序章
2018年に自費出版した『碧の疾風』の始めに掲載されている短い物語。
百年前の英雄と勇者の話をダイジェストに語っております。
今より百年ほど前、少年と少女がそれぞれ別の場所に舞い降りた
少年は盟友となる英雄王と出会い、各地で困ってる人を助けてるうちに
いつしか勇者と呼ばれる存在になった
少女は孤独なドラゴンと出会い、その存在の傍にいるうちに
愛を通わせて一つの卵を産み落とした
そして少年は、世界を救った存在として語り継がれるようになった
少女は、世界を救ったにも関わらず誰にも語られずにひっそりと
歴史の中に埋もれ忘れ去られていった
そして盟友である英雄王は、勇者が眠りについた時に強く誓った
――どんなことをしても、彼を目覚めさせると――
そして英雄王は、混乱していた水の国を平定させて 自らの血筋から
後継者を見出すと、歴史の表舞台から消えていった
勇者が決戦の直前に、金色の髪をした美しい少女と婚姻を結んでいる
絵画がある地に遺されていて
勇者と英雄王に助けられた多くの人々は語った
この世の何処かに 勇者の血を引いた子供がいるかも知れないと
英雄王にも、子孫がいるのではないかと
民衆に愛された勇者と英雄王の子孫
其れは何処にいるのか、どのようにして生を受けたのか
この地に一つの謎として、噂として語り継がれ
――そして百年後、一人の少年の逃走劇から物語は始まる――
一応この部分が、本編の多くの伏線に繋がっているのでざっとで良いから読んでおいて下さいませ。