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第1章 26・免許皆伝

第1章 26・免許皆伝


 「くらえ!爆穿弾ナバム!!」


 ウィン姫得意の爆裂の呪文スペルです。

 巨大蟻アントの固い身体からだに穴を開けるだけの威力を持っています。


 向き合う超巨大蟻バ・アントは、あごを震わせました。


 目前の砂や石、岩が一斉に浮かび上がり、爆裂の呪文スペルへの盾となります。


 「念力サイキックですね。経験を重ね、力をつけた巨大昆虫ムシは魔法のような力を持っていると聞きましたが……」

後方で一騎打ちを見守っている王国軍将校ラムサスが唸りながらそう言いました。


 「魔法と違って詠唱は必要ないんだ。便利だなー」

少年ノエルが素直に感心しています。


 「さすがは女王蟻クイーンよ、なかなかに手ごたえがある。久しぶりの良い獲物に出会えたものだ。ケリーにも見せてやりたかったが」

 ウィン姫は満面の笑みでそう言うと、銀の剣スットガルトで猛烈な斬撃を浴びせ始めました。

 超巨大蟻バ・アント念力サイキックつぶてを飛ばし、ウィン姫の素早い動きを封じながら、強靭なあごで斬撃を受け止めています。


 全力で剣を振りきれないウィン姫は、そのあごを斬り捨てる威力を出し切れません。


 「……暴・獅・滅・子・刃……」

ウィン姫はさらに強烈な爆裂の呪文スペルのために詠唱に入りました。


 その隙を待っていたかのように、超巨大蟻バ・アントの触覚が鋭く伸びます。

 詠唱のために構えを解いていたウィン姫の左腕を切り裂きました。


 「姫様!!!」

ラムサスが長剣を抜いて駆けだそうとしました。


 「来るなラムサス!!これは一騎打ちぞ。私に恥をかかせる気か!!」


 ウィン姫の怒号で、ラムサスの足が止まりました。


 一騎打ちに加担することは、味方の負けを認めたことになるのです。プライドの高いウィン姫は死んでもそれを望まないでしょう。


 好機と見て、猛然と超巨大蟻バ・アントがウィン姫に襲い掛かります。

 大木をも一撃で両断する巨大な鎌のようなあごが、ウィン姫の首を狙って次々と振るわれました。


 「ねえ、これってお姫様、劣勢だよね?」

ノエルが隣に立つ巨人バスケスに尋ねます。バスケスは無言でうなずきました。


 ウィン姫は左腕から流れ落ちる血をまき散らしながら、超巨大蟻バ・アントの攻撃を紙一重で避けています。剣を握れるのは右手一本だけです。爆裂の呪文スペルを唱える時間も作れません。


 念力サイキックで飛ばされた礫がさらにウィン姫の左肩を撃ちました。


 ウィン姫は完全に態勢を崩されます。


 そこへ超巨大蟻バ・アントの渾身の一撃を込めたあごが襲い掛かります。


 「うわっ!」

ノエルは思わず目を閉じました。ウィン姫の身体が両断される瞬間から目をそむけたのです。

 「まだだ。あの小娘はまだ本気を出していない」

バスケスの声でノエルは目を開きました。


 ウィン姫はかがんであごの一撃をかわすと、そのまま超巨大蟻バ・アントの頭を蹴って宙高く舞い、背後に回り込んでいます。

 そして銀の剣の鋭い一撃が、超巨大蟻バ・アントの後ろ足を斬り捨てました。

 よく見てみると、頭を蹴って宙を舞った瞬間に右側の触覚も斬り捨てています。


 ギギギギギギギギ……


 怒りの咆哮とともに数十の礫がウィン姫を襲います。

 

 ウィン姫は右手一本で握った剣で、そのすべてを弾き返しました。


 「姫様が習得されたシャミング剣術は片手のみを使います。片手剣術を究極まで突き詰めたものです。それを姫様はわずか12歳で免許皆伝されています」

ラムサスの言葉に、ノエルとバスケスは感心しながらうなずきました。


 免許皆伝とは、師匠の腕を超えたものだけに与えられる特別な伝位です。心技体のすべてを師匠に認められない限りは得ることができません。

 たとえ50年鍛錬しても目録位を授かれば一流と呼ばれています。皆伝位は目録位よりも遥かに上です。一般的にはその流派で修行するもの千人にひとりしか皆伝位には至らないとも言われている剣術の極致です。


 「ずいぶんと楽しませてもらったが、ここまでだ」

ウィン姫はそう言うと、果敢に踏み込みます。

 押し寄せる礫は目にもとまらぬ剣速によってウィン姫の身体に触れることもなく地に落ちます。受け身に回った超巨大蟻バ・アントは、さらに左の触覚も斬り捨てられました。


 ギギギギギギ……


 幾分怯えたような声を発し、ウィン姫と向き合い、あごを震わせます。


 ウィン姫は超巨大蟻バ・アントの赤く燃える目を見返し、

「無駄だ。貴様ごときのレベルの念力サイキックなど、私には直接効果はない」


 もはやウィン姫の剣速も、その動きも、超巨大蟻バ・アントはついていけません。


 踏み込んだと思った瞬間には、ウィン姫の姿は超巨大蟻バ・アントのすぐ右側にあり、慌てて振り向こうとした時には、右のあごが斬り落とされています。


 「とどめじゃ」

ウィン姫はいつのまにか超巨大蟻バ・アントの背に乗っています。


 ギギギギ……


 最後まで必死に抵抗しようとした超巨大蟻バ・アントの首は、ウィン姫の剣撃で両断されて地に落ちました。


 

 その時です。後方に控えていた巨大蟻アントの群れの左翼に赤い光が放たれ、衝撃と共に数百の巨大蟻アントが切り刻まれます。

 地面が割れて、土や石が同時に宙に吹き飛びました。


 ホーリーの攻撃が始まったのは、ちょうどウィン姫の一騎打ちの決着がついた後でした。


本州は春のような陽気だそうです。

北海道は昨晩も雪が凄かったです。今日も雪かきでしたー

明日も午前3時に更新しますよー!

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