第9章 : 共鳴
砂漠は気の散りを許さなかった。
村を出て三時間後、地面は乾いた土からひび割れた岩へと変わった。
風が低い尾根を地面に刻み、道を不均一で露出したものに変える。
ソラはカエレンよりわずかに前を歩いた。
自信を持ってではなく、
ただ…考えながら。
彼の頭の中には、子どもたちの目が何度も浮かんだ。
沈黙を破ったのはカエレンの声だった。
「お前は…落ち着かないな」
ソラは否定しなかった。
「離れて行くのは嫌いだ」
「そうだな」
「でも、理解はできる」
「それは…もっと悪い」とカエレンは静かに答えた。
ソラはかすかに笑いに近い息を漏らした。
風が変わった。
カエレンが最初に立ち止まった。
ソラは半秒遅れて気付いた。
遅すぎた。
ひび割れた岩の向こうから、三体の影が現れた。
狼ではなく、
人間。
革鎧。継ぎ接ぎ。錆びた刃。
砂漠の漁夫たち。
盗賊。
そのうちの一人が首を傾げた。
カエレンは武器に手をかけなかった。
「動け」と彼は冷静に言った。
盗賊たちは笑った。
最初の者が突進した。
予想以上に速く起こった。
カエレンは動いた—清潔で効率的に—刃をかわし、攻撃者の守りの中へと踏み込む。
しかし三人いた。
二番目の者がカエレンを通り過ぎ、ソラに向かって突進した。
ソラの身体は、思考より先に反応した。
一歩後ろに下がる—
遅すぎた。
刃が前腕をかすめた。
深くはない。
だが現実だった。
熱く。
鋭く。
砂に血が落ちた。
一瞬—
すべてが遅く感じられた。
彼は皮膚に赤い線が刻まれるのを見つめた。
英雄的には感じられなかった。
ただ、間違っているように感じた。
痛みが続いた。
そして、何かがあった。
胸の内の温もりが即座に反応した。
以前のようにではなく、
爆発的ではなく、
脈打った—
痛みとリズムを合わせて。
ドスン。
熱が胸から動く—
外へではなく—
内へ。
そして再び外へ。
まるで反響のように。
盗賊が再び振りかぶった。
ソラは反射的に腕を上げた。
刃が当たった—
そして止まった。
空中で。
火でも、マナでも阻まれていない。
ソラの周囲の空気が歪む。
振動した。
衝撃が盗賊の腕に逆流した。
目に見える衝撃波が外へ広がる—
鐘を打ったかのように。
盗賊は叫び、後ろにひっくり返り、武器を落とした。
三番目の攻撃者は凍りついた。
カエレンは正確な一撃で相手の首を制した—致命ではないが、決定的だった。
再び静寂が戻る。
風も再び動き出した。
意識のある二人の盗賊は逃げた。
ソラは呼吸を荒くしながら立っていた。
胸の内の温もりが今や大きく響いている。
燃えてはいない。
共鳴している。
カエレンはゆっくりと彼に向き直った。
「…痛みを感じたな」とカエレンは言った。
ソラはうなずき、血の流れる腕を見つめた。
「そして応えた」
ソラは飲み込んだ。
「押した感じはしなかった」と彼は言った。「反応したように感じた」
カエレンが一歩近づいた。
「もう一度」と彼は言った。
ソラは眉をひそめた。「何を?」
「集中だ」
ソラは目を閉じた。
腕の痛みが脈打つ。
マナには手を伸ばさない。
空気も探さない。
感覚に集中する。
胸の内の振動に。
そこにあった。
以前よりも強く。
混沌ではなく。
反応的だ。
彼は手のひらを近くの石に押し当てた。
そして押す。
物理的ではなく、
意図的に。
温もりが脈打つ。
石にひびが入った。
粉々ではなく。
ひび割れ。
内側から打たれたかのように。
ソラは息をのんだ。
「…共鳴だ」とカエレンはつぶやいた。
「何?」
「お前は…力を生み出すのではない」とカエレンはゆっくり言った。「応えているのだ」
ソラは再び腕を見た。
出血はゆるやかになっていた。
温もりが傷の周囲でかすかに脈打っている。
瞬時に治ったわけではない。
だが痛みは和らいだ。
「それって…マナ?」とソラは訊ねた。
「違う」
カエレンの声は確信に満ちていた。
「マナは外的なものだ」
彼はソラの胸を軽く叩いた。
「これは…内的なものだ」
ソラの呼吸が整う。
「でも、痛めつけられたから反応したんだ」とソラは言った。
「そうだ」
「それは良くない」
「いや」とカエレンは認めた。
ソラは鋭く彼を見た。
「どういう意味だ?」
カエレンの視線は鋭くなった。
「お前の…力は打撃や感情、絆を通して…発動する」
彼は一瞬止まった。
「お前が…最も強いのは、大事なものが脅かされたときだ」
ソラはその意味を重く受け止めた。
「不安定だ」と彼は静かに言った。
「そうだ」
沈黙が二人の間に広がる。
砂漠の風がひび割れた石の上を通る。
ソラは傷ついた腕を曲げる。
痛む。
しかし、まだ立っている。
血を流した。
そして生き延びた。
選ばれたわけではない。
圧倒的でもない。
無敵でもない。
だが、内側の何かが現実に応えた。
制御したのではなく、
反響したのだ。
彼は割れた石を見下ろした。
「…強くないな」と言った。
「そうだ」とカエレンは落ち着いて答えた。
ソラは見上げた。
「だが…危険になりつつある」
その言葉は褒め言葉ではなかった。
警告だった。
遠く、地平線にかすかに見える—
石の塔が地面からそびえていた。
村より大きく、
鋭く、
構造的に、
待ち構えている。
ソラは腰の金色のIDを調整した。
胸の温もりは再び静まった。
しかし今、彼は何かを理解した。
それは火ではなく、
マナでもなく、
運命でもない。
応答なのだ。
そしていつか—
もし腕以上のものが脅かされれば—
もっと大きく応えるだろう。
二人は歩き続けた。
後ろには砂漠の砂に血が乾いていた。
前には—
都市と、先手を打つ力がある。
石の塔が今、視認できる。
遠く、だが確かに。
ソラはしばらく静かに歩き、口を開いた。
「ねえ」
カエレンは彼を見なかった。「ああ」
「小さな村に着く前…一度これが起きたと言ったよな」
「ああ」
ソラは横目で見る。「そして、お前は僕が何者か分からないとも言った」
「ああ」
「じゃあ、どうして急に『共鳴』と呼ぶと分かったんだ?」
カエレンの歩みは変わらなかった。
「それが…名前だからだ」
ソラは眉をひそめる。「答えになっていない」
カエレンはゆっくり息を吐いた。
「言葉は知っている」と彼は言った。「その…背後にある真実は知らない」
ソラはしばし黙った。
「じゃあ…お前は実際には理解していないのか」
「そうだ」
その正直さは即座だった。
「では、前の人はどうなった?」とソラは尋ねた。
カエレンは風が二人の間を満たすほど沈黙した。
「彼らには」とついに答えた。「すべてが起きたのだ」
ソラは瞬きをする。「それは説明になっていない」
カエレンは軽くうなずいた。「分かっている」
二人は歩き続ける。
「力を得た」
「敵に立ち向かい」
「仲間を見つけた」
間。
「称賛された」
もう一歩。
「恐れられた」
ソラの喉がわずかに詰まる。
「問題を解決した」とカエレンは言う。「そして…新たな問題も生み出した」
砂漠の道に風が吹く。
「簡単に言えば」とカエレンは締めくくった。「彼らは…すべてを経験した。良いことも、悪いことも、喪失も、勝利も」
ソラは前を見つめた。
「…で?」
カエレンの声がわずかに低くなる。
「そして世界が…彼らを取り巻く状況が変わった」
それは他のどの話より重く響いた。
ソラは飲み込む。
「まだ混乱する」
「そうだ」
さらに数歩歩く。
「じゃあ、僕は何をすればいい?」とソラは静かに訊ねた。「もしこれが僕の制御下にないなら?」
カエレンはようやく彼を見た。
「制御できるようにしろ」
ソラは歩みを止めた。
「制御するように?」と繰り返す。「どうやって?」
カエレンの視線は落ち着いているが鋭い。
「前に言っただろう」と彼は答えた。「自分の声を聞け」
「それは技術じゃない」
「そうだ」
「じゃあ何なんだ?」
「境界だ」
ソラは眉をひそめる。
「お前の力が…反応するなら」とカエレンは言う。「心を…盲目的に打たせるな」
胸の温もりがかすかに脈打つ。
「不要な…攻撃はするな」とカエレンは続けた。「プライドからも、怒りからも、恐怖からも」
ソラは手元を見つめる。
「発動のタイミングは選べない」
「そうだ」
「でも、何を…大事にするかは選べる」
沈黙が続く。
ストーンブリッジの塔がより大きく迫る。
ソラは腰の金色のIDを調整した。
「…お前、本当に何も知らないんだな」と静かに言った。
カエレンは否定しなかった。
「そうだ」
間。
「だが、これだけは知っている」
ソラは見上げる。
「共鳴は…生み出さない」とカエレンは言う。
「反映するのだ」
砂漠の風が再び二人の間を通る。
ソラの胸が一度脈打つ。
柔らかく。
存在している。
「もし、醜いものを反映したら?」とソラは訊ねた。
カエレンの答えは簡単だった。
「なら…醜くなるな」
二人は歩き続けた。
ストーンブリッジが待つ。
そして遠く視界の先—
鎖が動く。
切れず、締まらず。
耳を澄ませている。
[第9章終了]




