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その日までのお供


アンナとのことについてルーファス様に手紙に書いたら、すぐお返事がきてルーファス様も私の親友に会ってみたいとのことだった。


アンナはルーファス様のような方が来られるような店でもないと言っていたんだが、ルーファス様が絶対行くと言って半強制的にアンナを紹介することになった。


「今日はティターニアの親友に会うんだから失礼のないようにしなくてはな!」


ルーファス様は何故か気合い十分だ。


「ルーファス様、あまり期待しないで下さいね!店内も狭いですし貴族が行くような華やかな店ではないですからね!」


聞いてないですね…


ルーファス様は背景から音符を出してルンルン気分のようだ。何がそんなに楽しみなんだ。


アンナの店はそんなに人が集まる店でもないので店内も狭い。そして貴族が来ることはそうそう無いらしい。

貴族の方がアンナの小説を読むとしても使いの者が来て購入していく。


だからルーファス様が来たとなると次の日近所中の噂になるだろう。そしてアンナは質問攻めだろう。

そうなるのはアンナが可哀想だから今日もお忍びコーデでひっそり店に行くことにした。


「ルーファス様!そんなにキョロキョロしていては駄目ですよ!早く入ってください!」


「遠目からでは分からなかったが扉も彫刻が施してあったり素敵なお店だな。」


ついに足を踏み入れる日がきたのかなんて一人でつぶやきながらルーファス様を中へ案内する。


感動しなくていいから素早く入ってほしい。

店内に入りアンナにルーファス様を紹介しようかと思ったのだがルーファス様がアンナに会うな否や

「アンナ先生!いつも作品読ませてもらっています。」


まさかのルーファス様アンナファンのようでした。


きっかけは私がどんな店にいるのかどんな小説を読んでいるのか気になって小説を取り寄せたのだが一冊読んだら、アンナの違う小説も読んでみたいとなり気付けば全小説制覇していたらしい。


そして読めば読むほどいつかこんな恋愛がしたいと憧れを抱くようになったそうで、熱弁するルーファス様は完全にファンそのものであった。


女性目線のストーリーなので男性ファンには会ったことがなかったのもあるし、私が今まで無表情で何を考えているか分からないとアンナに相談していた相手が来ると思っていたアンナは困惑している。


「ん?え?ティナの婚約者様が来るんじゃなかったっけ?」


アンナ、気持ちよく分かるよ。


「こちら、婚約者のルーファス様よ。

ルーファス様、親友のアンナです。」


一応紹介してみたが、状況的にルーファス様が本当に婚約者なのかアンナは疑っている。


「いつもティターニアがお世話になっております。」


ルーファス様は握手会のような勢いでアンナと握手している。


「あ、えっと…はい。」


呆気にとられているアンナを横にルーファス様は手土産にクッキーをお持ちしましたと言ってここでお茶していく気満々だ。


まあアンナもお茶を出す準備をしていてくれたようで、いつものカウンター脇のテーブルにお茶を持ってきてくれていた。


「どうぞおかけください。」


アンナがお茶を入れてくれる。


「ありがとうございます。


実は今日アンナ先生にお願いがあって参りました。」


ルーファス様がそんなことを言うものだからびっくりした。私聞いてないんだけど!


「どのようなことでしょうか?」


「私とティターニアの実話を元に小説を書いて貰いたいんです。」


「ちょ、ルーファス様何を言っているんですか!?」


「夢だったんだよ。主人公たちもルーファスとティターニアで書いて欲しいです。」


「逆に良いんですか!?この間、ティナからルーファス様とのことを聞いて参考にしたいくらいには思っていましたが実話を元にしていいとご本人から言っていただけるなんて!」


もうそこからは私の恥ずかしいなんて言葉は聞いてもらえず二人でノリノリで設定やら色々と決めていった。


ルーファス様なんてこの小説が出来たら領地の皆に配ろうと言い出す始末だ。


ちなみに、小説のタイトルは


Love~羽根を隠した天使~


………………しんどっ


待て、これを領地のみんなに配るとか言うの??


領地に行ったときどんな目で見られるか…


しかし二人はもう止められない。結婚あとのストーリーはルーファス様の夢がたっぷり入ったストーリーになっているらしく、屋敷に帰った主人を迎えるティターニアはご飯にする?お風呂にする?それとも私?というあの定番のセリフを言う設定になっている。絶対言わない。言うわけないじゃない。


さすがアンナの小説に毒されているルーファス様。こってこての王道ラブストーリーがお好みのようだ。


二人をずっとここに置いておいては盛り上がり過ぎて収拾がつかないので話が一段落ついたところで今日はもう帰ろうとルーファス様を連れ出すことに成功した。


「ティターニア、最後にアンナ先生にお礼言ってくるから少し待っていてくれ。すぐだから。」


「分かりました。すぐですよ!」


ルーファス様はアンナにお礼を言いに店に戻った。


本当は良からぬ事を考えていたなんてこの時のティターニアは知る由もなかった。



◇◇◇



それから段々と結婚式の準備で忙しくなってきた。

あと、背景も段々と薄くなってきてしまった。


結婚式のルーファス様の背景とか子供が生まれた時のルーファス様の背景も見てみたかったけど、少しずつルーファス様がどう思っているのか分かるようになってきた。

これもアンナの魔法のお陰だ。


最近の私とルーファス様は中々二人で過ごす時間は取れていない。それもそのはず、ルーファス様は結婚式の準備だけでなくお仕事もあり元々お忙しい方だ。


だからルーファス様からの手紙には早く二人で過ごす時間がほしいと切実に書かれている。


私だってルーファス様に会いたいが、日を追う事に切実さが増してくるものだから少し面白い。こんなこと言ったらルーファス様はなんて思うかな?言えないけどね。



今日は2週間ぶりにルーファス様とお会いしてお茶をする。


前だったら月に一度しかお会いしないこともあったのに慣れとは怖いものだ。



「ティターニア…よく来てくれた!」


薄らとルーファス様の背景で枯れていた花がどんどん復活して綺麗に咲き誇っている。


「ご無沙汰しておりました。」


2週間会わなかったからかどう接していたか分からなくなり会いたかったと言いたいのに気恥しくて言えない。


部屋までルーファス様が案内してくれるとルーファス様が近づいてくる。


前にルーファス様の膝の上でされたことがこの部屋に入ると思い出されてしまい恥ずかしくてルーファス様が近づいてきた分離れてしまう。


「………ティターニアは私に会いたくなかったのか…?」


「えっと、違うんです、」


それでもどう接していいか分からない私はルーファス様に遂に壁まで追いやらてしまった。


「私のことが好きじゃなくなったのか…?」


「…あの何だか久しぶりで恥ずかしくて…


もちろん好きですよ…」


どんどん声が小さくなってしまう。


ルーファス様が手を握ってきた。


「良かった…私は大好きだ。」


ルーファス様は握っていた手と反対の手を腰に回したかと思ったらキスしてきた。


「ティナ会いたかった。ティナ不足でどうにかなるかと思った。」


そう言ってぎゅーっと抱きしめてきてティナ〜と唸っている。


私も嬉しくなって抱きしめ返す。

「ルーファス様、私も会いたかったです。」


「あー可愛いぃぃ」




ルーファス様は私をまた膝の上に乗せ私の大好きな蜂蜜入りミルクティーを渡してきた。


「実はこのお茶もティターニアのメイドから君がこのお茶が好きだと聞いて、その次のお茶会からはこれにしていたんだ。」


「え!いつそんなことされていたのですか?」


「君の家に行ってフィリップ殿下の誕生日パーティーについて相談に行ったときだよ。しかもその日は君に初めてドレスを送ろうと決心した日だったけど、君が紺色のドレスにするなんて言ってきたから完全にタイミングを失ってしまった。

今では良い思い出だ。」


まさかルーファス様がそんなこと考えていたなんて思いもしなかった。


「あ!アメリアとトイレで話していたのってその事だったんですか?私はてっきりルーファス様はアメリアのような大人の女性が好みなのかと…」


「私がティターニア以外可愛いと思うはずないだろう。」


偽乳まで作ったのに私の勘違いだったとはただ恥ずかしい思いをしただけじゃないか!


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