花言葉ものがたりより「ミモザ」
バラにラナンキュラスにマーガレット。
純白から覗く、小さい黄色のミモザ。
友人の結婚式に出席した彼女を、ホテルまで迎えに行った帰り道。
助手席のシートに身体をあずけた彼女は、どこか呆けたような顔をして、手にしたウェディングブーケを見つめている。
「疲れたのか?」
「そんなんじゃない」
夜景が綺麗に見えるという噂の駐車場に車を停める。ふと横を見ると、彼女の目から滴る涙が頬をつたい、顎先からブーケへ落ちていくところだった。
なにしろ、今日結婚した友達が嫁に行くまでは、自分も結婚をする気はないと、俺のプロポーズを断った女性だ。いろいろ考えるところもあるんだろう。
が……とりあえずその友人がさっさと結婚してくれて、俺は嬉しい。
そっと彼女の頭を撫でながら、ポケットの中の指輪の重みを確かめた。
Twitterで募ったお題に沿って作ったお話です。
バックアップも兼ねて、なろうに投稿することにしました。
六つの花言葉を題材にした物語を書いてますので、よろしかったら最後までお付き合いください。
ミモザをリクエストしてくださったのは、ながるさん。正統派なファンタジー小説を多く書かれていらっしゃる作家さんです。





