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婚約破棄……アリエッタ・ドブールの場合

作者: 葉裏

よくある婚約破棄劇、実際にそんなことがあったらこうなるのが普通じゃないかと思って書いてみました。

「アリエッタ・ドブール、私はお前との婚約を破棄する」

 王太子エドワード・アルセーダは婚約者のアリエッタ・ドブール公爵令嬢に公衆の面前で唐突に宣言した。

 エドワード王子の右腕を抱くようにして寄り添っていたのは、平民より男爵家の養女になったマリエーラ・パスカードだ。

 アリエッタはマリエーラのことを以前から気づいていた。婚約者のいる王太子と最近ずっと一緒にいる女生徒だ。

 だが自分はそのことについて一切口を挟まなかった。

 王子も一時的にのぼせ上っているだけで、そのうち冷静になれると信じていたからだ。

 今回のように卒業パーティで多くの者が列席している場でこんなことを宣言すればエドワードは引き返すことができない状況になるだろう。

「いちおう殿下のお話は伺いました。これから実家に戻って私の両親に婚約破棄の申し出があった件を報告して来たいと思います。失礼致します」

「待て、アリエッタ。お前は私の婚約破棄の宣言をしっかりと受け止めたのか」

「それは私が判断することではないので」

「なに?ちょっとま「失礼致します、殿下」」


 アリエッタはすぐさま卒業記念パーティの会場を後にして待っていた馬車に乗り込んで、実家に帰宅した。



「そうか」

 アリエッタの報告を最初から全て聞いたドブール公爵は一言そう言うと、優しく言った。

「お前は何も心配しなくても良い。あとはおいしいものでも食べ、風呂に入ってからゆっくり寝ると良い。明日は寝坊しても構わない。2・3日…いや1週間くらい寝てても良いぞ」

 アリエッタは父親の言う通りにして食事をして入浴し就寝した。

 後は父親に言われた通りダラダラ過ごした。

 寝たいときに寝て食べたいときに食べ、朝から風呂に入ったり、読書しながらいつの間にか昼寝をしたり、全く自由に何日も過ごした。



 一週間後、久しぶりに父親が部屋に入って来た。

「よく休んだか、アリエッタ?」

「はい、お父様」

「ところでここのアルセーダ王国はなくなった」

「はぁ?」

「代わりにドブール王国と言う名前になったのだ」

「それって、うちの家名では?」

「そうだ。私がドブール王国の新国王のグライス・ドブール一世でお前はアリエッタ王女になる」

「どうしてそうなったのですか?」

「簡単なことだ。エドワード王子のしたことは貴族に支えられた王族の権利を自ら放棄した行為だからだ。

 この国の貴族制度は、上下関係の規律で成り立っている。婚約と言う行為も厳格な規律の一部だ。

 そういう大事な規律を根底から無視するようなエドワード王子は王太子として不適格であり、そういう育て方をした国王や王妃も王族としての資格要件に欠けるものだ。

 それで貴族院会議でこのことを諮った所、全会一致で彼らから王権を取り上げてしまうことにしたのだ。

 王位継承権を辿って行くとどの王族も資格に欠ける点があり、王位継承権第13位の私が全員に推挙されて新王国の国王第1号になった訳だ」

「するとあの人たちはどうなるのですか?」

「彼らと王位継承権第一位のエドワード及び第12位までの王族は、後々の反乱防止の為に、全員処刑した」

「ではマリエーラ嬢は?」

「昔から男を誑かす魔女は火あぶりと決まっている。何か問題があるか? それと彼女を養女にしたパスカード男爵家は取り潰しになった」

「婚約破棄だけでそこまでなさったのですか?」

「だけでじゃなく、だからこそだよ。王太子の婚約はそれほど重いものでなくてはならないのだ。次期国母を決める厳粛なものだからな」

「はあ」

「さて、お前はこれで次期女王になる訳だが、将来の王配となるべき殿方をこれから選ばなくてはな。これも極めて重要なことゆえ今度こそ慎重に選ばなくてはな」

「はい、お父様……いえ、国王陛下」

 アリエッタはベッドから降りて背筋を伸ばしてから拝礼した。


なんのひねりもなくてすみません。

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― 新着の感想 ―
[一言] ひねりもなにも…w 第13位まで下がらないと真面な人がいない王族って 余程皆さん腹に据えかねてたんですかね?
[良い点] 言われてみればそれはそうだわ案件。 足の引っ張りあいが当たり前の世界で、 情報収集に不足はあり得ませんもんね!? 公爵たるもの、学園内のことだろうが、知らないわけがないんですよね、本来……
[一言] 既に準備万端整えて、待ってたんだろうな…
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