表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マフラーと人魚  作者: 山口はな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/6

 その日はコースターをもう一つ編んで、おしまいにしました。マフラーは大物おおものなので、ゆっくりと編むのです。

 さやかとおばあちゃんと、来週の土曜日に編み物をする約束をしました。


「あかりちゃんには、何色の毛糸がいいかなぁ。そうだ、あかりちゃん! まだ時間早いし、手芸屋さんに行ってみない?」

「手芸屋さん? 行ってみたい!」

 2人は急いで片づけをしました。


「おばあちゃん、行ってくるね」

「おじゃましました。行ってきます」

「あかりちゃん、またおいでね。車には気を付けて、行ってらっしゃい」


 横断歩道を渡って、2人は商店街にある手芸屋さんにやって来ました。

 かわいい布や毛糸で、お店の中はいっぱいです。

 その中でも、毛糸はいろんな種類がありました。太い毛糸、細い毛糸。ふわふわな毛糸、キラキラの毛糸…。こんなに種類があるなんて、あかりは目移りしてしまいます。


 たくさんの毛糸の中で、あかりが一番気に入ったのは、手触りがふっかりした毛糸でした。編んでいない毛糸なのに、触っていて気持ちがいいのです。この毛糸で編んだマフラーは、どんなに気持ちが良いだろう。考えただけでワクワクします。白い色に、茶色い色が混じった毛糸です。まるで、昨日食べたチョコレートパフェみたいでした。

「その毛糸、面白いね。それでマフラー編んだら、ダルメシアンみたいになりそうだよ。」

「ダルメシアン?」


 犬の種類だと、さやかは教えてくれました。店内にはフェルトで作ったダルメシアンのぬいぐるみがあり、こんな犬だよ、と見せてくれます。確かに似ていました。

 でも、これはチョコレートパフェなんです。さやかにそう言うと、確かに似てるね、と笑いました。


「私、お母さんにお願いして、この毛糸買ってもらう!」

「気に入った毛糸で編むのが、一番だよ。この毛糸なら、2玉でマフラーが作れると思うよ。あかりちゃんがチョコレートパフェ色にするなら、あたしはチョコミント色にしようかな。ほら見て。あかりちゃんが欲しい毛糸のとなり、こっちは色違いでミント色に茶色が混じってるでしょ? きっと、チョコミントみたいになると思うんだ」

 さやかは一足先に、お小遣いで毛糸を買いました。

「土曜日が楽しみだよね」

「うん。私も絶対にこの毛糸買ってもらって、さやかちゃんの家に行くからね!」


 二人は手をつないで、海岸まで歩きます。

「バイバイ! また来週!」

 手を振りながら帰って行くさやかに、あかりは手をふり返します。

「バイバイ! またね!」


 いつも陸に上がる岩陰で、お母さんが待っていました。

「お帰りなさい、あかり。どうだった?」

「ただいま、お母さん。あのね、すっごく楽しかったの。それでね! これ作ったの!」と、あかりは『あやとりのひも』と『コースター』を見せました。

 お母さんは、不思議そうに編み物をさわります。とくに気になったのは、コースターのようです。

「これが編み物なのね。ふわっとしていて、すてきね」

 お母さんが返してくれた『あやとりのひも』と『コースター』をぬれないように、お花のカバンに大事にしまいました。


「編み物の材料、用意しないといけないわね。今日の材料は、さやかちゃんにもらったのでしょう?」

「うん。お母さん。私に毛糸、買ってもらえる?」

「ええ。今から買いに行きましょうか。」

 お母さんは、そのために待っていてくれたのです。


 あかりは、さっきのお店にお母さんを案内しました。お母さんも手芸屋さんには、初めて来たそうです。いろんな色であふれる店内を、不思議そうにながめています。


 お母さんの手を引いて、毛糸のコーナーに行きました。ほしかったチョコレートパフェ色の毛糸を、お母さんに見せます。

「あら、確かにこの間食べたパフェにているわ。あかりはこの毛糸が欲しいのね?」

「うん。さやかちゃんは、2玉あればマフラーが作れるって言っていたの。あと私、かぎ針も欲しいの」

「毛糸とかぎ針ね。いいわよ」

 お店の人に、毛糸にあったサイズのかぎ針を教えてもらいました。これで今度の土曜日からは、マフラーを編むことが出来ます。


 帰り道、うれしくてたまらないあかりは、毛糸とかぎ針を入れてもらったお店の袋を、大事に抱えて帰ります。

「海の中でも編み物が出来たらいいのに。そしたら、お母さんにも教えてあげるのになぁ」

「そうねぇ。毛糸って、何で出来ているのかしらね?」


 海であかりが着ている服は、海底で育てた綿をつむいで織られた布で出来ています。水から上がると乾いている、不思議な布です。

 海で毛糸が作れたなら、お母さんと一緒に編み物が出来たら、どんなに楽しいでしょうか。そうあかりは思います。


 海に入る前に、大事な毛糸をお花のカバンにしまいます。次の火曜日まで、編み物はお休みです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ