2話 ライバル視
更新が不定期になってすみません。
時間があったので、投稿します。
「遅い・・・!」
週末。僕は戸田さんとの待ち合わせ場所で待っていた。
デートではなく、賭けに負けた罰ゲームとはいえ、女の子と映画に行くなんて初めての経験であり、僕のテンションは上がりにあがっていた。
そのせいもあり、待ち合わせ時間の1時間前についてしまった。
しかし、そこから1時間半も待つ羽目になるとは・・・
「英単語帳でももってくれば良かったなぁ・・・」
そんなことを考えていると、戸田さんが駆けて来た。
「ハァハァ・・・ご、ごめん・・・昨日、眠れなくて」
白いワンピースにハイヒールとかなりオシャレした格好だった。
服はショートカットの茶髪とピッタリでとても可愛い。
「服、似合ってるよ」
僕はやさしく声を掛けた。
いいぞ僕。こうしてリア充ポイントを稼いでいくんだ。
舞い上がっている僕に対し、戸田さんは顔を真っ赤にして言った。
「べ、別にアンタのためにオシャレしたんじゃないんだからね!
そ、その・・・!そう!オシャレしないと映画館の方に失礼でしょ!」
「そ、そうかなぁ?」
僕はジーパンにTシャツというラフな格好だ。
「そういうものなの!このバカ!!」
「痛ぁ!何するんだよ!?」
なんか殴られた。
「戸田さん・・・?それと三嶋?」
口論する僕たちに声をかける者があった。
「お前は、一之瀬海斗じゃないか」
こいつは一之瀬海斗。
僕らの同級生で、「九州の天童」と呼ばれた天才だ。
実際学年次席なのだが、僕を異常なまでにライバル視してくる。
「ほう。二人はデートなのか」
品定めするように、ジロジロ見て、ニヤリと笑う一之瀬。
「別にそんなんじゃ―――
「違うわよー!誰がこんな奴とっ!!」
―――痛い!今度は蹴ったな!?」
「そうか。違うのか」
フフフと不気味な笑みを浮かべ、長い髪をかきあげる一之瀬。
「そして、高らかとこう言った」
「じゃあ戸田さん。俺とデートを―――
「嫌よ」
―――早い!?俺のときのほうが断るスピードが速い!?」
一之瀬はうっすらと涙を浮かべている。
「俺の負けだー!!」
一之瀬は走り去っていった。
「クソ!三嶋め!」
一之瀬はやけになって、勉強机を蹴り飛ばした。
ノートやペンが飛び散るが気にしない。
「勉強だけじゃ飽き足らず、恋愛まで俺に勝るというのか」
一之瀬は床に落ちた一枚のプリントを手に取った。
『勉強オリンピック』
「今年こそは、お前に勝つ」
一之瀬は拳を握り締めた。
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