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幸せとは




結婚式の日取りが決まってから3ヶ月は今までの比にならないほど忙しく過ごした。


ついに明日は結婚式だ。アメリアが髪を乾かしてくれている。


もう我が家に帰ってくることはないかと思うと本当に寂しいけど、これからルーファス様と暮らしていくことは楽しみでしかない。


「ついにティターニア様がこの屋敷を離れてしまう日がくるとは寂しいですね。でもティターニア様が幸せなのが一番ですから嬉しいくもあり、複雑な気持ちです。」


「アメリアには小さい頃から実の姉のような存在だったから寂しいわ。でもアメリアもこれで結婚する気になるかしら?」


「結婚はできたらしますが、相手がいないとできないものですからそのうち考えます。」


「相手なら選び放題でしょう?アメリアの子供も見てみたいから絶対してね!」


「頑張ります…」


アメリアはまだ悠長なことを言っていて心配になる。


これから私がいなくなったらアメリアに自分のことを一番に考えるように言ってくれる人が現れればいいけど、彼女は何かと自分のことは後回しにしがちだからどうしたものか。


色々と考えているうちに眠くなってしまった。髪を乾かした後のマッサージがどうも気持ち良くていつも寝こけてしまう。私はポンコツか。


「明日は大切な日ですから今日はゆっくりお休みになってください。」


「ふぁあ、ありがとうアメリア。お休みなさい。」


「お休みなさい、ティターニア様。」


ポンコツな私はそのまま寝てしまった。

でも大丈夫、しっかり者のアメリアならきっと良い相手を見つけるわ。間違っても友達に惚れ薬を頼むようなことは決してしない。




◇◇◇




次の日、ルーファスとティターニアの結婚式は予定通り行われた。


天気も良く、まるで天も祝福しているようなそんな日だった。


「やはり天使だからかな?天気までも味方に付けるとはティターニアはさすがだな。」


「人前で変なこと言わないでください!恥ずかしいです!」


「大丈夫だよ。君が噂の天使だということはみんな知っている。」


あれからルーファス様がアンナに依頼した小説は出来上がり、もちろん領地のみんなに配ったらしくこれから領地を回る時どんな顔をしたらいいか今から頭が痛い。


そして、どこから話が漏れたのか知らないが貴族の間でも噂が流れ私はサロンへ行ってもその話ばかり聞かれた。


最近では婚約したカップルは自分たちを題材に小説を書いてもらうのがブームになってしまったらしく、アンナも忙しくしている。

でも、おかげで収入が以前の倍以上になりお店を大きくしようかなとか言っている。一体貴族たちは依頼料にいくら払っているのか。今や売れっ子小説家アンナの名前は若い女性で知らない者はいない。



「絶対領地を回ったらどこが天使だってみんな思いますよ。」


「そんなこと思う奴わが領地にはいない。いたら追い出す。


よし、そろそろ時間か。では教会でこのヴェールを上げられるのを心待ちにしている。」


そう言ってルーファス様は先に教会へ行った。


私は教会の扉の前で父にたくさんの感謝を述べ一緒に教会へ入っていった。


ゆっくりルーファス様の元へ歩いていく。父は目元をうるうるさせながらルーファス様によろしくと一言言うとルーファス様はお任せくださいと言い私をエスコートしてくれた。




「二人はお互いを慈しみ生涯愛し合うことを共に誓いますか?」


「はい、誓います。」

「はい、誓います。」



こうして私たちは夫婦となった。




◇◇◇



次の日目を覚ますと隣にルーファス様がいて背景が見えないはずなのに眩しいくらいに輝いて見えた。


「おはようティナ。」


「おはようございます…。」


こんなに明るいところで何も身につけていない格好は恥ずかしい。それなのにルーファス様は抱きしめてキスしてきた。


「こんな幸せなんだな。一緒に暮らすということは。」


ルーファス様が眩しすぎて直視できない。


「ルーファス様がかっこよすぎて心臓が痛いです。」


「!! ティターニアは私をかっこいいと思ってくれていたのか?」


「当たり前です…。」


女性たちの憧れのルーファス様をかっこいいと思わない人はいないよきっと。


「ちなみに私のどこが好き?私はティターニアの笑った顔が好きだ。」


私のどこが好き?って女が言うセリフだと思ってた。ヒロイン気質は結婚しても健在だな。


「言ったら怒るから言いません。」


「絶対怒らないから!ティターニアね?」


「そういう可愛いところですよ。あと顔も好きです。」


「可愛い???可愛いとはティターニアのようなのを言うんだぞ?でもそうか、今まで自分の顔はあまり好きじゃなかったがこの顔に生まれてきて初めて良かったと思った。


結婚っていいものだな…。」


私を抱きしめながらルーファス様はしみじみと言った。




今日はさすがにルーファス様もお仕事はお休みということで二人でゆっくりする予定だ。


朝食も部屋でとり、午後は何をしようかなんて話しながらゆっくりと朝食を楽しんだ。




今までルーファス様のお部屋に来てもあまりお部屋の本や絵画を見ることはなかった。ルーファス様がお手洗いに行っている間好きにしていてくれと言われたので、ルーファス様の部屋でまったりと部屋を見ている。


ルーファス様はアンナのファンと言うだけあってしっかり部屋にアンナの小説が並んでいた。


ちょうどルーファス様が帰って来られた。


「さすがアンナのファンなだけあって全て本棚に飾られているんですね。」


「もちろんだ。…!!


そ、それよりティターニア庭でも散策に行かないか?」


なんだか焦った様子のルーファス様を不思議に思ったが、私はルーファス様の趣味の本も気になりどんな本があるんだろうと見ていた。


そうすると何だかやけに薄い本がある。しかもアンナの小説の段にある。興味本位でその本を取るとそこには


Love~another story 小悪魔な君~


なんだこれは。聞いてないぞ。


「あっ!ティターニアそれは!」


中を見た私は固まってしまった。


「ルーファス様…こういうのが趣味だったんですか!!

アンナに何書かせてるんですか!!」


「いや違うんだ、こういうのが趣味なのではなく君がヒロインなのが重要であって小悪魔バージョンと天使バージョンどちらもある!…あっ」


「そこを聞いてるのではないです!ルーファス様のエッチ!」



なんとあの薄い本は所謂官能小説だった。


思い返せばアンナに依頼した日わざわざ私を置いて再度お礼を言いに行くのは変な話だった。きっとあの時依頼したんだろう。そしてアンナもアンナだ。親友を小悪魔にして!!


アンナについても売れっ子になったからといって一年も経っていないのに店を大きくするなんて普通はできないが、ルーファス様で味をしめたのだろう。他のカップルにも同じような提案をしてだいぶ稼いだなアンナ。



「これからは結婚したんだから必要なくなるし安心してティターニア。」


「もう、ほんとバカ!」


ルーファス様のおかずとか聞きたくないよ!

でもルーファス様はこういう小悪魔タイプも好きなのかと思うと捨ててとは言えず、今度こっそり勉強しておくべきかななんて考えがよぎる私もそうとうルーファス様バカなのかもしれない。


[完]



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