表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な世界から君がすくい出してくれたこと(登場人物は全員モブ顔です)  作者: 楓真パパ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/15

第6話「文化祭への準備と、初めての壁」

この作品は登場人物が全員モブです。必ずモブ顔で想像してください。

文化祭まで、あと一か月。

放課後の家庭科室には、今日も二人の姿があった。

「今日は・・・文化祭で出すメニューの候補を考えたいですね。」

壮真が言うと、真智はノートを開きながら頷いた。

「はい。私もいくつか考えてきました。カレー、コロッケ、オムライス・・・あと、スイーツも少し。」

「スイーツ、ですか?」

「うん。クッキーとか、マフィンとか・・・手軽に食べられるものがいいかなって。」

真智のノートには、丁寧なイラストとレシピが並んでいた。

どれも美味しそうで、見ているだけでお腹が鳴りそうだ。

「どれも素敵ですね。田辺さん、本当に料理が好きなんですね。」

「・・・はい。でも、こうして誰かと一緒に考えるのは初めてなので・・・すごく楽しいです。」

その言葉に、壮真の胸がじんわりと温かくなる。

(僕も・・・同じ気持ちです)

しかし、文化祭に参加するには、避けて通れない問題があった。

「・・・あの、高杉くん。」

真智が少し不安そうに口を開く。

「文化祭で出店するには・・・先生に許可をもらわないといけないんですよね。」

「そうですね。それに、食品を扱うとなると、衛生面のチェックも必要ですし・・・材料費の問題もあります。」

「うぅ・・・やっぱり、難しいですよね。」

真智は肩を落とした。

「いえ。難しいですが、不可能ではないと思います。まずは先生に相談してみましょう。それから、必要な手続きを確認して・・・。」

「・・・そうですね。やってみないと、分からないですもんね。」

真智は小さく頷いたが、その表情には不安が残っていた。

翌日、二人は職員室へ向かった。

文化祭の担当である生活指導の先生に相談するためだ。

「失礼します。文化祭の件で、ご相談がありまして・・・。」

壮真が丁寧に切り出すと、先生は眼鏡を押し上げながら二人を見た。

「調理クラブ? 君たち、正式な部活じゃないよね。」

「はい。ですが、文化祭で料理を提供したいと思っていまして・・・。」

「料理を? 二人で?」

先生の声には、明らかに“難しいだろう”という色があった。

「食品を扱う出店は、衛生管理が厳しいんだ。調理設備、人数、責任者・・・それに、事故が起きたらどうする?」

真智の肩がびくっと震える。

「・・・すみません。やっぱり、無理ですよね・・・。」

「無理とは言わないが、条件は厳しい。最低でも五人以上のメンバー、顧問の先生、

そして事前の衛生講習を受けてもらう必要がある。」

「五人・・・。」

二人だけの調理クラブには、あまりにも高いハードルだった。

職員室を出たあと、真智は俯いたまま歩いていた。

「・・・やっぱり、無理なんだよね。二人だけじゃ、どうにもならないよ・・・。」

「田辺さん・・・。」

「ごめんなさい。私、文化祭で料理を出すなんて・・・最初から無理なことを言って・・・。」

真智の声は震えていた。

「そんなことありません。田辺さんの夢は、無理なんかじゃありません。」

壮真は立ち止まり、真智のほうを向いた。

「確かに、今のままでは難しいです。でも・・・方法がないわけではありません。」

「方法・・・?」

「メンバーを増やせばいいんです。僕たちと同じように、料理が好きな人を探して・・・五人集まれば、文化祭に参加できます。」

「でも・・・そんな人、いるかな・・・。」

「探してみないと分かりません。それに・・・。」

壮真は少し照れながら言った。

「田辺さんの料理を食べたら、きっと誰だって仲間になりたくなりますよ。」

「・・・高杉くん。」

真智の瞳が、少しだけ光を取り戻した。

「・・・ありがとう。もう少しだけ・・・頑張ってみたいです。」

「はい。僕も一緒に頑張ります。」

その日の帰り道。

夕暮れの空は赤く染まり、二人の影が長く伸びていた。

(メンバー集め・・・簡単ではありませんが・・・でも、田辺さんの夢のためなら・・・)

壮真は静かに拳を握った。

一方で真智も、胸の奥で小さな決意を固めていた。

(もっと・・・私の料理を食べてもらいたい。そのために、できることをやりたい)

こうして二人は、初めての“壁”にぶつかりながらも、前へ進むための一歩を踏み出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ