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第1章 6・充電

第1章 6・充電


 「ヤンさん、何でもいいです。これに関する情報がありませんか?」


 ホーリーは自らのスマートフォンをヤンに見せ、何とか充電の方法を模索します。


 見渡す限り、この黒風党ブラームの秘密本部にはコンセントなどありませんでした。と、言うよりも電気というものが存在していないようです。明かりは、松明の火と蝋燭。TVもなければ冷蔵庫もありません。


 マリエッタはヤンが科学者だと言っていましたが、当てが外れた気がします。


 「そう言われてもな……見たことも、聞いたこともない代物しろものじゃからの……ヒューイよ、お主は何か覚えがあるか?」


 ヤンに呼ばれたやせっぽっちのヒューイは、しばらく思案した後で、


 「以前、占い師からヤン様が譲り受けた深紅の玉がありましたよね。使い方がまるでわかりませんでしたが、占い師はいつか必要になる時が来るとおっしゃられていたのを思い出しました」


 一言一言を丁寧に話します。


 「おお。そう言われてみるとそんな物もあったの……はて、どこにしまったものか」


 そう言ってヤンが机の引き出しを開いて物色し始めました。


 ヒューイがつかつかと奥の棚へ向かい、青銅の箱を引っ張り出します。


 「ヤン様、こちらです。どうぞ、裸足の魔導士様……失礼、ホーリー様」


 箱の中から野球ボールほどの赤い玉が出てきました。


 ホーリーはその赤い玉を受け取りました。


 (ええー、こんな玉でどうしろって言うんだよー)


 とりあえずスマホをかざしてみます。


 近づけたり、遠ざけたり……赤い玉を振ってみたりもしましたが、何も起きません。


 「それではないようじゃのー」


 ヤンが眼鏡を拭きながらそう漏らしました。


 「ヤン様、占い師が確か、呪文スペルを教えてくれていましたが」


 ヒューイの言葉を聞いて、ヤンは何度もうなずいて、


 「そうじゃったな。そうじゃった。もらった時には何度も唱えてみたが、弱い光を発するだけじゃったからな……なんだったかな」


 「私が覚えていますので、唱えてみてもよろしいでしょうか?」


 「さすがは黒風党ブラームの頭脳と呼ばれている男じゃの。ヒューイ頼むぞ」


 「はい。それでは失礼」


 ホーリーから赤い玉を受け取り、ヒューイは目を閉じて、


 「目覚リ・モート充電チャージ


 そう唱えると、赤い玉が僅かに光を放ちました。

 

 するとホーリーが手にしているスマホの画面が動き出しました。


 【ご主人様、お待たせいたしました。充電が100%となりました。】


 マリエッタの声です。


 ホーリー以外のメンバーはその突然の声に驚きます。


 「よかったー!!マリエッタ!!」


 ホーリーは余程うれしかったのかスマホに頬ずりしています。


 【この世界に存在する電気を封じ込めている玉のお陰です。パスワードを唱えれば、ワイヤレスで充電可能になります。深紅の宝玉の効果でバージョンアップもできました。これからは召喚ターンが倍の2時間となります】 


 「すごい玉だね。これがあればもう鬼に金棒だよ」


 【ですが、効果は一度だけです。一度充電に使用すると宝玉の力は失われてしまいます】


 マリエッタの言う通り、赤い玉はヒューイの手の内で二つに割れています。


 「じゃあ、電力不足になったらまた別の宝玉を探さないといけないってこと?」


 【そうなります。なるべく電力を消費しないよう、必要のないアプリはすべてデリートしますが、よろしいでしょうか】


 「そ、そうだね。LINEとかFacebookとかあってもここじゃ意味ないもんな。いいよ消してしまって」


 【デリートが完了しました。今後は省エネモードに切り替えます。私が必要なときだけ電源を入れてください。バージョンアップした分だけ、召喚にはかなりの電力を消費しますので、なるべく控えてください】


 「うーん、そうなんだ……バージョンアップも長所と短所があるんだ。OK、なるべく召喚しないように考えて行動するよ。だけど、僕はこれから巨大蟻アントの巣に向かって、ケリーさんを救出しなくちゃいけないから、またすぐに召喚することになるだろうけどね」


 【巨大蟻アントの巣ですか。では、巣の中のマップを表示しておきます】


 「さすが、マリエッタ。そんなこともできるんだ。どこにケリーさんが囚われているかもわかるの?この赤く光っている点がそうかな……でも三つもあるか」


 【計算上ではその三地点のどこかです。必ず待ち伏せに遭いますのでご注意ください】


 「一つだけ青い点があるね。これは?」


 【青い点は宝玉を示しています。何かの拍子で巨大蟻アントが巣に持ち込んだのでしょう】


 「ってことは、ここにいけばまた充電可能だし、バージョンアップもできるんだ」


 【そうですが、巣の一番奥地ですので危険です。この世界には無数の宝玉が存在しますので、また別の物を探すのが得策です】


 「そうか……」


 腕組みして悩むホーリーをみんなが唖然として見守っています。


 目に見えない精霊と話をしている魔法使いそのものです。



 突如、ドアを開いて訪問客が現れました。


 「失礼ですが、お話はだいたいお聞きしました。私もその奪還メンバーに加えてもらえませんか?」


 そう言って入ってきた男は、青い長髪の王国兵士でした。


明日も午前3時に更新しますよー!!!!

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