第3章 20・KO
泥酔したウィン姫に敗れたカットビー・ウィル・インターゲット王子は、どうなるのか!?
第3章 20・KO
泥酔したウィン姫の渾身の一撃をくらったカットビー王子は、両脇を二人の女性の衛生兵に抱えられて部屋を出ていきました。
「うにゃー……」
泥酔しているウィン姫は猫のような寝言を発しながら布団に潜り込んでいきます。
やっぱりひとり残されたホーリーは、怒涛の如く過ぎ去っていった一連の動きに圧倒されて茫然としていました。
とりあえずインターゲット王国軍は一端退却したのです。
「マリエッタ、聞こえている?」
ホーリーはスマホアプリのマリエッタとワイヤレス通信をします。
【はいご主人様。危機は一応、今のところは去ったようです】
「そうなの?」
【インターゲット王国軍騎馬隊三千、魔法使い三百が野営の準備をしているようです】
「野営?この近くに?」
【はい。ここから直線距離で二百mの地点です】
「月はまだ隠れたままか……」
そう言ってホーリーは窓から外を見上げました。月は厚い雲に隠れています。今にも雨が降ってきそうです。
暗闇の遠くから、野営準備でテントを組み立てる声や音が聞こえてきます。
【夜襲に備えたほうがよろしいかと……】
マリエッタがそう助言しましたが、布団の中でバタバタと寝返りをうっているウィン姫を眺めていて、ホーリーも決心しました。
「僕ばっかり馬鹿らしくなってきた。もう寝るよ……」
【承知いたしました。もし敵が接近してきた場合はいかがしますか】
「もう、どうでもいい……疲れたから寝る……」
【……オヤスミナサイませ】
ホーリーは遠くから響いてくるドワーフのギャンのいびきをBGMに、その場でバタンと横になってしまいました。
空からは雨が降り注ぎ、ホーリーたちの宿の窓を叩くのでした。
子犬のナターシャだけが、その音に反応して一瞬顔をあげますが、すぐにまた丸まって眠り始めます。
全員が疲労困憊で(一部泥酔で)その夜は静かに過ぎていったのです。
あくる日、朝
「なんで貴様がここにいるのだ!!」
雨はまだやんでいません。そんな中にウィン姫の怒号が響き渡ります。
「……あれ、おはよう」
胸ぐらを掴まれ、無理やり起こされたホーリーは寝ぼけた調子でそう答えました。
ナターシャは欠伸をしながら起き始めます。
「あれ、おはよう!ではなーい!!!なぜ貴様が私の部屋で寝ているのだ!?まさか、よ、夜這いを……貴様―!!!!」
「え!?ち、違うよ、何を言ってるの……インターゲット王国軍が……え?聞いてる?」
「やかましいー!!!さっさと出ていけー!!!!!」
腹に二発パンチを食らい、ふらついたところを上段蹴りを顔面に入れられてホーリーはKOされ、そのままドアを開かれて廊下に投げ出されます。
【ホーリー様、生命力が1低下しましたが、大丈夫でしょうか】
ホーリーはしばらくの間、廊下で意識を失っているのでした。
「なんじゃお前、こんなところで寝ていたのか。風邪ひくぞ」
爆睡してすっきりとしたギャンが廊下に寝そべるホーリーを跨いで、朝食に向かいます。
ずいぶんと賑やかな朝食になりそうな気配がしました。
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