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第8章 : 救出への道


午後になると、村は小さく感じられた。

物理的にではなく、

感情的に。

ソラは井戸のそばに立ち、ひび割れたバケツをめぐって静かに口論する二人の男を見ていた。

誰も声を荒げない。

誰も押したりしない。

ここでは怒りさえも、完全には存在することを恐れているかのようだった。

衛兵たちは再び日陰にいた。

見ている。

集めている。

何もしない。

カエレンが木造の家から出て、マントをしっかり留め、荷物を背負った。

「行くぞ」と彼は淡々と言った。

ソラは驚かなかった。

朝から、その時が来ると感じていた。

それでも、彼は尋ねた。

「なぜ?」

カエレンは彼の隣に立った。

「ここは…何も与えない」と彼は言った。

ソラは少し眉をひそめた。「何も?」

「お前にはな」

ソラは周囲を見回した。

ここには確かに何かがあった。

恐怖。

腐敗。

弱さ。

助けを必要とする人々。

「僕は残れる」とソラは静かに言った。「助けることができる」

カエレンは彼を見た。

「どんな力で?」

ソラは顎を引き締めた。

「戦える」

「かつては」とカエレンは答えた。「制御できずに」

その言葉は厳しくなかった。

正確だった。

「お前は…自分の力を理解していない」とカエレンは続けた。「思うままに呼び出すことはできない。測ることも、隠すこともできない」

ソラは答えなかった。

カエレンが一歩近づいた。

「もしまたあの時のように使えば…」

彼は冷静に言った。

ソラの目をじっと見つめながら。

「…自らを晒すことになる」

砂漠の風が建物の間を軽く吹き抜けた。

「それでもいいんじゃないか?」とソラは訊ねた。

「ダメだ」

その答えは即座に返ってきた。

「お前のID…不完全だ」とカエレンは言った。「わずかな認識を与えるだけ。小さな検査から守る。しかしそれ以上は何もない」

彼はソラの腰の金色のカードを軽く叩いた。

「大きな…都市では通用しない。ここでもギリギリだ」

ソラは瞬きをした。「書類のせいで出て行くのか?」

「生き残るためだ」

ソラはゆっくり息を吐いた。

「人を助けるのに肩書きなんていらない」

カエレンの表情がわずかに柔らいだ。

「そうだな」と彼は認めた。「だが、お前には…安定が必要だ」

間があいた。

「お前は…残って助けると思うか?」

ソラは、慎重に道を渡る老婆を見た。

自分の体重の倍の水を運ぶ少年を見た。

再び笑う衛兵たちを見た。

「思う」とソラは静かに答えた。

カエレンは彼の視線を追った。

「今…干渉すればな」

彼は言った。「お前がお前の…解決策になる」

ソラの眉が寄った。

「それがまずいのか?」

「そうだ」

「なぜ?」

「お前は…ずっとここにいられない」

沈黙。

真実がゆっくりと沈み込む。

「もし一人の衛兵を排除すれば…」カエレンは続けた。「別の者が…代わる」

「立とうとしない者に力を与えれば…」

言葉を途切れさせた。

残りはソラが理解した。

彼らは依存し、

決して動くことを学ばない。

胸の内の温もりが脈打った。

強くではなく。

肯定的でもなく。

ただ…穏やかに。

ここにはない。

カエレンは荷物を調整した。

「大きな…都市へ行く」と彼は言った。「そこでIDを…完成させられる。正式に登録し、組合の記録や契約にアクセスできる。疑われずに行動できる」

ソラはゆっくり息を吐いた。

「計画していたのか」

「そうだ」

ソラが夢から目覚める前からだ。

ソラはもう一度村を見回した。

小さな家々。

曲がった背中。

閉ざされた扉。

「…もっと強ければ」と彼はつぶやいた。

カエレンは躊躇なく答えた。

「なら…別の選択をするだろう」

その正直さは、否定よりも痛かった。

彼らは門に向かって歩き始めた。

衛兵たちは今回、ほとんど無視した。

一人がかすかにニヤリとした。

カエレンは気にしなかった。

ソラは気にした。

だが、何も言わなかった。

門が軋みながら開いた。

二人は中を抜けた。

門の外で、ソラは立ち止まった。

振り返った。

子どもたちが村の端に立っていた。

遊んでいない。

ただ見ているだけ。

一人の少女が、年下の少年の袖を握っていた。

彼らの目がソラと合った。

劇的な仕草もなく。

泣きもせず。

叫びもせず。

ただ静かな問い。

「直してくれる?」

ソラの胸が締め付けられた。

内側の温もりがかすかに揺れた—

燃え上がるわけでもなく。

駆け戻ることを促すわけでもなく。

ただ思い出させる。

「まだ準備ができていない」

彼の手がわずかに握られた。

カエレンは急がせなかった。

圧をかけなかった。

ただ待った。

ついに、ソラは顔を背けた。

気にしなかったからではない。

ただ、気持ちだけでは足りないと分かっていたのだ。

二人は歩き始めた。

村の壁が後ろに小さくなる。

砂漠の道が前に広がる—

広く、露出して、不確かだ。

砂が足元で動く。

しばらくして、ソラが口を開いた。

「…戻ったときは」

カエレンは彼を見た。

ソラの視線はもう前を向いていた。

「今みたいには」

カエレンは長く考え込むように見つめた。

そして、ひとつうなずいた。

「そうだ」

風が広い大地を吹き抜けた。

後ろに村がある。

前には—

可能性がある。

そして、視界のずっと先には—

鎖が暗闇でかすかに揺れていた。

[第8章終了]

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