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花言葉ものがたりより「沈丁花」
微々たるものですが、BL風味です。
公園に隣接する小さな神社は、沈丁花の匂い。
「まさか泣くとは……」
俺はグズグズと鼻を鳴らすあいつの手を引いて、ベンチに腰を下ろす。
「うるさい! 急すぎだろ! 引っ越すとか。しかも四国? どんだけ遠いんだよ。旅行でも行ったことないぞ!」
「俺だって驚いてるよ。まさか母ちゃんが再婚するなんてさ」
東北の冬は寒いけど、四国は温かいかな? なんて言ったら「バカ!」と一喝された。
「なあ、おまえ勉強がんばれよ」
そう言うと、涙を引っ込めてキョトンとした顔でこちらを見る。
「おまえ俺よりバカじゃんか。同じ大学に行こうぜ? そしたらさ、ルームシェアとかいうやつしねえ?」
たった四年後だよ。
みるみる赤くなるアイツの頭を抱きしめたら、腕の中から涙混じりの「うん」が聞こえた。
沈丁花をリクエストしてくださったのは、まに之介さん。まに之介さんというとBLだよな……ということで、ほのかにですがBL風味を出してみました。





