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あのねー2、前世ではなく前世の前世が大問題でした~今日は11番目様とのお茶会です~

作者: 三香

感想、誤字報告、ありがとうございます。


 「ああ、君の柔らかな体を、あますところなく舐めまわしたい」

 ご安心下さい、18禁ではありません。

 「ああ、君の小さな唇は、本当に美味しそうだ」

 繰り返します。ご安心下さい。18禁ではありません。

 「ねぇ、少しかじっていいかな?」

 彼の言葉は、そのままの意味です。

 100パーセント食欲です。

 なので、ご安心を、で・き・る・かっ!!!

 私、死んじゃうよーっ!

 武器を構えた使用人たちが、ずらら~と私を守るために後ろにいても、安心できない。

 だって、彼、11番目様の正体は、竜、なんですもの。


 この世界は、神様が神殿にご在宅な世界だ。

 竜がいても不思議ではない。ないが、何で!私の婚約者なの!!


 過去、10人の婚約者に浮気されまくって、11番目にきたのが彼。私が11番目様と呼んでいる彼。智に優れ、武に優れ、凛々しい容姿の、彼。


 私の婚約者、11番目様。

 絶対に名前なんて、呼びませんよ。

 お互いに名を問い、お互いに名を呼びあえば、竜の世界では正式に番として成立してしまうのだ。あぶなかった。3ヶ月前の私グッジョブ!はじめての顔合わせの時、私は風邪をひいてベッドのなかだった。ひどい風邪っぴきで、喉がはれて、声も出なかったが、彼が1日でもはやく会いたい、と熱望したため、その状態でのお見合いとなったのだ。


 いわば、11番目様の自業自得?


 「ああ、君は覚えていないだろうがね」

 11番目様は、はじめて会った時から何度も語った。とても嬉しそうに。

 「私は、番をずっと探していて。でも、見つからなくて。何百年もつらかった。そうして、やっと、やっと君を見つけた。君は、人間の女の子で、小さくて可愛くて、とってもいい匂いがした。私は嬉しくて、君にキスをしたんだ。そうしたら、君は甘露のように甘くて。私は我慢できず、君を抱きこんで舐めて、そう、舐めたのだけれど」

 11番目様が、視線を落とす。

 「自分が、竜のままの姿だと、人間の姿ではないことを、うっかりしていたんだ。あまりにも美味しかったから、口のなかで君をしゃぶって、もちろん、死なせないように、注意はしていたんだよ?でも、でも、君は美味しすぎた。ちょっとだけ、口の奥に入れたんだ。そんなつもりはなかったのに、飲み込んでしまって。あわてて吐き出したけど、君は死んでいたんだ」

 顔をあげた11番目様は、かがやく笑顔だった。

 「そのままでは、もったいないだろう?だから、食べたんだ。もうね!もうね!次元のちがう、美味しさだった!!激うまっ!!」


 そうですか。

 さぞ、前世の前世の私は、こわかったでしょうね。客観的にみて、なぶられて、いたぶられて、食い殺されたんですもの。ねぇ、目をキラキラさせている11番目様、そこのところをわかっています?


 「君の魂の形を覚えたから、うまれかわってきても、すぐ見つけられると思っていたのに。君は、どこにもいなくて。調べたら、ちがう世界で生まれていた」


 たぶん、私、こわくて必死で逃げたのでしょうね。世界をこえるぐらいに、こわくて。

 

 「だから、竜力を使って、こちらの世界に呼びもどしたんだ。もともと、こちらの世界の魂だったから、簡単だったよ」


 とてもいい笑顔の11番目様に、殺意をおぼえても、仕方ないよね?


 「今度は、ちゃんと番って子をなそうね!幸せになろうね!嬉しすぎるよ、また君を食べれるなんて。大好きな君が死んだら、血の1滴すら残さず、すべて食べるよ。きっと、極上に美味しいのだろうね」 


 11番目様が舌舐めずりして、私をみている。目が、爬虫類の目になって、獲物として私をみて、笑っている。


 「ねぇ、手足ぐらいなら、生きているうちに、食べてもいいだろう?大丈夫、ちゃんと練習してきたんだよ。大事な君に苦痛なんて、あたえないよ。それに、手足がなくても、子は孕めるだろう?」


 鬼畜!!

 せめて、食欲と性欲を別々にして!?

 それにっ、どこでっ、何をっ、練習してきたの!?・・・わかってしまう自分が、つらい。王宮で昨夜、量産されたアレよね。アレ、絶対に父がかんでいるわ。私が以前、小声でぶつぶつ言ったタイプばかりが、アレされたもの。

 家柄で逆らえないことをいいことに、下級貴族の令嬢や平民の娘の花を次々ちらしていっていた高位貴族のバカ息子たち。力にまかせて暴力を部下にふるっていたクズ騎士たち。領民を虐待していたクソ貴族たちもいたわね。

 100名以上が王宮の庭でアレされて、まさに、血の海。結界がはられていて、誰も気がつかなかったらしいけど、第一発見者は、早朝の散策をする予定だった国王陛下ご一行様だったそうだ。


 たった13歳なのに、心労で10円ハゲができそうだわ。


 しかも。

 父が国中の金塊を集めて、神様に11番目様の殺害依頼を申し込んだら。

 「ん~?この量の金塊だと、神力の0.01パーセントかな。それだと一撃で殺せないから、数分かかるよ。そうなると、王国とその周辺国は更地になるけど?」

 いいかな?と、すずしい顔で、皆殺し宣言を。

 快諾しようとした父にとびつき、口にハンカチをおしこんだ私を、誰かほめて!?


 神様だってマイホームがなくなると思ったけど、神殿はすべての国にあるから、って。だからって、だからって、神様VS竜で、何十万人もが死んで、何百万人もが路頭に迷うのよ!?


 父も。

 神様も。

 困ったちゃん☆なんて!誰が、言うかっ!怒りのあまり火をふきそうよ!?


 ふーっ。おちついて、私。

 思い出しただけで、怒りの青筋が。


 「可愛い番。眉間のしわがすごいぞ。手足がいやなら、とりあえず指一本でもいいぞ?」


 どこまでも、自分の欲望に正直ですね、11番目様。

 うらやましいです。


 ああ、前世の私よ。

 おぼろげにしか覚えていないけど、平和な世界だった。普通の両親がいて、普通の弟がいて、普通の家族だった。大金持ちではなかったが、あたたかい家があって、毎日おいしい御飯が食べれて。お小遣いをもらって、お気に入りの本を買いに行く時間が1番好きだった。

 なんでもない日常のありがたさを、父と神様と11番目様のおかげでシミジミ身にしみて、涙が出そうです。


 「ねぇ、ねぇ、今日も君のお風呂のお湯、ちょうだいね」


 はい、はい、私の煮汁ですね。美味しいだし汁が出ているのですか?

 まったく感傷にもひたれない。少しぐらい、私ってなんてカワイソウ、とウットリしてみたいものだわ。


 「愛しているよ。はやく正式に番って。異世界から傷ひとつなく呼ぶために、竜力を使ったから、動けなくなって、会いに来るのが遅くなったけど、もう絶対に離さないからね」


 命がかかっている番成立防止のため、11番目様と会う時は、声を出さない、会話しない、頷かない、の3ヶ条を徹底していたけど。

 私には生まれた時に、父が、王宮の宝物庫にして100庫分の金銀財宝をもって、神様にお願いした守護がある。だから、物語にあるような番に無理矢理さらわれて、ウンヌンカンヌン的な展開には、さすがの11番目様もできない。

 ただ、私の身は安全でも、11番目様のご機嫌をそこねると、周囲に被害が出てしまうから、こうして会っているけれど。


 11番目様に、人間の常識がないのは、わかっている。竜なんですもの。わかってはいるけれども。


 アクセサリー的な婚約者は許すけど、娘を結婚させるつもりのない父にも。

 楽しむけど、人間が生きようが死のうが興味のない神様にも。

 食欲と性欲に一直線で、ひたすら我が道を進む11番目様にも。


 皆様、圧倒的すぎて、私、心が圧縮されて押しつぶされそうなのです。だから、ちょっとだけ、逃げてもいいですよね?


 父については、私が生きがいで愛情が暴走している、という情状酌量があるけど、それでも、11番目様を婚約者にしたことで、嫌いになれないけど、有罪。たぶん、いつもみたいに婚約だけして、って思っていたのに、11番目様が竜だったのは、父の生涯最大の大誤算だったのだろう。


 うーん、そろそろかな?


 実は、神様から異世界転移の話がありまして。

 ちがう世界の神様から、自分の世界の女の子をこちらの世界にうつしたい、というプランをもちかけられて、面白そうだから、と。私は、世界をこえたことがあるので移動させやすい、とのことで。どう?と、きかれましたが、拒否権なんてあるのですか、神様?


 11番目様は、魂の形がわかるのでもちろんですが、父にだって、瞬時にバレると思いますよ。魂の交換留学だなんて。

 知りませんからね。

 すべての国の神殿が、破壊されても。

 知っているのですからね。

 神様の本体は、遥か彼方にあって、神殿は地上に干渉するための拠点であることを。神殿がなくなれば、神様は地上に手も足も出すことができなくなることを。

 父が、相手の弱味もにぎらず、契約するなんてありえないのですよ。


 ああ・・・・・・きた。


 「オフィーリア!?」

 意識の途切れる瞬間、11番目様の悲鳴のような叫び声をきいた。


 と、思っていたら。

 次に目をあけた時、11番目様のどアップがあった。

 何と、私の魂をガッチリつかんで、いっしょに異世界まで転移したらしい・・・・・・。


 ぴえぇん。


もともと、まず、11番目様が生まれて、あのね、にひろがりました。ちょっとアレな11番目様ですが、よろしくお願いいたします。

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[良い点] 主人公、不憫にもほどがある
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