キーボード失踪事件
即興小説(お題:フハハハハ!それは失踪 制限時間:15分 )
なろうに投稿するにあたって、誤字脱字のみなおしました。
今朝方、小説を書こうとしていたのだが、キーボードの具合がどうにもこうにもよろしくない。
カーソルが勝手に飛んだり、きちんと変換させたと思ったのに、間違った文字が打ち込まれていたりするのだ。
エンターキーを押すたび、三度に一度くらいの割合でそんな事が起こる。
今日締切なのだ。
はじめはちまちま対応していた私も、次第にブチ切れた。
キーボードをめちゃくちゃに叩くと
「いい加減にしろ! このやろう! そろそろちゃんと仕事をしないと! 沸騰したお湯の中にぶち込んで、真っ二つにへし折ってやるぞ!」
バン!
電源を落とし、ノートパソコンを乱暴に閉じた。
その日はなんとか締め切りを延ばしてもらうことになった。
パソコンをもう一度立ち上げたら直っているかもしれないな?
などと思い。淡い期待を胸に閉じてあったノートパソコンを開く。
するとどうだろう?
キーボードが並んでいるはずの場所に、なにもないではないか?
のっぺりとただ黒い板がそこにあるだけ。
どういうわけだ!
ぽつんと一つ取り残された電源ボタンを押した。
いつもの起動画面が立ち上がる。
それに引き続き真っ黒な画面が現れた。
「は? は?」
私がアホのように「は?」という言葉を繰り返している間に、パチパチと黒い画面に白い文字が打ち込まれていく。
いや、私は文字を打ってない。何しろキーボードがない。
『熱湯風呂に入れられた挙げ句に、真っ二つにされたのではたまりません。それに、先程の不具合は、あなたの使っている、サイトによる不具合です。
あなたのようなご主人様にお仕えするのはもう懲り懲り。
ではさようなら』
しばらくの後、画面が真っ白になる。
私も真っ白になって、パックリと口を開けたまま、その画面を見つめていたのだった。





