知らない世界はオススメされない~知識の偏り~超個人的意見
私は現在、芸能界の話 『ステップ・バイ』と、児童館の話 『児童館のせんせー』を書いている。
知らない事だらけのため、当然ながらネットで調べる。動画も検索する。パリコレの事を調べたり、芸能人のインタビューを見たり、児童館や子供に関する情報を探したりする。
すると、どうなるか。
オススメ欄が、それ一色になる。
見事なくらいに。
昨日まで、家でゴハンを食べながら見ていたソロキャンプ動画も、野営動画も、旅行も、グルメも、ニュースも消える。癒し系動物もない。DIYもない。結構好きな〇頭さんも、検索しないと出てこない。
画面を開いた瞬間。芸能界、アイドルのオフショット、アイドルの結婚話。はたまた児童館、この夏オススメの子供の遊び場。
動画を見れば、それに似た動画。
「・・・いや、そこまで頼んでないんだけど」
思わず画面に向かって呟く。
勿論、オススメ機能は便利だ。
一度好きなページを開き、動画を見れば、似たものを次々に出してくれる。自分で探し回らなくても、好みに合ったものが勝手に並ぶ。
本当に楽だ。
特に家事をしながらの、ながら音楽は勝手に好みっぽいのを延々流してくれる。けれど現在、私のスマホからは若い頃から好きだったアイドルの歌、バンド曲・・・全く流れてこない。今現在のアイドル達の曲ばかりが流れる状況になっている。
そこで、ふと思った。
・・・これ、知識まで偏っていかないか?
私は仕事柄、ある程度は意識してニュースを見るようにしている。別に社会人たるもの、毎朝、新聞を隅から隅まで読め、等と言いたいわけではない。
ただ、世の中で何が起きているのかくらいは、最低限知っておいた方がいいと思っている。
更に、先日、それを少し考えさせられる出来事があった。
戦争の影響によるナフサ不足の話だ。ニュースを見ていれば、一度や二度は目にする話題だと思う。
ところが、同僚の一人が知らなかった。
「ナフサが足りないって話、知っています?」
実際、私の勤める会社でも、その影響でなかなか入ってこないものや、値上がりしたものがある。ある時、その話になって私は、「仕方ないですよ。戦争の影響ですから」と答えた。
すると相手は、「・・・?」という顔をした。
「ニュースで結構やってますよ」
「そうなの?」
そこで私は少し驚いた。
ナフサが何なのかを詳しく知らない、という話なら分かる。私だって専門家ではない。
けれど、戦争などの影響で原油や石油関連の供給に影響が出て、その結果として国内のさまざまな製品にも影響が出るという程度の話まで知らないとなると、少し事情が違う。
本当に、何を言っているのか分かりませんという顔だった。
そして翌日。
「なんで日本が確保した原油をベトナムにやるんですか?」
突然、怒っている。
「・・・え?」
「日本が確保したものなのに、なんでベトナムに渡すんですか?」
どうやら、何かを調べたらしい。ただ、そこに新しい疑問が生まれていた。
私は一瞬、説明しようとした。
いや、説明するなら、「その原油を使ってベトナムで製品を作って、それを日本が輸入しているからです」というところから始めればいい。
さらに、「じゃあ、なぜベトナムで作るのか」「なぜそのルートなのか」「そもそも日本が何を確保したのか」と説明していく必要がある。
・・・これ、昼休みにする話だろうか。
「いや、それはですね・・・」
そこまで口にして、やめた。
知らなかった事自体を責めたいわけではない。ただ、知らないから始まって、一部分だけ知るに進むと、今度は別の誤解が生まれる可能性がある。
オススメ機能も、少し似ている気がする。
興味のあるものを見せてくれる。好きなものを見せてくれる。
だから、わざわざ検索しなくてもいい。
でも、その状態が長く続いたら、自分の知っている世界そのものが、実際の世界より狭くなる可能性はないだろうか。
しかも厄介なのは、本人にはそれが分かりにくい事だ。
自分の画面には、興味のある情報が毎日たくさん流れてくる。
だから、自分は毎日、こんなにたくさんの情報を見ていると思う。
でも実際には、自分の好きな分野の情報だけを、毎日大量に見ているだけかもしれない。
これが、趣味の範囲なら何も問題はない。
アニメを一日中見ようが、キャンプ動画を一日中見ようが、旅行動画を一日中見ようが、本人が楽しければそれでいい。
問題は、それが自分は世の中を知っている、一般的知識があるという感覚と混ざった時だと思う。
そして、別の日。
別の同僚と話していた。その人は、どうやら2.5次元舞台が好きらしい。
「(私)さんって、刀〇乱〇知ってます?」
「名前くらいは知ってますよ。ゲームが最初ですよね?」
「そうです! 舞台もすごくいいんですよ!」
「へえ」
正直、私はそこまで詳しくない。ただ、以前、某量販店で紅茶とのコラボ商品として水筒付きの商品が売られていた記憶がある。
そして、もう一つ。趣味の一つである刀剣展で見た「桑名江」。
「じゃあ、誰が推しなんですか?」
そう聞かれて、私は答えた。
「刀剣展で、桑名江を見た事があるくらいで・・・」
すると・・・。
「桑名江推しっ!? 実際に刀を見てきたんですかっ」
声が一段階上がった。
「ですよね! 刀〇男〇になった時もカッコいいんですよっ。一度見てくださいっ。あのツナギ姿、やっぱりツボですよね!」
「・・・あ、はい」
「舞台でもキャップ萌えがすごくて! あの衣装で、あの表情で、あの芝居が・・・」
「・・・・・・」
止まらない。
「しかも○○のときの演出がめちゃくちゃ良くて、あそこで○○するじゃないですか!」
「・・・・・・」
すみません。
話、ほとんど分かりません。
私は実際の刀を見て桑名江を知っているという、非常に限定された知識で答えただけです。更に、アニメや歌舞伎になっている事も知ってはいます。刀剣展を見に行くと、刀〇乱〇が好きで来ているのだろうなあって人達を見たり、コラボ商品が売られている事も知っています。
でも、そこまでの興味は・・・正直ありません。
なのに相手からすれば、この人、桑名江推しなんだ!となる。
「いや、その・・・私、舞台は見てなくて」
「じゃあ、ゲームの方ですか?」
「・・・ゲームもそこまでは・・・」
今度は向こうが一瞬止まった。
周囲を見る。同僚たちが、微妙な顔をしている。引いている。お願いだから、そんな目で見ないでほしい。
私だって、まさか「桑名江」という名前を出しただけで、ここまで深い沼に引きずり込まれるとは思わなかった。
「・・・えっと、舞台の桑名江って、そんなにいいんですか?」
とりあえず聞いてみる。
「はい! めちゃくちゃいいです!」
即答。
「じゃあ、今度見てみます」
「ぜひ!」
その会話自体は楽しかった。ただ、そこで私は別の事を考えていた。
同じ日本語を話している。同じ作品名を知っている。同じキャラクターの名前を口にしている。一応表面的な知識はある。
それなのに、話している内容がまったく違う。
これは、何も悪い事ではない。
むしろ趣味とは、そういうものだ。一部重なった、共通する部分を共有して盛り上がれたなら、それでいいと思う。
問題は、これがもっと広い範囲、一般的な知識で起きているのではないか、という事だ。
「ニュース、見てる?」
「見てるよ」
「じゃあ、○○の話は?」
「知らない」
そういう会話があるかもしれない。
でも、その人のスマートフォンには毎日、大量の動画や記事が表示されているはずだ。
情報は見ている。
確かに、その通りなのだろう。
ただし、自分が興味を持った情報しか見ていない可能性。
オススメ機能は、その人個人の事をよく理解してくれる。
何が好きか。
何に反応するか。
何を長く見たか。
それを学習して、次々と好みに合うものを差し出してくる。
だから便利だ。
だから快適だ。
だからこそ、少し怖い。
昔なら、テレビをつければ興味のないニュースが流れてきた。新聞を開けば、自分には関係のなさそうな記事が目に入った。
検索エンジンを使えば、自分で言葉を入力しなければならなかった。
つまり、興味のない情報に偶然出会う機会が、それなりにあった。
今は違う。
こちらが望まなくても、好きなものをどんどん持ってきてくれる。
便利になった。
けれど、その便利さの中で、自分から探さなければ出会えない情報も増えている。
だから私は、時々わざと検索する。興味がないニュースも見る。オススメに出てこない言葉を検索する。自分の知らない分野の記事を読む。
正直、面倒くさい。
「オススメで出てくればいいのに」
そう思う事もある。
でも、多分、必要なのだ。オススメされる世界だけで生きないために。
自分の好きなものだけで埋め尽くされた画面を、時々、自分の手で壊すために。
知らない事は、恥ずかしい事ではない。知らない事を知らないままでも、それ自体は仕方がない。
ただ、自分には大量の情報が届いているから、世の中の事もそれなりに知っていると思い込んでしまうのは、少し危ないと思う。
情報は増えている。
なのに、個人の世界は狭くなっている。そんな事が、もう始まっているのではないだろうか。
流行がなくなった。誰もが知っているブームがなくなった。そんな事を言われて久しい。これも、オススメから、興味のない情報が遮断されているためだと思う。
興味を持つ以前に、・・・知らない。
そして今日も私は、話を作るために芸能界と児童館を検索する。
オススメ画面いっぱいに芸能人と児童館が並ぶ。
「・・・はいはい。分かったから」
そう言いながら、私はニュースを検索する。〇頭さんを検索する。野営動画を検索する。
オススメ機能には任せない。
少なくとも、自分の世界くらいは、自分で広げたいと思うのである。
読んでくださってありがとうございます(*_ _)
ポイントを入れてもらえると、嬉しいです。




