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第3章 16・ヘルツ坊やとママ

さあ、強力な吸血鬼ヴァンパイアとの戦いが始まります!!

第3章 16・ヘルツ坊やとママ


 ウィン姫と、隣り合わせに現れたマリーが一瞬目を合わせて互いの笑顔を確認しあいました。

 本当に一瞬だけです。

 その後はウィン姫が眉を吊り上げて、銀の剣を振るいます。

鋭い剣撃でしたが、マリーは後ろにやや下がって瞬き一つせずにその切っ先をかわしました。見切っています。

さらにウィン姫は踏み込みます。返す刃でマリーをひざ元から斬り上げます。しかも今回は片手です。右手一本で先ほどよりも遥かに深い剣撃がマリーを襲いました。

ウィン姫が免許皆伝の技をもつシャミング剣術です。


「両者、そこまでにしてもらおう!」


いつの間にか二人の間に小柄な少年が立っていました。

吸血鬼ヴァンパイアのヘルツォーク二世です。


マリーが目にもとまらぬ速度でナポレオンの隣に戻ります。

ホーリーはこの時、ウイングブーツを使えば目にもとまらぬ速度で動けても、それほどの速度の相手を目で追うことは別の問題だということに気が付きました。つまり、一定以上に速い攻撃をホーリーは防ぎ用もないのです。下手をすると避けることもできないかもしれません。


ウィン姫は酔っぱらってため息をつきながら、銀の剣を鞘にしまいました。


ヘルツォーク二世が両陣営を見比べながら話を始めました。

「何をしにここまで来たのかはよくわかっている。マリーめ、まさか俺を連れ戻すために悪魔化身デビルリバースと組むとはな……。ナポレオンよ、お前が千年の長きに渡り吸血鬼ヴァンパイアのトップに居続けた功績は認めよう。しかし、俺はここで退くつもりはない。お前におめおめと負けるヘルツォーク二世だと思ったか」

随分と深刻な表情です。よほど強い相手なのでしょう。吸血鬼ヴァンパイアでトップの魔力となるとかなりなはずです。


ナポレオンは未だに両目を閉じたままで答えました。

「ヘルツォーク二世くんは何か勘違いをしているようだね。私はキミと戦うつもりなんてないよ。キミが死ぬと連鎖して王族の多くが絶えることになる。そんな愚かなことはしない。今晩はウィン姫に会いに来ただけのことだ」


隣に立つマリーは両目に涙をいっぱいに浮かべながら、

「ヘルツ坊や、わがままを言わずにママのもとに帰っておいで、そんな小娘にいったいなんの魅力があるんだい」

先ほどの口調とは180°違います。まるで幼児をあやすような感じです。


 「いいかいマリー、確かに俺はキミの魂の半分をもらって吸血鬼ヴァンパイアになれた。しかし所詮は俺もキミも他人同士の関係だ。これ以上、俺に干渉しないでくれ。俺はこのウィン姫と結婚し、王族に向かい入れる」

ヘルツォーク二世がやや感情的になってそう答えました。


 「結婚は構わない。しかし王族に入れることはママは反対よ、こんな小娘が仲間入りをして、馬鹿な真似でもしたらいったいどうするつもり?ヘルツ坊やも私も、みんが死に絶えることになるのよ」

「俺はそれでも構わない!」

「ヘルツ坊や……」

「彼女には王族になる資格がある。そして改めて言っておくが、マリー、君は俺のママではない。俺のママは二百年前に死んだ。マリー、キミの手でね」

「そんな意地悪をママに言わないでおくれヘルツ坊や」


 「坊やだかママだか知らぬが、勝手に人の将来を決めないでもらおうか」

ウィン姫が酔っぱらってフラフラになりながら文句をつけます。

 マリーの目の色が変わりました。

「何をこの虫けらが。お前なんぞこの場で切り裂いてカラスどもの餌にしてくれる!」

激しい敵意をむき出しにします。

 「フン。貴様なんぞにひけをを取るものか。見よその額を」

ウィン姫がそう言って、また銀の剣を抜き、切っ先をマリーに向けます。


 マリーの額から血が一筋流れ落ちます。


 さすがのマリーもシャミング剣術免許皆伝の剣先はかわし切れなかったようです。


 見る間にマリーの表情が鬼のようになっていきます。

 「よくも我が顔に傷を…食ってやる、お前の生き胆をそのまま抜き取って食ろうてくれる!!」


 間にすかさずヘルツォーク二世が立ちはだかります。


 確かにマリーは見た目が三十四・五といったところ。対してヘルツォーク二世は十歳くらいですから母子と言われても違和感は感じられません。まあ、吸血鬼ヴァンパイアですから実年齢とは大きく異なりますが。


 「どきなさいヘルツ坊や。その小娘は私が殺す」

「そうはさせない。俺の花嫁だ……」


 するとウィン姫がツカツカとヘルツォーク二世に近づき、その頬を思いっきり平手打ちしたのです。


 パーン

 乾いた音が辺りに響きました。


 「いい加減にせよ。私はあの男の妻になるのじゃ。勝手なことばかり申すな」

ウィン姫がはっきりと言い放ちました。


 (いや、自分も勝手に決めてるんじゃ……)

と、ホーリーは思いましたが口にはできませんでした。


 マリーはびっくりした表情をしてウィン姫とホーリーを見比べています。

 そして笑い始めたのです。


 「なんだそういうことか。ならばいい。ヘルツ坊や、心の傷が深くならないうちに戻ってくるのですよ。ママは王国でお前の帰宅を心待ちにしてますから」


 そう言い残してマリーとナポレオンは消えました。


 どうやらヘルツォーク二世が先走っているだけだということが理解できたようです。


 ウィン姫は欠伸をしながら宿に戻っていきます。


 二人取り残されたホーリーとヘルツォーク二世。


 「お前には絶対にウィン姫をわたさぬ!!」

鬼のような表情でそうホーリーに伝えると、ヘルツォーク二世もサッと姿を消しました。


 (僕もそろそろ寝よう。どっと疲れた……)


 【ホーリー様、そろそろインターゲット王国軍が到着しますが】


 (そうだった……そっちもあったんだ……はあ)


 疲れた体を引きずるようにして部屋にあるガス砲を取りに戻るホーリーでした。


昨日は冬まつりに行ってきました。

マイナスな気温なのに暖かく感じましたね。

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