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01

読むのは自己責任。

 窓際なのをいいことに窓の外をずっと凝視していた。

 だって内側に視線を向ければ――見たくない光景を直視しなければならなくなるからだ。

 別に苛められているとかではない。

 友達がいないというわけでもないし、普通に喋ることはできる。

 なら何故、逃避をしているのかと言えば、友達とは別のクラスになってしまったからだ。

 見たくない光景というのは大袈裟で、ただ単に自分より上手くやっているクラスメイトを直視するのが嫌なだけで。

 やべーわ、こいつら。

 集団に溶け込むスペシャリストかよ。

 つか、男子校というわけでもないのに男子が多すぎる。

 男子22人に対して女の子はふたりだけ。

 うん、いまだってその子らに気に入られようと頑張っている野郎が見えるし、うん、この人数設定はやべーわ。


志賀山しがやま、来てあげたぞ~」

「おう」

「そっけな……こんな可愛い子が来てやったんだぞ?」


 自分で言っていたら価値が下がる。

 それを何回も言っているのに榎坂京佳えのさかみやか――榎坂さんは全然聞いてくれない。

 そしてこうして普通に会話をしているが出会ったのは1週間前なので、ここのクラスメイトと大して距離感は変わらないのだ。


「なんだっけ、あの~……あ! 志賀山は草食系ってやつなのか?」

「いや……単純に榎坂さんと仲が良くないってだけだけど」

「はっ!? な、仲良くなかったのかぁ……」 

 

 榎坂さんが上目遣いで睨んできたのでさっと視線を逸らす。

 この子となんで関わったんだっけか……あ、そういえば野良猫を愛でていたらいつの間にか横に同じように座っていたのがきっかけか。


「猫耳もつけてあげたんだぞ!?」

「いや、頼んでないし……」


 近くの公園には人懐っこい野良猫が沢山いる公園がある。

 そしてそれを愛でていたらなにを思ったのかこの子、いきなり猫耳を頭につけて甘えるような仕草をしてきたのだ。

 それ以降、なにかと付きまとわれるようになっており、俺としてはありがたい、けれどやばい子に興味を持たれてしまったのもあって、複雑な毎日を送っているという形になる。


「それよりそろそろ友のひとりくらいできたんだろうな?」

「いや……みんな周囲に溶け込むスペシャリストだからな、俺ではとてもとても……」


 頑張ろうとしても話しかけづらいんだよなうちのクラスの人間。

 だって目がギラギラしてるんだもの、目の前にいるこの子みたいにさ。


「そっか、まあでもボクがいるから安心しろ! 猫耳をつけてまた甘えてやってもいいんだぞ?」

「……あの、変な言い方をされるとクラスメイトに誤解されてしまうのでやめてください」


 俺に変な趣味はない。

 妹にだったらされても構わないが……あ。あくまで俺らの関係は健全だとここで説明しておく。


「なんだなんだ、照れなくてもいいだろう?」

「もういいから帰ろうぜ、どうせ放課後に用ないしな」

「よしきたっ、今日もあの公園に寄って帰るとしよう!」

「ああ」


 まあ悪い子ではないからこうして付き合っている形となる。

 ぶっ飛んだ言動さえなくなれば普通に可愛くていいんだがなあ。

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