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エローラの剣 in the Elves planet  作者: 山口 博季
3/3

襲撃[2]

それは突然におこった。

あまりに唐突過ぎて、漠然とし過ぎて、予想外過ぎて、バルトロワは咄嗟に座っていた席から動けなかった。そのせいもあってか、彼は『襲撃者』の様相をハッキリと、その双眸に捉えた。

全身を黒く染めるコンバットスーツ。胴は防弾ジャケットに護られ、ベルトで繋いだサブマシンガン───9mm機関けん銃、通称『エムナイン』が下がっている。腰には数本のベルトと腿付近に連なるホルスターが巻かれており、その革袋の中に鈍く黒く光るグリップが覗いている。別のホルスターにはおそらく弾丸の詰まったカートリッジが入っていることだろう。また膝下もこれまた黒色のアサルトブーツ、顔は大柄のガスマスクとゴーグルで覆われ、顔の識別は可能とは言えない。更に何よりの脅威であるのは彼らの保持するその小銃───アサルトライフルである。ロックに教わった地球の銃器のインデックスを探り、彼はそれが米軍に採用されていたM4カービンであると認識した。

M4カービンは5.56mmの弾丸を毎分800発ほども発射する銃であり、魔法の発達したB惑星の、しかもその中のちっぽけな一食堂には大変似つかわしくない無機質な銃だった。しかしその事が逆に、 バルトロワに武装して乗り込んできた『敵』の異常性を覚えさせた。


記憶のインデックスから現実に意識を引き戻すのと、彼らが銃口を食堂の中に向けたのが同時だった。

瞬間──

和気藹々と賑わう空間を、静寂に変えていくが如く、鋼鉄の豪雨が降り注いだ。

バルトロワは数瞬前に危険を『考えるより早く』認識していたので、座っていた長テーブルの下に身を潜らせてどうにか第一の弾幕を回避できた。しかし──


弾丸は一瞬で逃げ遅れた、隠れ損ねた周囲の者の肉を割き、骨を穿ち、血を吹き飛ばし、肉体と精神を一瞬で乖離させる。

バルトロワは腰を低くして走った。跳弾が壁に当たってできた瓦礫の山に隠れようと、床を嘗めるような低さに頭を下げて走り抜けた。

時折、無機質な薬莢の落ちる音に混じって、撃たれた者の呻き声、弾が命を削る音が聞こえた。吐きそうになるのを必死で堪え、生き延びる為だけに駆け抜けた。


漸く飛び込んだ瓦礫の山を、銃弾が叩く音が聞こえた。胃の中身が全て逆流しそうになるのを辛うじて堪え、逃げるように耳を塞ぐ。だが、雨音はそう簡単に止むことはなかった。

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