表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも女子力は必要なんですかね?  作者: クズ
1:ドラゴンとの出会い
6/59

なにそれこわい

ようやくプロローグ的なものが終わりそう。お酒もなくなりそう。

 大きな草原の木の下で、俺は目の前のドラゴンの名前を付けることになった。

 だが、そう簡単に名前つけろって言われてもなあ。

 RPGの仲間キャラに名前つける感覚でいいのか? 

 いやいや、ここはやはり、このドラゴンの特徴とかから名前を……あ、そうだ。


「よし! 今日からお前はパンツだ!」


 ドヤ顔でドラゴンを指差して宣言する俺!

 やっぱコイツの印象で一番強いのは嬉々として俺のパンツ(男物)を食ったことだからな!


『GURURURUUUUUUUWWWW!!!!!!!』

「くぎゅう!!??」


 唐突に最初の咆哮を上げられました!

 漏らしちゃうんでやめてください!!


「だ、ダメだったか!?」

『ぐるぐるっ! それで喜ばれると思う方がどうかしてるよっ!』

「じゃ、じゃあトランクスとか……」

『GURUA……!?』

「すんませんっ! マジすんませんっ! その『食い殺すぞお前』って感じの眼つきやめてください!」


 こ、こえええええ! こいつがドラゴンってこと、ちょっと忘れてたわ!

  ここはひとつ、真面目にまともに考えねば!


「えっと、じゃあ、透花、ってのは、どうかな?」

『ぐる? トーカ?』

「あ、ああ。お前の翼、透き通ってて印象的だし、後ろの木の葉を透かした時なんて、まるで優しい色の花みたいに見えてさ」


 最も、それよりも鱗の白さとか青い瞳の方が印象的なんだが、それだとなんか、ブルーアイズとかホワイトドラゴンとかの名称が先に来ちゃうからな。うん。


「……これもダメか?」

『んーん……ダメじゃない……。ぐる! 私の名前はトーカ!』


 そう言ってドラゴンは翼をわっさわっさ動かして喜んでいる(ように見える)。


「おお! どうやら気に入ってくれたようだな!」

『ぐる! トーカ、気に入ったの! ありがとうお兄ちゃん!』


 ははは、そんなに気に入ってくれたなら俺も無い語彙絞って考えた甲斐g―――


『我が真名は<トーカ・イスズ>。贄捧げし主たる<シーナ・イスズ>による名付けの儀は此処に為終えた!』


 ―――はい?


『我、トーカは以後、如何なる時もシーナに付き従い、寄り添い続ける!』


 ―――お、おい?


『我が誓約の宣言を成終え、此処に契約は締括られたり!』


 ―――ちょ、ま! 説明求む!




 そのまま辺りは眩しいほどの白い何かに包まれて―――







 緑萌ゆる草原の道なき道をスタスタと歩く俺の後ろから、トコトコと小さな足音が続く。


「ねー、おねーちゃーん」


 俺は一路、町があるという方角へ向けて足を進めていた。

 どうやら朝方俺が向かっていた方向には町はなく、森が広がっているだけとのことだった。


「おねーちゃんってばー」


 一つ安心したのは、この世界にも人間がいるってことだ。

 もしかしたらこの世界には人間はおらず、あのドラゴンみたいな、一歩間違えればモンスターや恐竜まがいの謎生物だけなのかもしれないと僅かばかりながら考えてしまっていた俺からすれば、その情報は正に希望の福音だった。

 あのまま一人草原を彷徨っていたなら、俺は絶望の淵に立たされていたかもしれない。


「ぶー! お姉ちゃんってば! 無視しないでよ!」


 そういう意味では、その情報を教えてくれたドラゴン―――トーカには何よりも深く感謝している。

 いきなり契約とかほざいたもんだから、素直にその感謝を伝えてこそいないが。


「むう……えいっ!」


 そのトーカにしたって、見た目こそ巨大なモンスターチックでこそあったが、この世界で初めて意思疎通が図れた存在だ。

 あの時思ったように、望外の喜びであったのは間違いない。

 できれば、人間相手に異世界初コミュニケーションというのが第一希望ではあったが……。


「ぐるるー、お姉ちゃーん」


 まあ、だからといって、あの見た目恐ろしいドラゴンが―――


「ああ、わかったわかった、考え事してただけだよ。引っ付くなって、重い」


 ―――こんな幼女形態になれるとも思ってなかったんだが。

「ぐるー! 重いって何よー!」


 俺の背中に乗ったまま、ぽかぽかと俺の頭を叩いてくる幼女。これがあのトーカだ。


「悪かった。確かに女の子に『重い』ってのは無かったな。だが、俺も昼からずっと歩きっぱなしで結構疲れてるんだ。降りてくれると嬉しい」


「むむむ。確かにお昼ごはんの後、ずーっと歩いてるもんね。わかった、トーカいい子だから降りる」

「よしよし、いい子だ」


 俺はわしゃわしゃと、トーカの純白の髪の毛を撫でる。


「ぐるる♪」


 そんな超ゆかりんな嬉しそうな声を上げるトーカは、特徴的な青い瞳はそのままに、白い鱗は白い髪に、そして衣服は自身の抜け殻を使ったらしい純白のワンピースに包まれている。

 幼女らしく背は低く、胸もぺったんこだが、その容貌。

 今の俺の美少女顔をそのまま幼くしたかのような、可憐な姿。

 何やら青い目のドラゴンには様々な特殊能力があるらしく、相手の精神体(アストラル)を霊視できるような、あまり日常的に役に立ちそうもない能力もあれば、変化の能力などの魔法(・・)も大の得意、なんだそうだ。

 とはいえ、変化の能力には「手本」が必要となるらしく、またそれ以外にも結構制約があるそうな。

 他にも色々と聞いてみたいことはあったんだが、とりあえず頭がパンクしてもアレなんで、整理でき次第、いろいろ聞いてみたいと思っている。


「しっかし、やっぱり木の実だけだと力でねえわー。できれば肉とか穀物……タンパク質と炭水化物食いたい……。」


 ちなみにさっきトーカが言ったお昼ごはんとは、俺がパンツを干していた……もとい俺とトーカが出会った木に成っていた柿のような果物である。

 トーカ曰く、普通に食べれる木の実ということなので二人で食したのだが、形や味はそれこそ柿っぽかった。

 ただし色は真っ赤。青くなかったことで密かに安堵したのが印象的だ。


「町に行けばふつーのごはん食べられると思うよ? お金なら、昔拾った金貨がいくつかあるし」

「拾った、っておまえ……。それネコババって言わないか?」


 俺は斜め後ろでとことこと歩くトーカに振り向き、呆れながらジト目を送るが―――


「ぐる? だって、周りにあったのは真っ白な骨と鎧だけだったし、誰々の物って名前も書いてなかったもん」

「なにそれこわい」


 何やら物騒な話題を引き出す結果になってしまったようだ。

次回、契約についてとか名前についてとか、その辺のめんどくさい話になります。

できれば早く町まで行きたいんですが……。

ていうか明日から仕事なんだけど、書く時間あるのかな……。


2015/9/19 段落や行間を修正。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ