習作・短編の部屋

花言葉ものがたりより「ヒイラギ」

「健太って、綾香と付き合ってるんだって？」

「健太は美理のこと好きだって思ってたわ」

「知らないわよ別にあいつなんて。幼馴染で話しやすいってだけでしょ？　健太なんて、チビでむっつりじゃん。ごめんだわー」

「あーでもさ、高校になってから、身長のびたよね」

「まあ確かに。でも相変わらず話しずらいけどね」

「無口？　クール？」

「そうそうそう」

「クールクール」

　ぎゃはははという馬鹿笑いが教室に響く。

　私だって思ってた。あいつが好きなのは私じゃないかなって。それが何？

「でも綾香ってさあ」

　途端に囁き声になる。

「あの髪さあ」

「呼び出されても、やめないらしいよね」

「つうかさ、シャツのボタン開けすぎだよねー」

「なんかねえー、男子には愛想いいのに」

「女子とは話さないよねえ」

　ひそめた声が、またすぐ大きくなっていく。

　ほんと、信じらんない。

　だから、誰にも知られるわけにはいかないのよ。

　私の方が健太のこと好きだったなんて！