第2章 5・4人目の仲間
新たにドワーフの仲間を加えて、ホーリーとウィン姫は、ギミリスト連合国の本部を目指して旅をすることになりました。
第2章 5・4人目の仲間
ホーリー、ウィン姫、ギャンの3人が城を出立したのは夜半のことでした。生まれて5ヶ月のナターシャはウィン姫の腕の中に抱かれています。
言い伝えにある「非情なる虐殺を繰り返す・裸足の魔導士」の存在と、ウィン姫自らの同行をなるべく目立たなくするためです。
軍部の内偵を進めている王国軍将校ラムサスの話では、ハンニバル将軍を中心とした反ホーリー勢力が、暗殺という強行手段を用いようとしている動きがあるらしく、出立の日を極秘裏に早めました。
よって見送る者は限られています。
ウィン姫の侍女ケリー、その兄であるラムサスのわずか2人。
見上げると玉座の間の窓口に人影がありました。おそらくはウィン姫の父親であるトリミング国国王そのひとでしょう。
月夜の中、先頭を歩むのは、妖精の国から来たドワーフの王族連枝ナネット族のギャン。
身長は85cm、体重は70㎏。角ばった顔に、真っ黒な顎髭、口髭、頬髯が見事につながっています。目は細く、瞳は黒。鼻が低く横に大きいのが特徴でしょうか。
宝石の装飾のついた鉄の兜。鉄の鎧の上からはドワーフ独特の平織の布に刺繍を施した民族衣装をまとっていました。右手には使い込んだ形跡のある片刃の鉄の斧。
熟練の戦士の雰囲気をかもし出しています。
事前にホーリーがケリーから聞いた情報では、ウィン姫が認める数少ない戦士のひとりだそうです。
背には旅路の必需品がたくさん詰められたリュックを背負っています。
真ん中を鼻歌交じりで歩くのは、トリミング王国姫、ウィン・ド・トリミング。
身長は158cm、体重は42㎏。
間もなく15歳を迎える姫のいでたちは、赤を基調とした狩衣姿。一般的には貴族が狩りのときに着用する装束でしたが、そこはウィン姫、袴は太もものラインでスッパリ落として、ミニスカートのような着こなしです。そしてライトブラウンの戦闘用ブーツ。
腰には愛用の銀の剣「スットガルト」を差しています。
見事な金髪はスウィートなカールがかかったショートボブヘア。大きく見開かれた緑に輝く瞳は、意志の強さを物語っています。小顔ですが鼻は高く、色白の肌の中で唇は厚い桃色です。
天真爛漫な可愛らしい少女をという印象を与えますが、剣術の腕前は天才的で、魔法剣士マスターの称号と共にシャミング剣術という最強の片手剣術の免許皆伝に達しています。
ウィン姫の腕の中には、愛くるしい目で興味深そうに辺りをキョロキョロ見渡すナターシャがいました。早速、オレンジ色の革の首輪をつけています。
そして最後尾に、裸足の魔導士の異名を持つホーリー。
この異世界に転生し、体格・性格ともに大きく変化したようです。
身長は170㎝、体重は60㎏。服装は城で用意してくれていて、頭には黒が基調のボーダーのニット帽。グレーの狩衣。ブラウンの袴。すべてが厚い生地で作られていて、矢や剣刃の損害を軽減してくれます。
もちろん裸足で旅はできませんので、足には黒の戦闘用ブーツ。
武器は何も携帯しておりません。狩衣の右手の袖口にスマートフォンが入っています。
ギャン同様に背には旅のための食料などの荷物を背負っています。
「今晩のうちにトリミング王国の領土を出るぞー!休まず歩け」
ウィン姫がそう言い放つと、ナターシャも一声吠えました。
それを聞いてギャンが、
「馬を使えば楽に国境まで行けるが、徒歩では無理だろう。どこかで休憩をとって、明日の夜の国境越えがいいんじゃないのか」
見た目によらず冷静な返答です。
早速じゃじゃ馬ぶりを発揮するかと思われましたが、ウィン姫は意外にも、
「そうか……ギャンがそう言うのならば仕方あるまい。そうしよう」
あっさりと引き下がりました。
ホーリーは唖然としてウィン姫を見つめます。
「なんだ貴様。文句でもあるのか?」
ウィン姫は胸を張ってホーリーに対峙します。
プロポーズされただの、結婚を考えているだのと口にするくせに、ウィン姫のホーリーに対する扱いは傲慢でした。
見下してくる感じがホーリーはとても嫌なのです。
ウィン姫はまったくホーリーの気持ちなんぞ想像すらしていません。
「4人目の旅仲間はいつ来るんですか?」
ホーリーは無理やり話題を変えました。ウィン姫はニヤリとして、
「さあな。私にもよくわからぬ。来ぬかもしれんしな」
「誰なんです?そんなもったいぶって……」
「別にもったいぶっているわけではない。来るか来ないかわからぬし、そもそもどんな人物なのかも知らぬのだ」
「はあ!?この大事な任務に見ず知らずの信用できないひとを参加させるんですか?」
「そうじゃ。文句あるか」
(そりゃ、あるだろ!!)
と、叫びたい気持ちをぐっとこらえるホーリーでした。
「その男がな、来てくれるとな、一石二鳥なんだ」
「名前は何と言うんですか?」
ホーリーのその問いが、ウィン姫の癇に障ったらしく、
「本当につまらんことをいちいち気にする男だ。のうナターシャ。お主は大きく育つのだぞ」
と、腕の中の子犬に語りかけます。
(なんで14歳の小娘にこうまでひどい言われ方をしなくちゃならないんだ!)
ホーリーの中でも怒りと憎しみが湧き上がってきます。
ワンワン!!! ワンワン!!!!
ナターシャが吠えました。じゃれている声ではありません。敵に対した本気の咆哮です。
「ほお、ナターシャ、お主なかなか鼻が利くな。いいぞ。どうやら4人目は到着したようだな」
そう言ってウィン姫は微笑みながら月夜を眺めるのでした。
日本全国雪の被害が凄いですね。
北海道も道東はかなり厳しい状態のようです。
こちらは奇跡的に快晴の中、通夜・葬式ともに終了できました。




