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第3章 18・カットビー・ウィル・インターゲット

インターゲット王国軍ついに到着。

第3章 18・カットビー・ウィル・インターゲット


 ホーリーは宿屋の階段を駆け上がる。途中で仲居さんとぶつかりそうになって、

「ごめん!急いでる!」

 そのまま自分の部屋のドアを開いた。


 グァー!!グアー!!


 食事に出る前よりも大きないびきだ。

 布団からはみ出して眠っているドワーフのギャンの肩を揺すった。

 「ギャンさん、たいへんです!王国軍が迫ってます!ギャンさん!」


 グァオー!! グァオー!!!


 このひとは、わざとやっているのでないかと疑いたくなるほどいびきが大きくなった。


 「ギャンさん!!起きてください!!軍隊が近づいてるんですよ!!」


 グァオオオー!!! グァオオオオー!!!


 「もういいです」


 ホーリーはそう言い残して、向いの部屋へ。


 コンコン


 ホーリーはやや緊張気味にノックした。ウィン姫とはいえ、女性の寝室にノックしているのである。初めての経験。

 襟元を正してしばらく待つ。


 【ご主人様、敵の先陣がそろそろ宿前に到達しますが】


 スマホアプリのマリエッタの索敵情報が、ホーリーの頭の中に語り掛けてくる。


 「わかっているよ。もう少しまって」


 コンコン、コンコン


 ノックの数を増やすが反応がない。


 【宿ごと焼き討ちされる危険性も】


 「し、しかたないなー、もう」

そう叫んで、ホーリーは思いきってウィン姫の眠る部屋のドアを開く。

香しい匂いが鼻腔をくすぐる。

 ウィン姫の姿を探した。布団もかけずに寝息をたてて眠っている。ピンクの浴衣は乱れて、ところどこらから白い肌がのぞいていた。


 ん!んん!


 ホーリーはわざとらしく咳ばらいをしてみるのだが、反応はまったくなかった。


 代わりに子犬のナターシャが目を覚まして、足元にじゃれついてくる。

「ナターシャはちょっと待ってて、この面倒くさい状況が片付いたら一緒に遊ぼう」

優しく声をかけるが、ナターシャは足元をはしゃぎまわり、ひっくり返ってお腹を見せる始末であった。


 【ホーリー様、先陣が宿に到着しました】


 「えーと、ウィン姫、起きれます?」

ホーリーはそっと語り掛ける。ウィン姫はまるでおとぎ話にでてくるお姫様のような寝顔。

めむり姫ののように無反応。


 「うーーーん」

ウィン姫が寝返りをうつ。うなじから鎖骨までがホーリーの目に飛び込んできた。

 わずかに酒の臭いがする。とても14歳の寝相とは思えない。


 「ウィン姫、起きてもらえますか?インターゲット王国の兵がここに着きました。対応しないと大変なことになりますよ、ウィン姫」


 ホーリーは意を決してウィン姫の肩に触れた。

 思ったよりも細くか弱い肩。

 少しだけ揺すってみる。すると浴衣がほどけて、胸元までが露わになった。


 「いや、わざとじゃないよ」


 誰も聞いないのだがが、ホーリーは必死に弁解する。

 ナターシャは我関せずとはしゃぎまわっていた。


 【先陣百名、到着し、二十名ほどが階段を上ってきます。うち二名は相当な手練れです】


 「ウィン姫!敵です。敵が来ます!!」

もはや時間がないのでホーリーはウィン姫の両肩を揺すって、呼びかける。

それでもウィン姫は起きる素振りがなかった。

酒が深いのか、眠りが深いのか。


 ドカドカという幾つもの足音が聞こえてくる。


 ナターシャがそれを聞いてドアの方に向いて唸り声をあげた。


 「失礼。わたしはインターゲット王国の王位継承権第1位にして、王国軍大将であるカットビー・ウィル・インターゲットと申すもの。ウィン姫にお会いしたく参上した」

そう云って一人の騎士が部屋に入ってきた。


 二十七・八くらいの歳。

 ウィン姫と同じ金髪で、巻き毛のショートカット。緑に輝く瞳。

 眼は意志の強さを物語っており、身体からだは頑健だった。腰には剣を差していた。

  イメージよりもはるかに男らしく、強そうな王子であった。

 「貴公、ここで何をなさっておる」


 「え!?」


 カットビー王子に言われて気がつく。

 ホーリーは浴衣のほつれたウィン姫を両手で抱えているような状態だったのである。


 誤解です。とはなかなか答えにくいシュチエーションです。


あたたかな日が続いていますね。

春の陽気です。

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