【おとぎの国のものがたり】「魔法の手提げ」
魔法使いの女の子は、おばあさんとお買い物に出かけました。
街につくと、女の子はお小遣いをもらって、大好きな雑貨屋さんにまっしぐらです。
暖かな日差しの差し込む店内には、奇麗なものや可愛いもので溢れています。
赤や緑に輝く石が嵌め込まれた指輪。色とりどりのスカーフや髪飾り。桜色の貝殻や真珠の散りばめられた宝石箱。
女の子は店の中をじっくりと眺めました。
たくさんの品物をどれもしっかりと確かめた後、女の子は自分の手のひらの中のお小遣いを確認しました。
「これください」
おかみさんに声をかけた女の子の手には、野花の柄の布が一枚握られていました。
お気に入りを見つけた女の子はにこにこで、おばあさんとお家に帰ります。
さあ、それから女の子はおばあさんに教えてもらって、毎日お裁縫です。
チョキチョキチョキ
布を切り。
チクチクチクチク
針と糸で、布を縫い合わせていきます。
出来上がったのは、手提げ袋。凝ったデザインではありませんが、お花の柄がとても綺麗です。
最後の仕上げは、覚えたばかりの魔法です。
ちちんぷいぷい、私の願いを叶えておくれ――おばあさんが言うには、おまじないの言葉は何でもいいのだそうです。
「はじめまして」
手提げ袋が突然テーブルの上に立ち上がり、女の子にご挨拶をしてくれました。
どうやら魔法もうまくできたようです。
さあ、あとは何を入れようかしら?
おわり





