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序章 3・戦闘への決断

序章 3・戦闘への決断


 装備を整えたホーリーはスマホのマップを起動させました。


 見たこともない地図が映し出されます。


 (現在地はここか……ああ、これがマリエッタの言っていたアットナム村ね。で、ここがシャナムとの国境線と。うーん、他には何にもないな。仕方ないアットナム村に向かおう)


 ホーリーは青い鎧に身を包み、腰に紫の剣を携えて歩き出します。


 どこまでも続く草原。


 大きな月。


 耳を澄ますと虫の音も聞こえてきます。


 (こんな夢もたまにはいいか。ちょうどリフレッシュできるし。まあ、これでモンスターとか出て来て戦ったりするのもハラハラしていいんだけどね)


 歩けど、歩けど、草原が続きます。


 【パピューン!パピューン!パピューン!パピューン!】

 

 スマホの電子音です。


 【警報が発令されました。敵が接近しています】


 (おっ!おいでなすったな。どんな敵かな、サイクロプスかドラゴンか、まさかスライムってことはないだろうな)


 【ホーリー様、敵の分析が終了しました】


 「よし。教えて」


 【シャナム 巨大昆虫LV35 生命力50 体力75 攻撃力42 防御力61 速さ34 知力2 魔力0 特殊能力は飛行。また仲間を呼ぶ力もあります。倒すのに手間をかけると100匹は集まります。現在は20匹です】


 「20匹?ちょっと、待って、巨大昆虫ってどのくらいの大きさ?」


 【全長5mです。羽を広げると8mにはなります。人間はひと飲みです】


 「それって、すごい強敵じゃん」


 【はい。アットナム村の人間は神として崇めています。毎月少女を生贄に捧げているぐらいですから】


 「い、生贄?人間を食べるの?」


 【どうやら好物のようです】


 「で、勝てるの?この剣と鎧で?」


 【ホーリー様は武術のスキルが0ですので、剣を操ることは難しいと思われます。攻撃力だけで比較すると楽勝なのですが】


 「剣か……使ったことはないからなー。逃げてなんとかなるの?」


 【はい。敵の目標はホーリー様ではなく、捧げられた生贄の肉です。一目散にそちらに向かいます。戦いは回避できる可能性が高いです】


 「さっき、生贄は少女だって言ってなかったっけ」


 【はい。今月の少女は18歳です】


 それを聞いて、ホーリーになぜか喪失感とともに強い怒りが込み上げてきました。

 

 やはり、何か大切なことを忘れているようです……。


 どちらにせよ、その少女にも生き続けてやりたいこともあるだろうに、昆虫の生贄になるなど惨い話です。


 「マリエッタ!」


 【はい。ご主人様】


 「僕ひとりで、シャナム20匹を退治する方法を教えてくれ」


 【はい……100%勝つ戦術は見つかりませんでした】


 「100%じゃなくてもいい。50%でも構わない」


 【はい……50%ラインでも見つかりません】


 「じゃあ、もう0じゃなけりゃいいよ。何かない?」


 【はい……15%の確率で勝てる戦術は見つかりました】


 「よし、それでいこう。上手く指示して」


 【ご主人様のお命を考慮すると、やはり逃亡を選択してほしいのですが】


 (これが夢じゃなかったら、迷わずそうするよ!せめて夢の中ぐらい勇敢に戦いたいさ)

ホーリーは内心でそう答えましたが、実際口に出した言葉は、

「いや、男には戦わなければならない時ってもんがあるんだ。それが今さ」


 【承知いたしました。では、戦術につきまして、ご説明申し上げます】



 こうしてホーリーは初戦闘を迎えるのでした。


次回も明日の午前3時に更新予定です。

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