1話 バカな天才
次話投稿遅れてすみません。
最近、少し忙しくて・・・
って言い訳してたらダメですね。がんばります!
「はい。ここの問題説明できる人いるかー」
数学の武山先生がクラスに呼びかけた。
しかし、みんなの頭上には疑問符が浮かんでいて、答えが出る雰囲気はない。
仕方なく、僕は手を挙げた。
「お。流石だな三嶋。じゃあ説明してみてくれ」
「分散というのはデータの値と平均値の差の2乗で求めることができ―――
「あー三嶋・・・ちょっといいか」
なんだ。人の解答中に口を挟むとは。
僕は声の主を振り返る。
金色に染めたオールバックで、不良全開の格好をしているのが、高木秋伸だ。
中学のときは、鬼人高木の名を轟かせた番長だったが、急に勉強に目覚めここにいる。
「お前が解説しているのは63ページだろうが。
今、授業でしてるのは37ページなんだよ。この馬鹿が」
なんだと。気が付くと、クラスメイトがクスクスと笑っている。
武山先生も苦笑いだ。
僕は、顔を真っ赤にしながら座った。
「ホント、三嶋くんって馬鹿よね」
「頭のネジ全部外れちまってるからな」
休み時間。僕をいじりに来たのは戸田千夏さんと高木だ。
「もう。ほっとけよ」
僕は恥ずかしくなってそっぽを向く。
「そうそう。そんなことより三嶋くん」
突然戸田さんが口を開く。
「アンタ、賭けのこと忘れてないわよね?」
「え?なんのこと?」
「次、授業で間違えたほうが奢るってやつ」
あーそういえば・・・そんな賭けをしてたような気も・・・
「じゃあ。僕の負けだね。ジュースか何かでいい?」
「・・・いよ」
戸田さんがボソッと何かを呟いた。
「戸田さん今なんて・・・?」
「だから!一緒に映画を見に行ってやってもいいよって言ってんでしょ!」
「はぁ!?奢りじゃなかったのかよ!?」
「映画代の奢りでいいわよ!この馬鹿!」
急にキレられた。
「週末は勉強が・・・」
「つべこべ言わない!今週末いくの!いい?」
「僕に拒否権は?」
「ない!」
「ですよねー・・・」
僕 三嶋春一は須藤高校に入学して早一年。
僕は充実した毎日を過ごしていた。
「ふふふ・・・三嶋春一」
その夜。ある男子生徒は自室の机に向かっていた。
長くなった髪をかきあげ、不敵に笑う。
「いつか、俺の気持ちに気付かせてやるよ」
男子生徒は三嶋春一の写真を握り締めた。