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2:双子

ラートン帝国第4代皇帝アムフ・スヴィトンは息子20人娘12人、合計32人の子供を作った。

子孫繁栄というのは歴代の皇帝たちが求めていたものとはいえ、この数量では流石に多すぎ。

皇子の間、そして皇子の母親及び其の後ろの各貴族たちの間では、政治闘争の波は1日も静まらない。


皇子を持つ妃にしても、強力な後ろ盾を持たない限り早かれ遅かれ政治暗殺されてしまう。

例えば十三皇子ルーカスの母親は子供が5歳になる年に、皇宮庭の池に身を投じて『自殺』した。


しかしながら、不幸か幸運か、小さい頃から同輩より甚だしく優れる英知に満ちた表現で、ルーカスは四皇子ギネスのお目に留まって双子の妹レイと一緒に引き取られることになった。

なので、年齢差が大きなギネスは二人の兄であり親のような存在である。



「ただいまーー」


レイは帰ってすぐ書斎に入ることにした。

皇子は成年後に皇宮から賜る邸宅に引っ越しすることになる。皇女の場合は嫁入りまで皇宮に住むというものだが、ルーカスの請求で双子は一緒に住めるようになった。

無論双子の仲が良いとは理由の一つだが。


「おかえり」


部屋の中に目の前の山ほど多い書類を処理しているルーカスがいた。

お二人は瓜二つ、中性で美形な外見は全く同じだ。

青春期に入ってからホルモンのせいで少しはずれがちだけど、適切に飾ったりメイクしたりして誰でも二人を見分けられないんだろう。


「どうだった?」


「…ごめんなさい、できなかった」


「はぁ?まさか、あのチビ魔女はお前のことをそこまで好きなの?」


「いや…そ、そうじゃないけど…じ、実は色々があって…」


「もしバレたか、まぁそれでも想定内だ。俺が教えてあげた通りに言った?」


「言ったけれどぉ、けどぉ…あのね兄さん、とりあえず女装をやめたら話そうか?どうして家でも女装してんの?」


妹に言われて立ち上がったルーカスは見せびらかすように身を回し、淡い黄色のドレスが踊るように漂う。


「可愛いからに決まってんだろう」


向こうは王立学校の男性制服を着ているレイ。


「もう知らない!だから兄さんを偽るなんてダメって言ったのに…どうしよう…」




世界中の各国は基本男権の社会構造。

何せ人類の体には『血統』という特殊な能力を封じており、血統覚醒すると強大な力を手に入れられ強大な存在となる、それは《騎士》と呼ばれる。

男性の体質は血統覚醒できる傾向が強く、長年の流れで騎士の主体は基本男とするようになっていた。


女性の体質には血統覚醒する傾向が弱い一方、魔法の才能に溢れている。歴史上に名を残している有名な大魔法師や聖職者はも基本女性である。ただし、希少金属や特定な術式で魔法を抑える《反魔法》という対策さえ持っていれば魔法を使えなくなって一般人になる故に、たかが騎士のサポート役。


女騎士、男魔法師のような方もいるけど、さぞその先には多難な前途があるだろう。


特に軍事大国として騎士道を崇拝するラートン帝国の法律により、貴族の継続権を含めてあらゆる政治活動を行うには正式騎士の資格は必要となる。特に皇子にとって騎士ではなければ普通な生活を送ることすらできなくなる。

ルーカスには並外れの知能を持つ一方、残念ながら病弱で剣術をはじめとして騎士と言える才能の片っ端でも身につけなかった。その代わりに双子の妹レイは性別に関わらずに騎士才能に溢れる。


そこでルーカスのとんでもない脳内にとんでもない計画が浮かべて来た。

逸材のレイは兄の名に乗って兄の代わりに王立学校に通い、騎士として卒業したのち元に戻るということだ。

入学試験も完璧に無事に済み、通学も完璧に無事に済み、保護者のギネスにしても双子の仕業を見破っていない。

なのに、『白雪の魔女』に遭遇したとはな。



事件の経過を聞いてルーカスは怒り狂うほど叫んだ。


「クソッ、あの日行かなきゃよかったのに!あのキチガイチビだけは行動読めねぇ!」




クロトー公爵家の娘の成年式パーティーは、十三皇子の完璧な一生に唯一の汚点をつけたとも言えるものだ。


元々偽装せずそのままで参加するつもりだったが、よりによってルーカスは妹の社交能力を鍛えようとしたくてーーもちろん兄を偽ってもお菓子としか交流してなかったレイだけど。


敵対とはいえ、クロトー公爵は帝国における皇帝様の次に最も偉い方なので、ご令嬢の成年式のお誘いを断ることは政治的死亡と同じだ。

公爵ご本人は遅刻したおかげで緊張な空気を避けられてありがたいと思った瞬間、その娘はまさか『自分』に求婚したなんて思わなかった。


そうーーいきなりのプロポーズなのでその場の全員を黙らせるほどのショックだった。

反応が早い妹に偽ったルーカスは必死に暗示を送ろうとしていた。


けれど、驚かれ過ぎて最初から空っぽな頭がさらに過度回転していたせいか、結婚宣言した次の瞬間レイは兄の代わりにこっくりしてしまった。


その時にルーカスはただ水に身を投じて天国の母さんに会いたいと思っていた。


四皇子ギネス様の顔色は公爵様と揃った。

最悪なのは、自分の忠誠心を疑われてしまうことになった。

当然のことだ。ギネスから見れば、自分が手塩にかけた弟なのに堂々と自分の敵と結婚宣言した。

それに『それは俺じゃない妹だ!』と言えない。大罪だから、ギネスにさえ知らせたらすぐ捕まっちゃう。


もっと最悪なのは、色々な推測して公爵側の反応を観察した上、エリシアの求婚は公爵側の陰謀ではないという結論しか得なかった。

ガチ恋?それは不可能だ。ここまでの人生の中に双子は公爵令嬢と会話のようなことでもしていなかった。

レイは正直な子、そして嘘の下手なバカ、自分を裏切るわけがない。

つまりこの全てはエリシアの勝手な行動、それ以外の可能性はない。



「お前はさぁ、やっぱ積極過ぎた?デートとか多すぎじゃなかった?」


記憶によると、毎週末のデートにレイはいつもノリノリで一度も欠席してなかった。


「だって〜!約束したのに行かないと悪いだもん!」


「…レイ、ひょっとしてお前もガチなの?」


「はぁ!が、ガチなんて…あり得ないじゃないか!女同士だし…確かにすごく美人だし小柄で可愛いし意地悪いけど実は優しいし…」


ジーーー


「そんな目で見ないで!もう!兄さんは自分で言ったら!?何で私が言わなきゃならないの!?」


「嫌だ!」


ときっぱり拒否したルーカス。

かつて幸運にもまだ子供であるエリシアは公爵の大切な所を撃破した場面を目撃したあの時以来、一生あのキチガイと関わらないようと誓ったルーカス。

それに何より、自分を偽ったレイは彼女と近過ぎ。見破られる危険性もあるので、そのままで良いと判断した。


「幸いには『ルーカス』は女だと思い込んでるだろう?じゃそれをほっとけ、こないだ俺らはこのままで良いのだ」


「はい…」


「お前も疲れたんだろう?早く休もう」


「わかった、おやすみ……そうだ、あのね兄さん」


「何?」


「このままでって言ったけど、実は兄さんが女装にハマっちゃって自分がしたいかなって…」


ジーーー


「じょ、冗談です!おやすみなさい!」


逃げるように部屋を出てドアを閉めた。


ため息をつきながら再び書類の山に打ち込む。

これらは全部ギネスに頼まれた政策を検討する書類。自分のせいでこんなジレンマに陥った以上、想像を絶する努力をして忠誠心と価値を示さないと。

そんな集中力でも同時に混沌のエリシアの件を思慮することも問題ではない。


「エリシアっか…どうやら婚約廃棄のルートはもうダメだ。じゃエリシアを『放棄』すれば…?」


急に何かを思いついたように、新たな紙を取って書き始めるルーカス。


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