背中から落下する形に。


何とかバランスが取れてきた所で上空を見た。


太陽の少し右に陰影をつくる歪な形の三日月状の浮遊島が見える。


元は大きな真円を描く浮遊島だった。


形を変えたその浮遊する大地、その上に栄えた都市の名は、浮遊都市パラネラ。


オレも含め、向こうの世界から無作為に転移させられた人間【転移者(テンイシャ)】の召喚される謎の転移ゲート「転移法術陣」


【転移者】が転生後にこの世界についての教育を受ける「パラネラ法学院」


そこに通うイカれた教官と、愉快な仲間と、酔いどれオヤジと、そこに住む人々とオレの生活があった。


白い壁と赤茶色の屋根建物群が紺碧の空に映えるキレイな浮遊都市だった。


すぐ横を巨大な石塊がうなり声をあげて落下していく。いくつかの破片同士が激突して砕け散り、更にあたりに四散していく。


「うおぁぁぁぁぁぁっっ!!」


「助けて、、助けてくれぇぇぇぇ!!」


「≪浮遊効果(フラムト)≫ッ!!フラムトォォ!!っっ浮かべぇぇぇ!」


無数の叫び声。



落下しているのは自分だけでは無かった。それこそ数百人が、高度何千メートルクラスから投げ出され、あるいは何かにしがみ付きながら、落下している。


ゴオオオオォォォッッ!!!!



その刹那、3mはあろうかと言う大きさの火球が無数に上空より降り注ぎ、幾つかは辺りを落下中の石塊に着弾、同時にゴウッと炎が膨張し周囲を焔の嵐で焼き尽くしていく。


恐らくはその敵意はオレに向けられたものだ。


必死確実の高度から絶賛落下中の人間に向かってなんちゅう追い討ちだ。


後から続いていくつもの火球が降ってくる。



その時、上空から落下してくる石塊を見た。



何処かの家のテラスなのか、立派な手摺りにしがみ付いた人影が見える。激しくはためく白いローブ。


おお、ありゃ女の子だな、、、なんてよそ見の一瞬に火球が遂にオレの直上を捉えた!一直線に目掛けて落ちてくる!



ぶっつけ本番、男は度胸だ。右手を前に伸ばし、掌を開く!


「ハッ!」と短い気合いの後に紫色に輝く粒子状の光が掌から腕にかけて発現したかと思うと一気にその輝きを増す!



「こんなトコで、死ねるかぁ、、、よっと!!」



火球が直撃する瞬間、紫色の粒子が輝きを増し火球を押しとどめる!


「よおしっ!止めた!このまま右方向にいなす様に、、、ぃぃぃいい!?っっって、なんだよこの密度っ!」



--転移(とば)しきれないっ!--



ジュゥッッ!!!



「あっっつう!!!!!」



右腕が嫌な音を立てて変色し始めた所で紫色の粒子がパァンと高い音を立てて四散!


火球が思惑通り右方向へ弾ける様に逸れるが、同時に反動で身体が逆方向に飛ばされる!



「ええええええっ!!?」



横方向への強力なベクトルに、姿勢制御も出来ないまま投げ出される。

投げ出された方向の先、目の前に迫ってくるのはさっき見たテラスの立派な手摺。



ズドンッッ!「ぐぅっっ!」




熱傷で疼く右腕の痛みを食いしばり、なんとか手摺にしがみ付く事が出来た。


そうこうしているウチに、見る間に近づいて来た白い濃厚な雲に突入。


「冷たっっ!!」

雲の中は水蒸気が思いの外冷たかったが、お陰で熱傷の痛みが安らぐ。

その時ノイズ混じりの無線の様な声が再度頭に響いた。


「聞こえておるか?聞こえておるのかレンガッ!」


「ああっ!?ああ、聞こえてるよっ!!!あ、雲抜けた。おおおっ海!?」




途端に海、世界が広く見渡せる。真下には小さな島らしきものも。遠くに見えるのは大陸らしい陸地。




「わかっておるな!助かるにはベクトルも含めた相互転移しかない!落ち着いて精神を集中させ、いや集中出来る状態じゃないのは分かっておるがーーー」


「よく分かってんじゃねえか!まともな神経してなくとも集中できる状況じゃねえ!何とかしてくれ!」


「こちらから座標を捉えてきれん!無理じゃ!」


「そりゃねえだろ!(プヨン) んっ?何か後ろに、、」


必死に体勢を整えつつ後ろを振り返る。


「とにかくじゃ!ネオンを生み出せれば転移に転用ーーー」


最後は聞こえなかったが、オレと考えてる事と同じだろ?分かってるよ、それしか無いだろうけど・・。


それ、結構厳しい状況になりつつあるんだよなー、


と考えながら、振り返ったその先にある「厳しい状況」を見つめる。





ついさっき、立派な手摺の同居人になったローブの人影。


その人影が赤毛の髪のツインテールが暴風に揺らしながら、必死に手摺にしがみ付く可愛らしい女の子で、、、。


その子がいつの間にか、後ろにかなりの距離で肉薄してて、、、。


透明感のある白い肌、細い首筋から鎖骨にかけてのなめらかな曲線。


その隠し切れない胸元の双丘を押し込んだ白い革製のブレストアーマーには。


ここまでなら最高の出会いの状況だったんだが、、、、。



ーー「正教徒騎士団」の双剣と杖の紋章ーー



・・・・さっきの恐るべき火球はこの子の仕業か?

動きを見せるそぶりは無い。

ただ口を真一文字に噤んで、長い睫毛のブラウン掛かった瞳に涙を溜めて、真っ直ぐオレの目を見てくる。



この子の仕業だとしたら、法術の密度が距離に依存する事を考えれば、恐らく落下しながら発動した事になる・・。この状況に至ってなお、オレにトドメを刺さんとする心意気に感心だな。


可愛い外見にはそぐわぬ実力である事は間違いない。


その間も両手はしっかり手摺につかまったままだ。


ブレストアーマーの腰から下は、ライトプレート製のスカート形状の ウエストアーマーで、暴風ので捲り上がってしまっているが、膝までスパッツの様なズボンを履いている。


声のおっさんには見えてないんだろうな、この状況。


しかし、攻勢法術の発動の気配は無い。真っ直ぐオレの目を見てくる。


このまま落下の時間を稼ぐ気か??


実は空中浮遊か何かの法術の使い手で、オレを激突死するまで見届けようと、、、。


いや、それにしては様子が変な気が。



その間も両手はしっかり手摺につかまったままだ。



「ん?そういや、、、、」


オレは気が付いた。

無いのだ。腰にも、背中にも、もちろん両手にも。



触媒(ショクバイ)持って無くね?


「、、、、した。」


ん?


「づえ」


ん?


「おとした」グズッ


「マジかよっっっ!!」

この状況でまさかのドジっ子出現のフラグが立っていたとは、夢にも思わなかった。


「いやぁぁぁ!おがぁーざーーんっ!!!」


ガシッ!!


腕力が限界だったのか、足が離れると同時に一瞬で組みつく赤毛の女。


「うおぉぉっバカな!この状況で、、あぁ柔らかっっ!!、って泣くなっ!!抱きつくな!って、あー!っやばい下見えてきた。この残念ツインテールっっっ!!!!」


「いやぁぁ!残念ゆーなぁぁぁぁっっっ!!!」


「うおぉぉぉぉぉ!!!


ぇぁぁぁぁぁぁあああああああっっっ!


ぉぉぉぉ、、ぉぉ




、、その後輝いた紫色の「転移粒子(ネオン)」が、人々に希望の紫光と呼ばれるのは、もう少し後の話。


次からは本編です。いよいよ物語開始となりますので、お楽しみに。

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